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堕悪のメイプルランド・後編

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堕悪のメイプルランド・後編
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暁の二翼



 チェス会場を目視できる、中庭の一角で、襲いかかる巨大な駒を朱雀 龍希は格闘の蹴りで押し戻し、距離を取ってから闇を放つ。直後、別方向からも飛びかかってきた鎧型の振り下ろす剣を、龍希はアームディフェンスで受け止めた。真上からおろされた剣は、しかし止めても尚、龍希を押し潰そうと圧をかけてきた。龍希の重心が次第に下へ落ちていく。
 と、一瞬の隙をついて龍希は一歩、前に出る形で鎧の懐に入り込み、その体を掴んで投射した。鎧は思いのほか重く飛距離は出なかったが、それでも近くにまで迫っていた椅子や棚たちにぶつけることで、一気に数体を退かせることに成功する。
「朱雀さん、乗ってください!」
 迅雷 剣太がサイドカー付きバイクのエンジンを唸らせながら呼んだ。龍希は急いで剣太の後ろに、後ろ向きに乗ると、剣太はバイクを走らせる。サイドカーには既に迅雷 敦也が乗車していた。三人の乗るバイクの上空を、迅雷 火夜がフライングブルームでついていく。
(今回もレガリア探すのに火夜ちゃんの力が必要なんだって~。火夜ちゃん、お兄ちゃんの役に立てるなんて嬉しいな~。イッーパイ頑張っちゃうよ~)
 向かう先は、火夜が神託によってぼんやりと予知したチェス大会の会場方面だ。だが、鮮明な予知ではない。そこに何があるのか、レガリアとどう関係があるのか詳しくまではわからなかった。だから、とにかくそちらへ向かってみなければならなかったのだが、会場へ向かう通路の一角が調度品で埋め尽くされており、進むことが出来ず中庭を迂回する形をとったのだ。
「火夜の占い、ターゲットディスプレイの情報から判断してレガリアはおそらくあの辺りでしょう」
 花壇と花壇の間にある敷き詰められた煉瓦の道、その先にある会場と思しき一角を剣太は見据える。そんな剣太たちにつられて、調度品たちがわらわらと追いかけてきた。
 その隙に、薔薇のナイトは調度品たちの後ろから、パーク内に取り残されていた一般人たちを誘導する。彼等は運よく調度品たちに襲われずに済んでいたようだ。だが、封鎖されたメイプルランドの中でそれなりの時間を過ごさなければならなかったため体力的にも精神的にも疲弊している。少し辛そうな様子で非難する彼等を見て、薔薇のナイトは花弁を舞わせた。……それを見た一般客たちは、少しばかり気が癒されたのか、大人しく避難誘導に従って黙々とついてくる。
 一般客には気付かず、調度品たちはサイドカー付きバイクに追いついて飛びかかってきた。バイクは定員オーバーのため速度が思ったよりも出なかったのだ。降ってきたゾンビのような馬の駒が、大きな口を開けて噛みつこうとしてきたのを、サイドカーのほうに乗っていた敦也が振り向いて、アームディフェンスで防ぐ。一旦弾いた後、敦也はすかさず駒へと封術をかけた。
「これで大人しくしてくれだぜ!」
「兄者! 前にも……!」
 剣太の声に敦也が振り向けば、バイクの進む先にも調度品が集まってきていた。剣太はバズーカでそれらを吹き飛ばす準備をしていたが、定員オーバーのバイクでなだらかと言えない道を進むための運転はそれなりに力が必要で両手を離すことが出来そうにない。
 それを察した敦也は前を向くなり、風圧を使って前方を埋める敵を吹き飛ばした。
「お兄ちゃんたち~まだまだいっぱいだよ~」
 しかし、空を行く火夜が、空中で止まるようにして少し先に目を凝らしつつ言う。火夜の見ている先、会場へ続く道は、進むほど調度品たちの数が増し、一部はひしめき合うようになっていた。それも、会場に向かえば向かう程数が多い。
 敦也も空中戦闘で空から状況を確認したが、屋内と同じくやはり調度品に狭い道が埋め尽くされている。
 そうこうしている間に、地上の剣太と龍希は調度品たちの挟み撃ちに遭っていた。が、龍希はすかさずバイクを降りて、せめてこちらを追いかけてきた数が少ないだろう方角の調度品たちに闇をぶつける。敦也もすぐに加勢して、風圧で調度品を飛ばし、ちょこまかとするものには封術をかける。剣太もバイクを停めて跨ったまま、捕獲用バズーカを放った。
 どうにか道をこじ開けたところで、剣太はバイクを無理矢理ターンさせて、龍希を後ろに乗せると共に開いた道を元へ戻る。なんとか挟み撃ちの状態を抜けた剣太たちは、それから改めて会場への道を探した。が、なかなか見つからない。
 一般客を避難させることには成功したし、このまま幾らかの調度品を引きつけることはできるだろうが――、調度品の群を避け押し通るには少し時間がかかりそうだ。
 剣太が考えたとき、チェス会場とは反対側の方角から、こちらへと走ってくる人影が見えた。
 それは、信景とアストライア、それからドローンエンジニアの三人だった。


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