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妖魔を統べる者

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妖魔を統べる者
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■プロローグ■



 ――十五年前、京。

「土蜘蛛を封じるとはな。やるではないか、人間」
 彼方へと飛ばされていく土蜘蛛の姿を一瞥した後、大嶽はそれを成した陰陽師へと視線を移した。
「だが、私はそうはいかん。格の違いを見せてやろう」
 空に向かって手をかざすと、天から稲妻が降る。それが、陰陽師――阿倍 清明が立っていた屋根にあたり、建物を消し飛ばした。
「今度は術師か? 手伝ってやろうか、清明?」
 地上にいる老人が声を発した。先ほど、あの土蜘蛛を歓喜させた侍だ。
「私一人で十分です。それより、坂上殿はあちらの鬼を!」
 直後、炎が一直線に老人に向けて放たれた。
 大嶽によるものではない。
「大嶽よ。そのジジイ、できるぜ。あんまり舐めてっと、土蜘蛛みたいに痛い目見んぞ?」
「慢心はない。それに、目下の脅威はこの二人だけだ。とっとと終わらせるぞ、鬼同丸」
 鬼同丸が野太刀を振り下ろすより速く、老人が間合いを詰めて踏み込んでいた。
「よう。お前さん、刀の心得があるみてぇだな。見せてみろよ、“鬼”の剣技ってやつを」
「カカッ、威勢のいいヤツだ。そんじゃ――少しは足掻いて見せろよ」
 鋼がぶつかり合う音が響くと同時に、二人の姿が消えた。
 目に留まらぬ剣戟が繰り広げられ、互いの刃が衝突するために、衝撃波が巻き起こる。
「久しぶりに見るな、坂上殿の本気は。では、こちらも始めるとしようか」
「人間の術など、私には効かぬぞ?」
 空が曇り始める。
 陰陽師が霊符を放ってくるが、それらを雷が焼き払った。さらに、術を使う暇を与えぬよう、雨風を巻き起こす。
「嵐を巻き起こす力か……恐ろしい力だ。おまけに、陰陽道の心得もあるとみられる」
 だが、と陰陽師は言った。
「鬼――大嶽といったかな。確かに、お前は強い。だが、この国の陰陽師の強さを決定づけるのは、術式ではない」
「また霊符か? 無駄なことを」
 先ほどと同じように、霊符を狙う。
 だが、放たれた札は、破れなかった。
 十二枚の符から召喚されたのは、強大な霊力を持つ式神。
「式神『十二天将』。式神とは、ただ使役するものではない。自由意思を持つ式神にも認められるかが、陰陽師としての強さを分ける。
 ――ここからは、“我々”が相手だ」

* * *


「真の意味で強さを分けるのは、術の強さではない。支配力だ」
 強力な存在を、自在に操る力。
 かつて清明と戦った時、それが重要であることを実感した。
 敗れはしたものの、ヤマタノオロチの成果は上々だ。“もう一体”の方はそれ以上の出来であり、期待もできる。
 だが、妖魔だけでは足りない。
 首領と副首領のように、同じ“鬼”さえも使役するだけの支配力があれば、あの二人と対等になれる。
 そのためには、自分たちを知らなければならない。“鬼”がどのようにして生まれるのかを。


■目次■


プロローグ・目次

【1】露払い1
【1】露払い2
【1】露払い3
【1】山荒との戦い1
【1】山荒との戦い2
【1】山荒との戦い3

【3】集う
【3】あきら
【3】柚野
【3】その他の、芸能者たち
【3】出現
【3】馬頭
【3】牛頭
【3】守る面々
【3】背援
【3】任務完了

【2】結界と迷子
【2】結界と迷子 その2
【2】鬼を探して
【2】裏切り
【2】問いかけ
【2】宣戦布告と鬼の研究と
【2】特異者と大嶽
【2】特異者と大嶽 その2

エピローグ

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