【1-5】界霊ククルビタを討伐せよ!
砂原 秋良は静かに周囲を見渡しながら、分厚いトライアルブラックガウンを整えた。その視線は冷静そのものでありながら、どこかハロウィンとこの状況を楽しむような余裕さえ漂わせている。
桔梗院 桜華と
天音 雷華も一緒だ。
「さあ、雷華、桜華、油断は禁物ですよ……!」
「はい! 一気に叩き潰しましょう!」
雷華が緊張した面持ちで答える。ロベリアスーツ・レプリカを身に纏い、ミニエアロシップに搭乗した雷華の姿にはわずかな自信も宿っているようだ。
桜華は仕込み傘を軽く回しながら微笑む。
「せっかくハロウィンなんやし、ちょっとでも面白いものを見せておくれやす」
空中に浮かぶ巨大なククルビタがじわりじわりと再び移動を開始する。激しい炎が周囲を焼き尽くす前に、三人はそれぞれの位置についた。
「まずは周囲の安全を確保しますね」
秋良はヴィシュヌの護符を掲げると、周囲の仲間たちに護符の効果が届くよう配置を整えた。その間に、使霊術で召喚した狼たちを分散させる。
雷華はミニエアロシップを操縦しながら、マドファジェズルで魔法弾を次々と放っていく。魔法弾がククルビタの巨大な目に撃ち込まれた。
「ええ調子やわ──さぁ、もう少し付きおーてや!」
桜華は軽やかに舞いながら、仕込み傘を開いた。それはただの傘ではなく、五星桔梗院流の傘闘術で繰り出される鋭い一撃を秘めている。傘の尖端がククルビタに突き刺さり、その瞬間、ククルビタが苦しむように揺れる。
「雷華、ケージオブレイズを繋げましょう」
秋良が指示を出すと、雷華は即座に応じる。
「了解! 行きます!」
雷華の魔法弾とケージオブレイズの光線が連携してククルビタを包み込み、その波状攻撃が見事に命中する。続けざまに、秋良が妖気の雷撃拳を発動した。拳に宿る雷神の力がククルビタに注がれる。そのまま秋良はアカシックレコードを展開した。ククルビタの内部情報を読み取り、次の攻撃を効果的にするための準備を進めるのだ。桜華もその情報に合わせて動き、仕込み傘を再び構える。
「この技、久しぶりに披露するわぁ……」
桜華が低く呟き、奥義を放つ。傘の刃が一閃したかと思うと、ククルビタの外殻が音を立てて裂けた。
しかし、ククルビタの動きが完全に止まることはない。口元から嫉妬の炎を吐き出し、三人に襲いかかる。炎がミニエアロシップをかすめる瞬間、雷華がロベリアスーツ・レプリカのホバー機能を使って即座に回避した。
「そんな炎には絶対に負けませんよ!」
雷華が月天の護符のオーラで精神耐性を強化しつつ、大地母神の守護を発動した。三人を覆う防御膜が炎の直撃を大きく軽減してくれた。
「これで終わりにしたいところですけど……ちょっと難しいですね」
秋良が呟くと、アカシックレコードがククルビタの弱点を示す。
「あともう少し……全力でいきましょう!!」
秋良は弱点のデータを元に攻撃を仕掛けると、更に雷撃拳を繰り出す。一撃、また一撃とククルビタの巨体に繰り出されていく。
雷華もミニエアロシップの魔力砲で追撃し、桜華の仕込み傘が再び鋭い斬撃を加えた。三人の連携は確実にククルビタの力を削っているはずだ。
しかし、ククルビタは力を振り絞るようにして口から強烈な嫉妬の炎を吐き出し、辺りを炎が包み込む。
「もう終わらせたいところですが……まだ少し時間が必要ですね」
秋良が冷静に言う。
「少しずつ弱らせていきましょ。
なんやかんやで、攻撃自体はかなり効いてるみたいですし」
