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サルマティアグランプリ

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サルマティアグランプリ
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【2】挟撃



 参加者たちが思い思いの行動をとる中、スタートから緻密な戦法を見せていたのは、戦力を分散して生き残りを狙う「インバス」だった。
 インバスのメンバーは、事前にチーム内を複数の班に分け、計画的な行動をとっていた。
 チーム内の大多数が所属するDEF班には、インバスのリーダー格でもあるコミュニ・セラフも所属している。
 コミュニはまず、浄化の纏でDEF班の面々の防御力を強化していく。あくまでこちらからは攻撃せずに、次の作戦の機まで耐えることが目標だ。
 リリック・レインハルトもまたDEF班に属し、浄化の纏を発動させている。
 コミュニと共にDEF班として動くファイアヘッズ・トランスポーターは、ペグハンマーを手に、コミュニの武器とリリックの盾にフォージを行う。
 二人の盾や武器はDEF班の生命線にもなり得る。ファイアヘッズはソードスミスとしての知識を活かして、しっかりと整備していく。

「すぁーっ!」
 と、準備を進めるDEF班の上に、何やら不思議な人(?)影がひとつ。
 スライムとセレスティアの特性を併せ持った、羽が生えたスライムが空を飛んでいく。
 スアマ(天津 恭司)が、上空から周囲を確認しているのだ。位置把握をしながら戦況分析を行い、他のチームの動向を味方に伝える役目を担う。
 スアマの誘導で、一行はひとつの魔法弾を放つ装置の傍に位置取る。誘導は完了したが、スアマはこの後も小まめに空を飛び、上からのサポートを続けるようだ。
 スアマに同行していたアナフィア(フィア・ヒーター)も、DEF班として行動している。アナフィアはDEF班の中でも前衛に位置し、戦場の匂いをいつでも察知できるよう警戒している。


 DEF班とは違った動きを見せているのは、DECOY班として四隅の砲台への対処に乗り出すスレイ・スプレイグである。
 スレイはガーナーライトで、魔力弾の注意を引き付けている。竜眼の宝盾を構え、ガードスタンスで身構える。
 そんなスレイの後方で、
「また二人して怪我しそうな事して……やっぱりワタシがいないと駄目なんだから♪」
 とスレイに同行していたユエ・スプレイグが、いつでもスレイにヒールをかけられるように、と構えている。
 ユエはDEF班としてそちらの仲間たちと行動を共にしつつも、スレイの体力が一定値を下回ればすぐに回復し、またリセットできるように、しばらくはスレイのサポートに専念する方針だ。

 リリックと共にDEF班として行動するロゼ・ロートシルトも、ユエと力を合わせて回復役に回っていた。
 身につけたサティスファイの恩恵を受けながら、ユエとうまく役割分担しつつの行動だ。ロゼの方は主に、タンク陣へのアンプルヒールを行っていく。


 インバスは作戦通り順調に態勢を整えていたが、この動きにより、空猫の旅団が標的として探している「同程度の人数で、タンクが多いチーム」に当てはまっていると露見したようだった。
 アリサの判断に基づき、次に狙う相手を絞った空猫の旅団一行は、インバスに攻撃を仕掛ける。

 なるべくヒーラーを護衛できるようにと立ち回りながら、エマージェンシーで周囲を警戒していたコミュニは、空猫の旅団の動きにすぐに気づいていた。
 生き残るため極力交戦を避ける方針だったインバスだったが、向こうが仕掛けてくるというのであれば、全力で相手をするのみだ。
「皆、始めるに!」
 コミュニの合図で、インバスは迎撃を開始する。

 と、先ほどまで場内の片隅で揉めていたヨウたちとミシェルたちが、すっと二手に分かれて動き出す。
 四人は痴話喧嘩をするフリをしていた、インバスの仲間だったのだ。
 ATK班となる四人はDEF班が足止めしている隙に、喧嘩を演じながら相手を挟み込むように接近していた。
 インバスは、空猫の旅団と同程度の人数ではなかったのである。


「二人共頑張って~! 二人が攻撃に専念できるように回復は任せてね!」
 とユエが応援する声が、ミシェルとセレナのもとへ届く。
 ユエはマジックポーションで魔力を回復しながら、前線に立つ二人の体力が削られればすぐに回復できるよう、後方に身構えている。

 ミシェルとセレナは、コミュニの合図に応じて側面から敵に攻め込む。
「我が求めに応じよ、アイアンウォール!」
 戦闘区域に入ると、ミシェルはまず鉄壁を錬成し相手との間に壁を作った。
 この壁は敵の攻撃から身を護るため――だけではない。
 次いでセレナが壁の脇から、栄光の小瓶を前方に投げつける。小瓶が割れ、閃光がさく裂する。
 その隙に、双剣士としての素早さを活かし、ミシェルが壁の横から飛び出していく。
「くっくっく、セレナちゃん、行きますわよっ!」
 ミシェルは飛花落葉を仕掛け、神度剣を振るって横薙ぎの一撃を食らわせる。
 と同時に、セレナも敵前に飛び出していた。最前を護っているアリサに向かって突進していくと紅黒のカーマを振るい、ファストアタックを仕掛け、続けざまにトリプルアサルトを叩き込む。
 連打・初級で素早く攻撃し、生命力を吸い取ろうと試みる。
 上空にいたスアマも、これに加勢した。スモークボンブをへ投げつけ、敵の視界を遮ろうと試みる。

