■プロローグ■
――アルテラ、理の領域。
「おや、君の方から『記憶の庭園』に入ってくるとは。興味深い事もあるものだ」
“純色の魔女”ルーミリアは、「巫女の記憶」に接続した。
『竜の黄昏』を経て竜神から力を継承した巫女たちは、世界に融けて一つになる前に、自分たちの人格と記憶を保存した。
世界の深層、理の領域内に。
「確定した歴史を歪め、現在を壊そうとする力がこの世界を――三千界を蝕もうとしています。
あなたたちは記憶体ですが、共に人の時代を拓いた、わたしにとってかけがえのない友に変わりはありません。
皆の知恵を貸して頂きたいのです」
“深緑”、“黄土”、“極黒”、“真白”、“赤陽”、“濃青”。
テーブルを囲んでいるのは、色を司る六人の少女。
「世界の理は書き換えられ、竜の時代から続いていた一神六王の加護は失われた。
人が自ら可能性を掴めるようになった一方で、世界を乱すこともまた容易となった。
多様な可能性は多様な未来へと繋がり、本来であれば潰えたはずの可能性の芽もまた、生じさせ得る」
ルーミリアは、本来空席であるはずの“天(そら)”の席に、腰かけている者がいるのに気づいた。
「迷い込んだ、って言っても信じてくれなさそうだね。
……ここにいるクロちゃんは多分、あたしが知らないクロちゃん。何となくわかる」
「あなたは……」
「初めまして。あたしは……そうね、“色の魔王”とでも名乗ろうかしら。
このメンツだと、ちょっとぼかしとかないと変な影響を及ぼしかねないし。
分岐した別の世界で魔王――魔神の使徒をやってる。
こうやって引き寄せられたってことは多分、あたしのいる世界と君たちの世界は今、限りなく接近しているってことだと思う」
それを示すような前例もあると、魔王は言った。
「それに、君たちの世界の未来……の一つから来たっぽい子に心当たりがあってね。
カオスとやら乱そうとしているのは過去、歴史の分岐点だけじゃないのかもよ?」
■目次■
プロローグ・目次
【3】“魔王”を倒す
魔王の軍勢
魔王の力
【2】魔族を迎え撃つ
アドウェルスの強襲
分断作戦
不屈のアドウェルス
カオス化の脅威
【1】カオスルキアを倒す
ガーディアンとの戦い、その一
ガーディアンとの戦い、その二
ガーディアンとの戦い、その三
ガーディアンとの戦い、その四
ガーディアンとの戦い、その五
カオスルキアとの戦い、その一
カオスルキアとの戦い、その二
カオスルキアとの戦い、その三
エピローグ