■プロローグ■
――クオリアス領、サテライト
エマ・アルケミアス、
ガンド・衛刃、
キャロル・クオリアスの三人に続き、メギトスからの任務を受けていた特異者たちが指定の座標に到着すると、そこには空間が歪んだような渦がぽつんと浮かんでいた。
どうやら、この渦が報告にあった再稼働した風穴なのだろう。
道中、トラブルが無かった訳ではないが、この任務に参加する者はほとんど消耗しておらず、すぐにでも探索に入れる状態にある。
「最深部に一番乗りするのは僕たちだからね!」
「さて、それはどうでしょうね?」
「……ここからは別行動だ。勝手にしろ」
次元遺跡を攻略しその支配権を得ることで、魔物の出現を抑えて暴発を防ぐのが今回の目標ではあるが、それはそれとしてキャロルにとってはそれも楽しい遊びの一つのような感覚らしい。
魔法車から降りてキャロルが競争だと言い放つと、それを受けてエマは挑発的な笑みを返す。キャロルのように遊ぶつもりはなく自らの研鑽のためにより速い踏破を目指していたのだが、競争相手が出来たことで静かに闘志に火がついたようだ。
一方、そんな二人を眺める衛刃は相変わらず我関せずを貫くようだ。
しかし、それぞれ独力で遺跡を攻略できるわけではない。各陣営の学生代表であることもあって、特異者たちと合流するとそれぞれの指揮を執り、装備の最終確認や点呼を行うと特異者たちをまとめ上げて風穴を通り、その奥に広がる次元遺跡の攻略へと乗り出すのであった。
□■□
エマたちが風穴に到着し次元遺跡を攻略するために準備を整えている頃、近くの別の場所でもまた、戦いの準備が進められていた。
廃棄されたはずの工場が謎の集団に占拠されて魔道具を製造しているらしい。そして、その集団は世界各地で行方不明となっていた人物たちを誘拐した犯人らしい。
そんな情報をキャッチした
カムイは、極秘裏にエージェントとして魔法学院に迎え入れていたホライゾンの特異者たちに強力を要請していたのだ。
謎の集団を制圧し、攫われた人々を助け出して欲しい。と。
『それじゃあ、任せたよ』
遺跡攻略の任務に見せかけたカムイからの極秘任務を受けた特異者たちは、本当に遺跡の攻略を目指しているエマたちからこっそりと離れて工場の様子を伺っていたのだが、どうやら連中はこちらの動きに気付いた気配はないようだ。
仕掛けるなら今が絶好の機会だろう。カムイからの念話が途切れると、特異者たちは廃工場に攻め込むべく駆け出した。
■目次■
プロローグ・目次
【1】遺跡の攻略を目指す『アルケミーナレッジ』
■1-1.支え、目指し
■1-2.力を束ねて
■1-3.賑やかなフィナーレを
■1-4.一人では成し得ぬもの
【2】遺跡の攻略を目指す『ガンドラウィル』
・五層
・九層&十層1
・十層2
・十層3
【3】遺跡の攻略を目指す『クオリアスフィール』
【3】クオリアス寮の遺跡攻略・五層までの様子
【3】クオリアス寮の遺跡攻略・九層までの様子
【3】クオリアス寮の遺跡探索・十層の様子
【4】工場から人々を救い出す
・アルケミーナレッジ1
・ガンドラウィル
・クオリアスフィール
エピローグ