 残心で周囲を警戒していたヨウも、コミュニの合図に即座に反応し、移動を開始していた。
「ミカン殿、一気にやつらを倒すでござるよ!」
 ATK2班に属するヨウとミカンが狙うのは、相手のヒーラーだ。
 ヨウはすぐに刀を抜けるよう右手を柄に添え、アサシンらしい機動力で素早く移動していく。
「こうやって公の場でこっそり亡き者にしちゃいますよー!」
 とどこからが声がする――ヨウの肩にいる、ミカンだ。
 狙いをつけやすいところまでヨウが接近すると、ミカンはヒーラーを狙って光闇の杖を振るい、魔法を放つ。

 ミシェルたちの方に気を取られていたところに、スアマの妨害を受け、アリサたちは迫っていた挟み撃ちにすぐに気づくことができなかった。それでもアリサがすぐに盾を構え、皆を護ろうとアイアンヴェールを発動する。
 ミカンの攻撃は、ヒーラーへ届く前にアリサに弾かれる。さらにアリサは、シュートジャベリンを射出して迎撃する。
 ATK1班は一時的に妨害できたものの、2班にあたるヨウたちはそれを逃れて飛び込んでくる――が、アリサが立て続けに槍を放ち、攻撃を避けたつもりで油断していた相手にぶつける。
 セカンドチャンスだ。一本目の槍は本物ではなく、アリサが幻想の魔石で見せた幻影だったのだ。
 この隙に、アリサを護るべく駆け付けたアシュウインが飛び込んできて、横から切りかかった。
「――今だ、薙ぎ払ってくれ!」
 アシュウインの合図に、空猫の旅団の仲間たちも追撃へと動き出す。
 と、上空から何かが降ってきて、追撃に向かうメンバーを足止めした。
 スアマだ。地面にネヴァームーブが落下してきたかと思うと、次いで金属溶解液爆弾が投げ込まれる。アシュウインの呼びかけに応えようとした者たちは、これにより駆け付けるのが少し遅れることとなった。

 セレナは咄嗟にアリサの攻撃を避けたが、避けきれず、アシュウインによる追撃も相まって負傷してしまった。しかしそれを、後方にいたユエがすぐに回復する。
 これで怯むミシェルたちではない。
「ふふっ、耐えられるかしら…?」
 ミシェルはそう言ったかと思うと、エッジストームでさらに畳みかけた。
 そして先ほどまでヨウの肩にいたミカンも、いつの間にやら空を飛んでスアマに合流し、上空から妨害を仕掛けてくる。クラックを発動して足元を狙い、バランスを崩したアリサたちに向かってレージを落とす。
 その隙に、ヨウも紋白蝶が届く位置まで間合いを詰めていた。ヨウはレージに合わせて、燕子花を叩き込む。
 敵を挟み撃ちにするように、DEF班の面々も回り込んできている。先陣を切るのはアナフィアだ。この場を逃れようと反撃をしても、アナフィアのエルテルンヴァッヘに弾かれてしまうだろう。
 この連続攻撃に、最前を守ってくれていたアリサが倒れ、アシュウインも負傷し一時後退を余儀なくされた。
 逃がすまいと迫るミシェルたちを引き離すように、どこからともなく弓矢が飛んでくる。
 アシュウインの合図を受けて加勢に向かっていたグレイが、後方から疾風の矢を放って撤退を支援したのだ。
 グレイは、アシュウインがアリサを撤退させると再度弓矢を構え、まずは二本放った。ミシェルはそれを難なく交わす。
 が、これはグレイが仕掛けた罠だった。グレイはセカンドチャンスで残りの二本を放つと、節制のガントレットの効果で軌道を変え、確実に相手を狙いに行く。
 矢はミシェルの両目を狙って急接近したが、驚きつつも何とか二発目の攻撃に対応し、ミシェルは自信の目を護った。そこにさらに、三発目の攻撃が迫る――こちらこそが、グレイの大本命だったのだ。
「裁きの光よ……汝等に永久の安息を与えん!!」
 加勢に駆け付けたファルシードが、味方を巻き込まないよう配慮しながら、クシャトを放って広範囲の敵を狙う。
 サキュバスとしての能力と魔銃の効果を得て、ファルシードの魔法はより強力なものとなっている。
 その攻撃はミシェルたちだけではなく、周辺にいたインバスのメンバー皆に届くものだった。
 他のタンクたちとつかず離れずの位置を保ちながら、ヒーラーやクラフターを守るように立ち回っていたリリックが、
「ここは私に任せろっ!」
 と最前線に駆け込む。離れていたATK班の傍まではたどり着けなかったが、竜眼の宝盾を構えて、どうにか耐え抜く。
 ミシェルはすぐさま壁の後ろまで退避したが、避け切れずに攻撃が掠ってしまっていた。
 他にも数名負傷したようだが、幸いにもリリックのおかげで、ヒーラーたちが無事だった。
 ロゼが、素早くレンジヒールを発動し、周囲の仲間たちを一斉に癒していく。間違っても仲間がやられてしまわないよう、行動は早め早めに、だ。



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