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ハロウィン爆発しろ!?

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ハロウィン爆発しろ!?
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【PC同士でハロウィンを過ごす】

紅紫 司航/軽空母“鳳翔”の二人は、星郷ウィンクルムの建造物『リンクベース』の一室に来ていた。

「ほら、これでも飲みながら話そうか」

 司は向かい合って席に座ると、瓶ラムネを取り出して鳳翔に渡す。

「ありがとうございます! それで、お話しというのは何でしょうか?」

 鳳翔はラムネを飲みながら、少し緊張した面持ちで司を見つめる。
 わざわざこんな遠くまで連れてこられたのだ、鳳翔が身構えてしまうのも無理はなかった。

「いやなに、たまには鳳翔を労いたくてな。そう固くならないでくれ」

 司は、緊張をほぐそうとしてくれているのか、鳳翔に向かって微笑んだ。

「最近の頑張りは見事だから、スカウトしたいくらいだ」
「ふふっ、教導官様から褒められるなんて珍しいこともありますねぇ」

 鳳翔は、褒められたのが嬉しかったのかニコニコと笑いながら話しを聞いている。

(まあ、ここに来て強引に引き抜きなんて出来ないよな……)

 司か半ば本気で誘っていたのだが、鳳翔はそれに気が付いていないのか軽く流されてしまう。
 その後は一切スカウトの話は出さずに、雑談に花を咲かせていると、あっという間に時間が過ぎた。

「ここら辺で良いだろう」

 司と鳳翔は外に出ると、草原の一角でバーベキューの準備を始めた。

「海じゃないが、秋刀魚を焼いてみたぞ。ちょっとした秋刀魚祭り、ってところだな」
「わあっ、美味しそうです!」

 こんがりと焼きあがった秋刀魚を二人で食べながら、のんびりと周囲の景色を眺める。

「うーん、気持ち良いですねぇ~」

 鳳翔は、空に向かって伸びをしながら自然の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
 鳳翔は心の底からリラックスして楽しんでいる様子だった。

「片付けなら、わたくしに任せてください」

 バーベキューが終わり片づけを始めると、掃除好きの鳳翔は張り切ってマトリクス製箒を取り出し、あっという間に来た時よりも周囲をキレイにしてくれた。

(スカウトは出来なかったが、鳳翔が喜んでくれたから今日は良しとするか……)

 帰りの道中、後ろを笑顔で歩いている鳳翔の姿を見て、司は満足そうに頷いた。

△▼△▼△


「ホシ麦は十分にある。これなら、沢山かぼちゃクッキーを作れそうだね」

 同じく、『リンクベース』に来ていた燈音 春奈たちは、一室を借りてお菓子作りをしていた。

「このかぼちゃ良い感じに熟しているので、甘くて美味しいクッキーになりそうです」

 ソルフェ・セフィーラは、手際よく包丁でかぼちゃを細かくカットする。
 その間に、春奈はクッキーの生地の材料を混ぜ合わせて準備をしていた。

「どうやら、ここは二人に任せて大丈夫そうだな」
「ええ、僕たちは屋台の準備をしましょうか」
「うん、お願い。ハロウィンらしい雰囲気にしてね」

 壁際に立って様子を見ていたルドラ・ヴァリオス燈音 了の男二人は、春奈に見送られてメインフロアに移動した。

 飾り作りを担当することにしたヴァリオスは、目の前に画材を並べると、しばらく目を閉じて精神を集中していた。
 インスピレーションが降りて来るのを待っていたのだ。
 すると、ヴァリオスは突然カッと目を見開き、見事な手つきで次々とハロウィン飾りを作り上げていく。

「さてと、屋台はこれで良しと……」

 了が屋台を組み立て終わると、飾りを作っていたヴァリオスがやって来た。
 その手には、画用紙で作ったジャックランタンやコウモリ、そして幽霊の絵など色とりどりのハロウィン飾りを持っていた。

