■プロローグ■
――旧臨海副都心・青海地区。
青海地区にあるコスモス機関の駐留基地はほぼ壊滅状態といっていい。混沌の獣による突然の襲撃によって基地は破壊され、命を落としたメディエーターも多い。だが、それでも全滅はしていなかった。
「クソッ! 獣どもめ……!」
「止めろ。気持ちは分かるが大きい声を出すな。獣に気付かれる」
命からがらに脱出したメディエーターの一人が声を荒げて地面を叩くと、同じ分隊の仲間がそれを制止する。脱出に成功した自分たちには使命がある。
基地から南東方向にあるビルには変電所があり通信設備も備えられていたが、何らかの要因でそれらが使えなくなっているのだ。
脱出出来た自分たちがそこへと向かい、原因の排除と通信や電気系統の復旧を行わなければならない。
そうしなければ、本部への救援要請も出来なければ仲間の無事を確認することも出来ないのだ。偶然合流出来たレジスタンスの一員とも協力し、瓦礫に身を隠しながら彼らは移動を続ける。
■ □ ■
聖 幸喜率いる救援部隊は、リニアラインの駅から出発し青海地区の近くまで来ていた。ここから先は通信設備が破壊されているのか、本部との通信が不可能となる地域である。
獣に襲撃されたという以外は何が起きているのかは一切不明であり、非常に危険な状況だと言える。
「ここからは状況不明だ。各員、心して任務に当たるように!」
トラックから降りた聖がそう言ってどかりと箱を地面に立てる。巨漢の聖と同じくらいの高さがあるその箱は、聖が扱うコスモスアームであり中にドローンが格納されているのだ。
部隊に編成されたタクトと共に周囲の探索を行いつつ、作戦の指揮を執るつもりのようだ。
「えーと、あたしたちのチームは別々かぁ」
「この任務でエースが一か所に集まるのは得策じゃないわ」
「そーだよね。一緒じゃないのはちょっと残念だけど、お互い無事に帰ってこよう!」
「うん。またね」
レベッカ・レッドグレイヴと
エリカ・ヒースは第一線で活躍するエースであり、今回の救出作戦における主力の一角だ。
しかし、今回はホライゾンの特異者が多数動員されている。いずれも実力だけ見れば即戦力と言えるが、アトラにおける混沌の獣との実戦は初めてに近い者ばかり。
勝手が分からず戸惑うこともあるかもしれない。いざというときにそれぞれがサポートに回れるように、実力者は均等に分けておこうというのが聖の考えなのだろう。
こうして、準備を整えた救出部隊はそれぞれの役割を果たすべく作戦行動を開始した。
■目次■
プロローグ・目次
【1】第三種『ラクシャス』を狩る
第三種『ラクシャス』討伐1
第三種『ラクシャス』討伐2
第三種『ラクシャス』討伐3
第三種『ラクシャス』討伐4
第三種『ラクシャス』討伐5
【2】生存者の捜索・救出
ER&ガレオンズハイ
リベレーター
無所属1
無所属2
無所属3
無所属4&アレイダDMAT分隊
【3】獣の統率者を探す
ミッション1
ミッション2
ミッション3
ミッション4
ミッション5
エピローグ