桜華の声にはまだ余裕があるようだ。特異者たちの力が徐々に優勢に傾きつつある中、戦いの幕はまだ降りる気配を見せなかった。
加勢するようにして、
藤原 経衡と
神門 鼎、
ソフィア・ヴァーリィの三人が無線通信を通じて緊密な連携を取りながら、空の戦場を支配するククルビタに挑む。
「……さて、派手にいきますよ」
弾道予測システムを起動した経衡が呟く。機体が鋭く旋回し、ククルビタの嫉妬の炎を最小限の動きで回避した。
「慌てない慌てない~~!!」
経衡の緑青鎌鞭に神祇として憑依した状態の鼎。雷水仙の力を自身に取り込み、経衡の飛行をサポートする。
「いったん敵を引きつけます!」
後方では、アルストロメリアR・改で飛行するソフィアがプロネシスを構え、射線を正確に定めて矢を放った。その矢はワンホールショットによる高い命中精度でククルビタを確実に捉え、負のエネルギーを浄化していく。
ククルビタは一瞬動きを鈍らせたものの、次の瞬間には激しく嫉妬の炎を噴き上げた。膨大な熱量を持つ炎が三人を包み込もうとするが、ソフィアの月天の護符とロベリアスーツ・レプリカが精神汚染と炎熱を防ぎ、更に経衡の推し法被が炎を弾き返す。
「インテグレーターによって空を奪われ、その後に空震によって空を抑えられた。その度に我々は空を奪還してきたのだ。空を抑えた猛威の一端、とくと味わうが良い。そして我らと同等に見事乗り越えて見せよ!」
経衡はジ・エンプレスを構えた。物理的に干渉できる距離までククルビタに近づく。わずかなその隙を突いて緑青鎌鞭の刃が煌めく。斬撃が触れた箇所からは雷と炎がほとばしり、ククルビタの表面を蝕んでいく。──憑依したままの鼎が狐神の衣から放たれる霊力を込めて獄炎環を形成した。ククルビタを囲むように燃え盛る炎のドームが立ち上がる。ドーム内部では鎌鼬が乱舞し、ククルビタの表面を次々と斬り刻んでいった。
「援護しますね!」
ソフィアがプロネシスの矢を連射し、ククルビタが放つ炎をかき消すようにして動きを封じる隙を作る。経衡もその機を逃さず、アバターファンタズムを駆使していったんククルビタの視界から消え、隠密行動で次の攻撃位置へと移動した。
「──ソフィア、準備はいいか?」
「はい。いつでもどうぞ!」
ソフィアがケージオブレイズを発動した。界霊特効光線が波状攻撃となり、ククルビタの動きを制限しながら誘導していく。その動きに合わせて経衡はアバターズレイの準備を整え、オーラを凝縮していった。
「これで最後にしてやる……ッ!!」
経衡がアバターズレイを放つ。光線がククルビタに命中したが、ククルビタ嫉妬の炎を噴き上げ、戦意を失わない気配を見せた。
「さすがに手強いですね……! まさか不死身!?」
ソフィアが汗を拭いつつも、次の矢を装填する。鼎も霊力を消耗しながらも、まだ戦い続ける意志を見せていた。
「不死身ならあんなに低空飛行にはならないはずです。
だから、ここで止まるわけにはいきませんっ……!」
経衡はスラッシュを操作し、再びククルビタとの距離を詰める。三人はそれぞれの力を合わせ、ククルビタを再度押し込むべく立ち向かっていった。
ここまでの戦いにおいて、特異者たちの連携が確実にククルビタを追い詰めていた。しかし、次なる一撃がククルビタの運命を決するかどうかはまだ誰にも分からない。
──ククルビタは、その巨体に無数の傷を負いながらも未だ空に留まっていた。これまでの戦いでかなりのダメージを受けているとはいえ、嫉妬の炎を纏うその姿は特異者たちへの執念を物語っている。
「てめぇはほんっと、恵まれた身体能力で大暴れすんのが好きだよな?