「わあ!相変わらず器用ですね」
「うむ、俺にとってはこれくらい朝飯前だ。飾り付けを手伝ってくれるか」

 了とヴァリオスの二人で手分けして飾り付けを行うと、あっという間にハロウィンらしい雰囲気の屋台が完成した。

「屋台の設営と飾り付けは完了しました!」

 了たちが春奈の元に戻ると、部屋には食欲がそそられる甘い匂いが立ち込めていた。

「こっちもちょうどクッキーが焼きあがった所です! 少し味見しますか?」
「ああ、いただこうか」

 セフィーラに薦められて、ヴァリオスは焼き立てのかぼちゃクッキーを一口かじった。
 すると、口の中一杯に上品な甘さが広がり、ヴァリオスは思わず感嘆の声を漏らす。

「うむ、これは美味いな」
「良かった、お客さまに下手な物はお出し出来ませんからね」

 セフィーラは満足そうに笑いながら、自分もクッキーを味見する。

 「実は僕も家でプニャーニクを作って来まして……良ければこれも置いてもらえますか」

 了は、鞄から猫の肉球の形をした焼き菓子を取り出すと、テーブルの上に置いた。
 「かわいい……」と、春奈はその愛らしい形の焼き菓子を手に取って見ながらつぶやく。

「そうそう、せっかくのハロウィンだし皆で仮装してお店に立とうよ」
「賛成です、私はキョンシーの衣装を持って来ました!」

 春奈の提案に、セフィーラは頷くと鞄から衣装を取り出して見せた。

「うーん、私はこれでいこうかな」

 春奈が指をパチンと鳴らすと、瞬時に服装が魔女の姿に様変わりした。
 黒と紫のローブにとんがり帽子、そして手には箒まで持ち、服装だけでなくその雰囲気まで熟練の魔女のようだった。

「それなら僕も……」

 了も、一瞬で黒いタキシードに赤いマントを羽織ったヴァンパイアのような服装に変わる。
 元々がヴァンパイアだけあって、了にその服装はとても良く似合っていた。

「俺はあいにく衣装を持ち合わせてないからな、代わりと言ってはなんだが……」

 ヴァリオスは精神を集中すると、使霊術でコウモリ、黒猫、ネズミを呼び出した。

「みんな即準備完了ってズルくないです? 私はそこそこ時間かかるんですけど」

 セフィーラは愚痴をこぼしながらも、大急ぎでメイクをしてキョンシーの衣装に着替える。


「いらっしゃいませ~」

 そして、屋台を開けるとハロウィンらしい飾り付けと仮装に惹かれて次々とお客さんがやって来た。

「~♪ ~♪」
「ねぇ、見て見てあれ可愛い」

 ヴァリオスが屋台の近くで竪琴を演奏すると、その音色に合わせてコウモリ、黒猫、ネズミの使霊たちが愉快なダンスを踊ってお客さんを楽しませていた。

「お兄ちゃん、本物のヴァンパイアみたい」
「まっ、まあね」
「あっちにいる、魔女のお姉ちゃんもすごい」

 仮装をして客引きをしている了は、子供たちに囲まれて困ったように頭を掻いている。

 屋台を訪れたお客さんたちは、皆美味しいかぼちゃクッキーと紅茶を手に、思い思いにハロウィンを楽しんでいた。

△▼△▼△


 一方で、京・ハワードは吸血鬼の仮装をして、広場で行われているハロウィンパレードに参加していた。

「ねぇ、あの子、見て見てかわいい~」
「ほんとう、お人形さんみたい」

 京は、自分のことを見て話しているお姉さんたちに近づいていき話しかける。

「トリックオアトリート! お菓子くれなきゃイタズラしてちゅ~ちゅ~しちゃうぞぉ~♪」
「はい、どうぞ! お嬢ちゃん可愛いからたくさんあげちゃう」

 ノリノリでからんできた京に、お姉さんたちはメロメロでクッキーやチョコなどのお菓子をどっさりと渡してきた。

「おおっ、大人はちょろいわね。私の可愛さの虜じゃない」
「よしっ、どんどん行くよ。そしてお菓子をいっぱいもらうの!」

 いきなり大量のお菓子をもらえた京は、気分を良くしたのか次の獲物を求めて広場を徘徊し始めた。

「ふぅ、たくさん集まった。これでしばらくお菓子には困らないわ」

 ものの十分ほどで、少女は両手に抱えきれないほどのお菓子をもらっていた。
 京は次は何しようかなと考えていると、すぐ横を、美味しそうなりんご飴を持った少女が通りかかった。

「そうだ! せっかくだし屋台も見てまわろう」

 京は、広場に並ぶ様々な屋台を順番に見てまわり、何を食べようかなと考えながらルンルンとした足取りで歩いた。
 屋台で美味しいものを片っ端から買い食いしてハロウィンを思う存分満喫した。
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