三千界のアバター

≪GOE≫地よりとぶもの、空をおりるもの・後編

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序章



 ヨークシティ、アレクサンダー社コロンビア法人。
 もはや「跡地」と言ったほうがいいこの地に、トレントとビッグ・ノームの一行、そして彼らに協力する特異者たちが到着する。
 現地では既に、ベシルシニとその一族が懸命に戦っていた。彼らのおかげでバリーが用意した冷気の杭は守られており、土の侵食は『杭の結界』の範囲内で止まっている。また、ピキャックス・オリジンの社員たちもベシルシニの一族と共闘し、重機を兵器、あるいは単純な盾として用いることで杭を守っていた。
「族長! 大丈夫か!?」
 トレントは慌てた様子で族長ベシルシニの元へ駆け寄る。
「おぉ、久しいな、友よ。大丈夫、とは言えぬ。我が一族の者たちも限界が近い……」
 ベシルシニの言う通り、もう数日もの間戦い続けている先住民たちの顔には疲労が色濃く出ている。とうに限界を超えている者も中にはいるだろう。
「すまねぇな、こんなことになっちまって……全部、俺が」
「その先は言うな。今はこの状況を打破することだけを考えるのだ」
 謝罪や懺悔をしている暇はない。どうしてもしたいのなら、この一件が終わった後に好きなだけすればいい、と言わんばかりにベシルシニはトレントの言葉を遮った。
「……そうだな。安心しろ! この状況は……ノーマは今日中に何とかして見せるぜ!」
「その意気だ、わが友トレント・ゴア。皆の者、奮起せよ! この大地の異変は、今日を以て終わらせる!」
 ベシルシニの大号令は周囲に響き渡り、一族だけでなく各社の社員たちや特異者たちもその声に応じた。

 この大陸に安寧をもたらすことはできるのか。
 ノーマ救い出すことはできるのか。
 それらはこの場にいる全ての者たちにかかっている。



「……動き出しましたか」
 奮起する一行を、ケイ・フリーマンは遠目に確認した。
 その顔は相変わらず無表情ながら、少しやつれたようにも見える。
「では、我々も準備を」
 ケイは率いる汽人兵に短く指示を出すと、自身も左腕にギア摘出装置を取り付ける。
 やることはただ一つ。ノーマ・クラブトゥリーを掘り起こし、地のオリジナル・ギアを摘出する。
 それだけのことに、柄にもなく緊張している。
 起源の七体としての力を暴走させたノーマは一筋縄ではいくまい。加えて、ノーマを救い出そうとする者たちの動きにも注意を払う必要がある。更に、それらの壁を全て突破し、見事ギアを摘出できたとしても、この場を生きて出られるだろうか。そもそも、摘出の際に何が起こるかもわからない。
 条件は最悪に近い。
 ケイは初めて、前任者であるケネス・フィッツシモンズに同情する。
 それでも、彼女に退く道は既にない。大いなる目的のため、与えられた任務はこなさねばならない立場だ。
「突撃の機を見計らいます。それまでの間、戦闘態勢のまま待機を」
 覚悟は決まっている。
 衝突の瞬間を待ち、ケイは静かに戦場を注視する。



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