ちっこいアイドルなのによ」
アレクス・エメロードがワイバーンの背で冷笑を浮かべながら
戦戯 シャーロットをからかう。
「ちっこいは余計っ!」
ハロウィンのためにうさぎのコスプレをしたシャーロットが即座に唇を尖らせる。
「アイドルには突っ込まねぇのかよ!?」
「え? だってそれは本当じゃん? ボク、フェスタのトップアイドルだもんっ♪」
「……まぁ、そうなんだけどよ」
アレクスがぶつぶつと言っている間に、シャーロットはレイヤーオブアバターズで精神耐性を高めると推し法被を翻して
戦戯 嘘へと近づいていく。
「うさぎは寂しいと死んじゃうんだからっ! うそちゃんハグして~!!」
「ん~~~! ハグしたいのはやまやまだけど、まずは片付けてからにするのよ」
「ちぇ~」
嘘は優しく応じたが、戦闘体勢を崩さない。
「シャロ、大好きだけど、今はククルビタが優先なのよ」
「はぁーい……分かったよぉ……」
残念そうな表情で、シャーロットは氷刃刀を抜いた。ククルビタとの間合いをアブソリュートディスタンスで詰めながら、噴き出された嫉妬の炎を斬り裂いて進んでいく。
「へへー、そんな簡単に当たってあげないよーん☆」
その姿にアレクスがクライオクラズムを発動する。
「自ら炎に突っ込むとか正気かよシャロ!?」
嫉妬の炎がシャーロットが振りかざす氷刃刀冷気に押されて、少しずつ威力を弱めていく。
ククルビタの目が赤く光り、怒りを露わにしたかのようにさらに紫炎を噴き出した。
「シャロ、今なのよ!」
ククルビタの死角を見つけた嘘が、シャーロットに合図を送る。
「えへへー、了解っ☆ いくよぉぉ──っっ!!」
氷刃刀を構えたシャーロットがククルビタへと向かっていく。
アレクスも穿界槍セピアスピアを使ってコスモストライクの斬撃を繰り出した。シャーロットがその隙に禍神断で神速の一撃を叩き込む。ククルビタの巨体が大きく揺らいだ。
「ねーねーうそちゃん、今度一緒に特訓してペア技考えようよー☆」
「う、うん。でもシャロ、今はククルビタに集中するの」
「うそちゃんとなら、どんな敵でも負ける気がしないよ!
えへへー大好きっ♪ ねねねね、シャロはわたしの嫁っていっぱい言って?」
「えっ!? えーと、シャロはわたしの嫁、シャロはわたしの嫁、シャロはわたしの嫁、シャロはわたしの嫁……」
嘘とシャーロットの二人の世界に割り込むようにして、
「早口言葉じゃねーんだからさーって、ちなみに俺の存在も忘れてもらっちゃ困るぜ」
と、アレクスが声を上げる。その姿に二人はくすっと笑みを浮かべた。
三人の連携が更に深まる中、ククルビタはなおも抵抗を見せて炎を一層激しく噴き上げる。その炎をアイギスで弾き返したシャーロットが自信満々に言った。
「これで次こそ、一刀両断っっ! 斬り捨ておめーん♪」
だが、ククルビタは完全に沈黙せず未だ戦意を失わない。その巨体に立ち向かい続ける三人 の姿。
「シャロ、少し下がった方がいいのよ。この後のククルビタの動きが読めない……」
「やたーーっ、嘘ちゃんに女の子扱いされちった♪」
シャーロットを守るようにして立ちはだかる嘘。アレクスがやれやれとため息をつく。
「へいへいごちそうさま。
つーかよ、女扱いされたいなら普段からもっとしおらしくしろよな。お転婆暴れ姫様め」
「暴れ姫なんかじゃ……ないもんっっ!!」
シャーロットの渾身の一撃が、動きの読めなかったククルビタの顔面に命中する。
「にゃはははは、ちょっくげきー!! ねーねー嘘ちゃんっ、今の見ててくれた?」
