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【12周年】地球の異変

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【12周年】地球の異変
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■プロローグ■


――ホライゾン、市庁舎。

 閉ざされたその一室は、今回の作戦に当たってヴォーパルのために用意された部屋であり、鍵守の力を制御しやすくなるように細工が仕込まれていた。
 その部屋の中心に立つヴォーパルは、深く呼吸することで集中を高めると杖を掲げ、抑えていた鍵守の力の感覚を確かめるように、徐々に出力を高めていく。

『蒼の鍵守よ、感じるか?』
「えぇ。……これがあなたの力ですね」

 瞑目したヴォーパルの頭の中に直接響く声は、蒼の鍵守であるヴォーパルと対を成す赤の鍵守ライアのもの。恐らく、ライアもどこかでヴォーパルと同じように力を高めているのだろう。
 同時に高まった互いの持つ鍵守の力が干渉したのか、こうして直接会話する事が可能となったようだ。

「事態は急を要しますが、我々も初めての事です。少しずつ合わせていきましょう」
『ふ、慎重なことだな。まぁよい、こちらとしても不都合はない』

 互いに向ける鍵守の力を、優しく指先で触れ合うように重ね合わせ、少しずつ重ねる量を増やす。循環、そして共鳴。蒼と赤の力が互いを高め合いながら一体となって地球へと注がれていく。

■ □ ■


――日本、関東圏。

 新型の感染症と発表された謎の病によって人々や動物が暴れ混乱を見せる街の中。とある学校の屋上に、純白のクルタを身に纏う美しい青年が一人立っていた。

『聞こえているか、アルジュナ。鍵守の力で制限が解除された』
「うん、僕も力が漲っているのを感じてるよ」
『よし、それでは鎮圧を開始せよ』
「了解。……ホライゾンの特異者には負けられないからね」

 三千界管理委員会からの司令を受けたアルジュナは、通信機に拾われないほどの小声で呟くと、柔和な微笑みを引き締めて弓を構えた。
 異能を封じる地球の枷から解き放たれた神にも迫る弓兵は、膨れ上がるオーラを矢として番えると、常人には視認すらできないほどに離れているはずの、市街地で暴れる”感染者”に狙いを定め、その体――ではなく纏う衣服の端を精確に射貫き、家屋の壁に磔にした。

■ □ ■


――太平洋上。

「よっしゃあ! これで暴れられるぜ!」

 ヴォーパルとライア、二人の鍵守の力で解き放たれた者はアルジュナだけではなかった。制限が外れたことを認識した瞬間、待機の場として与えられた一室を飛び出した人物は、ぎらついたサングラスをかけた大男。セトのコードネームと神格を与えられた委員会幹部の一人だ。
 セトは制限なくアバターが使えるようになる瞬間を一日千秋の思い出待ちわびていたのだ。

「待たせたなぁスーリヤ!」
「いや別に待ってないし……」

 先行していた東郷 きららに追いついたセトは眼下に横たわる“怪獣”の姿を見てにやりと笑みを深める。きらら渾身の一撃で顔面を吹き飛ばされたという話だが、その傷も完全に癒えて北上を始めようとしているところだったのだ。

「いいねぇ、それでこそ倒し甲斐があるってもんだ! いっくぜぇ!!」
「あ、ちょ! せとっち!?」

 きららが止める間もなくセトは急降下すると、セトの権能によって巻き起こした砂塵の嵐を腕に纏わせ、真正面から怪獣に殴りかかるのだった。


■目次■


プロローグ・目次

【1】奇病の感染者への対処を行う
感染拡大
収束は未だ遠く

【2】歪みから出てくる怪物を倒す
怪獣襲来
生きた災厄
集え、災禍を払う光
雷鳴一閃
死闘の果てに

【3】歪みの中に飛び込む
狭間に蠢く悪意を祓え
払暁の煌めき
世界を喰らう昏き森
比翼の鳥、連理の枝
世界を斬り裂く閃光

エピローグ
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