■プロローグ■
――ワールドホライゾン、ホライゾンフィール。
チョコレート交換を終えた、
覇道 鼎、
ルシア・ミュー・アルテミス、
仙道 にあの三人は、そのままの流れでバレンタイン一色に染まったホライゾンフィールの中を巡っていた。
とある店で行われていた新作チョコレートの試食会では、職人がチョコレートを作る様子がライブショーとなっており、色とりどりの美しいチョコレートが熟練の技術によって魔法のように生み出されていく様子を楽しみつつ、そうして作られたというチョコレートを食べてその蕩けるような甘さに舌鼓を打った。
また、ある店ではチョコレート作り教室が開かれていた。先日のリベンジに燃えるルシアを止めることが出来ず、鼎とにあもそれと付き合う形となるが、二人が懸念していたよりもずっと穏便に終わった。
ルシアが料理を苦手としていたのは、あくまでもこれまで料理経験が皆無だったからだ。先日の鼎に教えて貰った内容と、今回の教室によって道具の使い方や用語の定義などを学習したことで、慣れないなりにレシピ通りに造ることは出来るようになったのだ。
完成したチョコレートはやはりプロ級の鼎には及ばなかったものの、それでも食べることは出来る程度には改善されていた。
その後もバレンタインフェアを行っている雑貨屋や服屋などを三人で見て回り、楽しいひと時を過ごすのだった。
「いけませんわ、もうこんな時間!」
「どうしたの?」
「すみません。これから人と会う約束をしていまして…」
「んにぃ!? それってもしかして!」
「恋人がいたのね。分かったわ、楽しんできてちょうだい」
「ち、違いますわ! 一緒に遊びましょうとお誘いして頂いただけですわ!」
ふと時計を見て鼎が予定があることを伝えると、にあが驚きルシアは納得したように頷く。
だが、鼎はすぐに二人の考えを否定する。バレンタインというイベントを考えれば、確かに二人のように考えてしまうかもしれないが、今のところ鼎にとういった相手はいない。
あくまでも、友人付き合いのようなものである。
二人が納得したかはさておき、そう説明した鼎はまたこの三人で遊びましょうと別れの挨拶を交わして、約束の時間に遅れないようにとその場を後にするのだった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】ワールドホライゾンで過ごす
Framboise
Vivid milk
Gianduja
Elegant bitter
Comfort bitter
Brilliant milk
Velvet milk
Sunny milk
Blossom bitter
広場 ライブ会場
スカイラウンジ「Cats&Barrel」
ホライゾンフィール 1
ホライゾンフィール 2
【2】新生ワールドホライゾンで過ごす
【2-1】無垢霊山 1
【2-1】無垢霊山 2
【2-2】月夜の猫又カフェ もちふわ店
【2-3】幻想放牧草原アルムス
【2-4】おかしな土地~甘ノ川
【2-5】フルールランド
【2-6】一樹之陰
【2-7】慈愛丘陵ユートピア~ドリームビヨンド
エピローグ