■プロローグ■
――ホライゾン海上、黄金神殿 最奥の間
床も壁も黄金によって出来た一室にしつらえられた、これまた黄金で出来ておりさらには様々な宝石の数々で飾られた無駄に豪華な椅子に鎮座するのは、ご存じ
田中 全能神――の体を乗っ取ってしまったグミ坊主改め
ゴールデン坊主だ。
侍らせている配下のサハギンたちに、どこかからフルーツの盛り合わせを持ってこさせたり、大きな葉を団扇にして扇がせたりと好き放題やっているようだ。
その視線は椅子の正面に置かれた巨大モニターに向けられている。
少し前から黄金神殿には特異者やアイドル、契約者たちが乗り込んできており、各部屋を繋ぐ通路に現れるゴールデンサハギンを軽く蹴散らしながらそれぞれが目的とする部屋へと入っていく姿が映し出されていた。
「ふむ。これ以上参加者はいないようだな?」
やがて、黄金神殿へと乗り込む者の姿はなくなり、モニターのチャンネルを切り替えて各部屋の参加者たちが準備万端といった様子で開始の合図を待っている姿を見ると、満足そうに頷き立ち上がる。
「それではこれより試練を開始する。各々の奮戦を期待しているぞ!」
ゴールデン坊主がすっと右手を挙げると、それが合図となって全ての部屋で同時に特異者たちが動き出し、戦闘や探索による音がモニターからだけでなく神殿の各所から響いてきた。
こうして、ゴールデン坊主が課した試練の幕が切って落とされたのである。
「ねぇ。この茶番、ずっとみてなきゃダメ?」
「しょうがないでしょ、隣になっちゃったんだから……」
そんなゴールデン坊主の様子を呆れたように眺めているのは
ロベルト・フェルナンデスと
ヴァネッサ・フェルナンデスの二人だ。
二人がいるのはゴールデン坊主の座する玉座の間に鉄格子を挟んで隣接する部屋。リタイアした参加者が運ばれる牢屋という設定になっているが、結局のところは観戦室兼医務室だ。
牢屋という設定上、鉄格子で区切られ向こう側を見ることが可能で会話も出来るということは、ゴールデン坊主の芝居がかった振る舞いが嫌でも聞こえてくるということでもある。
全ての試練が終わるまでどれだけの時間が掛かるかは分からないが、それまでこれに付き合わされることになると考えると、今から辟易してしまうのも無理はないだろう。
(早く、アレを気にしなくて済む程度に患者が来ないかな……)
モニターを眺める二人の心はそんな思いで一致していた。
■目次■
プロローグ・目次
【1】黄金の神殿で宝探し
牢屋前ゴールデン坊主様
第1の部屋 前半戦
第1の部屋 後半戦
第2の部屋
第2の部屋 争奪戦
第3の部屋
第4の部屋 その1
第4の部屋 その2
第5の部屋
第6の部屋 撃退戦1
第6の部屋 撃退戦2
第7の部屋
第7の部屋 戦闘2
【2】ワールドホライゾンでGWを過ごす
【2-1】Seaside Hut Beehive
【2-2】それぞれのおうち時間
【2-3】ホライゾンを歩く 1
【2-4】ホライゾンを歩く 2
【2-5】ホライゾンを歩く 3
【3】新生ワールドホライゾンでGWを過ごす
【3-1】星郷ウィンクルム~リンクベース 1
【3-2】星郷ウィンクルム~リンクベース 2
【3-2】もふもふ高原
【3-3】喫茶ナインテール
【3-4】フルール温泉
【3-5】ネムキエ・ネムス
エピローグ