「シャロ来るぞ!!」
咄嗟にアレクスがシャーロットをかばう。ククルビタが怒りに満ちた咆哮を上げ、その巨体が震えた。嫉妬の炎が口から噴き出し、まるですべてを焼き尽くす勢いで迫ってくる──大きな目が鋭く光り、シャーロットを標的にしたかのように放射状のエネルギー波を撃ち出す。炎とエネルギーが交錯する中で、目の前にある空間が歪むような凄まじい攻撃の嵐が始まった。
シャーロットたちは一瞬の判断を迫られる状況に追い込まれる。
──そんな中、
優・コーデュロイがシャーロットを助けるように飛び込み、風の力で炎を防ぎ始めた。
「ありがとーっ♪♪」
アイリス・フェリオと
シュヴァリエ・シリヴレン、
レジェヴァロニーエ・レクラム、そして
ルージュ・コーデュロイも優に続く。
攻撃をかわされてしまったククルビタは怒りを露にしながら、更に低空飛行になる。ククルビタの咆哮が風のように広がり、まるでその音自体が空気を振動させるようだった。
優は目の前の混沌を見つめると、コネクトスピリットで生命力と魔力を活性化させる。そしてシュヴァリエと融合し、エレメンタルポゼッションを発動した。
シュヴァリエが優の中で落ち着いた声を発する。
「──優、準備オーケーですわ! いつでもできますわよ!」
「ありがとう、シュヴィ!」
優の指には盟約の指輪がはめられており、上級冒険者勲章と狐神の面で嫉妬の炎にも干渉されることはない。風祓の翠晶が、精霊としての力をさらに開放してくれる。
そして風祓の翠晶を手にし、精霊剣・風を両手の武器に付与するとたちまち風が巻き起こり、優の周りを渦巻いていった。そんな優にもククルビタは怯むことなく襲いかかる。
しばらくの間、優とククルビタの攻防戦が続いた。──かなり弱り始めている──それがククルビタの印象だ。
ククルビタが嫉妬の炎を吐き出さんと息を吸い込んだ次の瞬間、竜に乗ったアイリスが優の元へと向かってきた。竜の正体は、レイヤーオブアバターズの後に竜化を使ったレジェヴァロニーエだ。アイリスはその背中で輝くように立ち、優に声をかける。
「優お姉様、レジェとともに支援します。回復は任せてください!」
ククルビタが周囲を炎の海へと一変させたが、アイリスが聖天の杖を振るって癒しの光を広げた。
「──みんなに力を!!」
ビッグバンヒールが爆発し、まばゆい光がククルビタの視界を遮った。ククルビタは再び咆哮を上げる。アイリスを背に乗せ、竜となったレジェヴァロニーエが巨大な翼を広げて突撃を開始した。ククルビタの攻撃は天賦の屈強な肉体レベル6と、聖銀の武闘服による結界と刻まれた再生の術式対応していく。そのままはククルビタの巨体に突っ込み、体当たりしてみせた。体が大きい分、ククルビタは接近戦には弱いと見える。
いったん離れてから竜血玉首飾りで強化したドラゴンフォースを解き放ち、物理と魔法の威力を最大まで引き上げると、巨大な力で放たれたクロス状の魔法パニッシュメントクロスを放ち、ククルビタの動きを鈍らせた。
「だんだん弱り始めている……!」
ククルビタが優を狙おうとしたところへ、レジェヴァロニーエは穿界槍セピアスピアで高圧水流打撃を与えた。
「優を守る……全力で!!」
レジェヴァロニーエの言葉に、アイリスも頷いた。
その後方では、ルージュが待ち構えている。レイヤーオブアバターズですでに基本性能は底上げされており、嫉妬の炎に対する精神耐性もある。
身に着けたガーナーピアスの効果で風の流れとククルビタの魔力を感知し、デッドマスターで今の状況と支援すりタイミングを読むつもりだ。
