三千界のアバター

サルマティアグランプリ

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【2】開戦の合図



 「空猫の旅団」と「インバス」の戦いに決着がつく、少し前――。

 長期戦を想定し、なるべく皆で固まって防御重視に動いていた「虚構戦団オルギアリス・白夜」の面々も、とうとう交戦を余儀なくされていた。
 虚構戦団オルギアリス・白夜のメンバー……特に防衛をメインに動く者たちは、場外を背にするようにして、なるべく魔力弾の影響を受けないよう意識して位置取りしている。

 対するのは、「汝電気羊為りや」。
 軍馬に乗って参戦しているしまっち(島津 正紀)は、ナイトとしての体力を活かしてこの戦いに挑む。フルムーンチャームを身につけ、精神攻撃への対策も万全だ。
 しまっちに同行しているコロポックルのブレイクルド(ルドルフ・キューブ)は、しまっちの軍馬に乗せてもらっている。
 ウラスベ(パティア・ノイラート)もブレイクルドと同じく、しまっちと行動を共にしている。
 羊飼いのスイレン(鷲尾 睡蓮)も合流して、
「羊ちゃんのもこもこで癒されるのん」
 と連れ歩いている羊が、開戦直後で緊張感に包まれる面々をリラックスさせている。

 スイレンは着込んでいるヒツジン28号の大きさを活かし、周囲を観察した内容を仲間たちに伝え始める。
 一方、ブレイクルドとウラスベは風計を起こし、周囲の風向きを狂わせていた。これにより、既に他のチームの戦闘中に影響があったようだ。
 シンデン(七瀬 永見)もスイレンと同じく情報収集に関わっており、別所から敵情視察を行っていた。
 コンポージャーで平常心を保ち、スイレンから伝えられた索敵結果を、空間知覚の能力を活かしながらより精密にまとめていく。
 敵の配置、敵のヒーラーの位置、飛行できる相手や、罠を張ろうとしている者など……それらの所在をまとめて、同チームの面々に報告するのがシンデンの仕事だ。
 ブレイクルドはその小ささを活かしてしまっちの盾に隠れたり、自身が身につけたエネルギーシールドを使って、敵の攻撃を防ぐようにしている。
 傍で行動しているウラスベもまた、しまっちに主な防衛を任せつつ、雷計を起こして敵の注意を引き、連携を乱そうと試みる。


 両者しばし、様子見の間があった。
 特に虚構戦団オルギアリス・白夜の面々は、粘り強く相手の出方を窺っている。
 コトミ(コトミヤ・フォーゼルランド)と、コトミに同行していたアイゼン(アルトゥリーヤ・アイゼンハルト)は、ヒーラーを守るよう前方に構えている。
「滾るなぁ、良いロック具合だぜ!」
 と気合いを入れ直しているアイゼンだが、アイゼンの行動指針としては前線で暴れるような派手なものではなく、味方の支援がメインだ。まずはフォージで、味方の武器の調子を整える。

 ワンド・オブ・アンテラーを手にしたル・カルヴァ(鴨 柚子)は、タンクとして最前に位置取り、浄化の纏で仲間たちを浄化していく。
 先の風計による煽りを退けたのは、カルヴァだった。アイアンヴェールで後方の味方を護っている。
「……最初が肝心、それはこちらも同じだ」
 出方は慎重に見極めなければならない。
 その横でアヴォイドダッチに乗り、怒りを露わにしているのは、カルヴァに同行していたエリにゃん(ギルバート・エリオン)だ。
 どうやら、RWO内における自身の扱いにかなりの不満があるようだが……。

 エリにゃんと共にヒーラーを務めるジェイ(飛鳥 玲人)は、いざという時に声掛けができるよう、戒心で警戒し場内を見回す。
 砲台の動きや、初手での大技、奇襲や闇討ち……混戦状態のこの場では、気を付けなければいけないことは多い。
「ゼルト君達も、すぐには動かない方が良い」
 そう助言し、自身は後方に下がって粛々と回復役に徹する。
 助言を受けたリンネ(六道 凛音)とゼルト(ネーベル・ゼルトナー)は、ゼルトのアサルトチャリオットに二人で乗り込んでいる。
 敵を攪乱する役目を担う二人だが、出鼻を挫かれてしまっては元も子もない。
「クロスボウ…ワンド…回復手段も用意した…これで準備完了かの…」
 とリンネは、自身の装備を確認している。一方のゼルトはシュートジャベリンを手に、ポリアナートの騎士盾を構えている。
 リンネとゼルトを乗せたチャリオットは、カルヴァたちタンクの後方に位置取る。
 ゼルトが盾役として周囲を警戒し、リンネはヒーラーとしての仕事だけでなく、クロスボウを構えて味方タンクの支援も行っていく算段だ。

 ジェイに同行していたクロウ(ヒビキ・ヒカリ)は、カルヴァと共に防衛に回っていた。二人の行動が仲間たちの生命線となるため、連携が重要となる。

 と、ここでしまっち達に、シンデンから知らせがあった。誰かがこちらを狙って近づいているようだ。
 しまっちの方でも、戦場の匂いを察知していた。奇襲に備えて身構えていたが、現れたクロウは、急に襲い掛かって来る様子はなさそうだ。

 カルヴァが堅実に仲間たちの傍をかためているのに対し、クロウは相手に接近し、カモンベイビーで挑発しようとしていた。
 ――敵が、ヒーラーの方を観察している動きがあることに気づいたのだ。ヒーラーを狙われることを避けるため、ここは注意を逸らさなければならない。
「おいおい……そんなツマンネェ真似せずにこっちを狙ったらどうだ?」
 ガードスタンスを崩さずに、クロウは相手チームに近寄っていく。
「……それともご自慢の一撃じゃ、こっちを抜く自信がないと?」
 いつまでも様子を見合っていても、埒が明かないのも事実。クロウの挑発を皮切りに、いよいよ戦いの火蓋は切って落とされた。

 しまっちたちが戦闘を開始すると、スイレンはそれをシンクロ・アイでサポートしていく。
 ウラスベは紅黒のカーマを構え、接近戦を繰り広げる。
「恨んでいる。全てを――」
 と呟いたかと思うと、サウザンドレイヴを叩き込んで敵の生命力を奪い取ろうと試みる。
 クロウがそれに、エルテルンヴァッヘで対抗する。
 クロウはそのまましばらく、しまっちたちの相手を引き受ける。挑発した手前、敵がそれなりに攻撃を仕掛けてくるのは織り込み済みだ。
 その手には竜眼の宝盾があるが、そう何度も使えるわけではない。どの攻撃を盾で受け、どの攻撃をその他の方法で避けるか。しっかりと見極めながら応戦していく。
 一方のしまっちたちも、しまっちがエルテルンヴァッヘで対抗したためなかなか攻撃は通らない。
 そしてこの戦闘の最中に、ブレイクルドがそっと軍馬から降りた。コロポックルとしての能力を活かして姿をくらまし、どこかへ向かう――。



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