クロスオーバーのラプソディアの歌舞を披露することによって、ここにいる皆の心を奮わせ、ククルビタの魔力にも惑わされにくくしている。
「みんな、私が……あなたたちを守るから。安心して戦ってね!」
ここがステージならば、ルージュは観客から圧倒的な注目を集めることができただろう。そして、アクアインフェルノを放つ。続いてショックアローを無数に分裂させ、ククルビタの周囲に放った。ショックアローはククルビタの勢いを次第に弱めていった。
シュヴァリエは優の並列思考として、的確に状況を判断していた。
「優、次の攻撃の準備ですわよ……!」
頷いた優は深く息を吸い込むと、フォースオブウィルを偽界の錆刀に付与した。
レジェヴァロニーエが再度突撃し、高圧水流を放ってククルビタを追い詰める。水流がククルビタに直撃した──優はその機会を逃さず、竜血の契を発動し能力を限界以上に引き上げる。
「ウェル・テンペスタス!」
強烈な風が渦巻き、ククルビタを包み込む。風の刃がククルビタの体を切り裂き、その巨体を抑え込む。風祓の翠晶の力を使って、優は精霊剣の乱舞で一気にククルビタにとどめを刺そうとした。
「──これで終わりにしましょう……!!」
ルージュは優の最後の一撃を支援するため、仲間たちの心をさらに奮い立たせようとした。
その時、ククルビタが全身の力を振り絞るようにして炎を放出し始めた。火の壁が辺り一帯を覆い、まるで誰も近づけさせないかのようにして自らを守ろうとしている。しかし、優たちは光景に決して怯むことはなかった。
「最後まで一気に攻めきりますわよ!」
と、レジェヴァロニーエが再び空へと舞い上がる。翼を広げて、全力を込めた突撃で炎の壁へと挑んでいく。
「みんな、集中しましょう……!!」
アイリスは再度ビッグバンヒールを放ち、仲間全員の体力と魔力を満たした。シュヴァリエも優の意識に溶け込みながら、冷静に指示を出す。
「優、今がチャンスよ。この瞬間を逃さないで!」
「大丈夫です……!!」
優は全身の力を集中し、シュヴァリエとの連携で精霊剣を振りかざした。
風の刃が再度ククルビタを包み込み、その中心で優の剣が深々と突き刺さる。ククルビタは絶叫し、その体が一瞬凍りついたように静止した──。次の瞬間には、ついに地上へと落下していく。
耳をつんざくようなククルビタの絶叫。最後の音を響かせ、地面へと墜ちていくククルビタ。燃え盛っていた火の壁もいつの間にか消失し、再び静けさが訪れた。
しんとした中、一瞬だけ戦いの名残を感じさせるような風が吹いた。優は深呼吸し、剣を収める。
「……お疲れさまでした。これでようやく、楽しいハロウィンを過ごせますね」
アイリスが微笑みながら近づき、優の肩に手を置く。
「お疲れ様、優お姉様。そして、みんな。本当にみんなのおかげです」
ルージュも微笑みながら優に近づいていく。
「これでやっとみんなに笑顔が戻るわね!」
レジェヴァロニーエは竜から人の姿に戻り、大きく息を吐いた。
「ふう、アイリスを乗せたままの突撃は少し疲れた……」
シュヴァリエは優の中で微笑む。
「私たちの力が合わさってこそ成し遂げた勝利なのです! やりましたわねっ♪」
ついに戦いは終わった。
特異者たちは互いに視線を交わしながら、ここまで戦いを繰り広げた仲間の感謝の意味を込めて拍手を送る。空には再び穏やかな風が吹き始め、平和を取り戻した空はいつまでも特異者たちをやさしく見守っていた。