エキシビジョンマッチ
マンゴーステージとスイカステージ、両方の優勝者が決まった。
通常部門であるマンゴーステージは
佐門 伽傳と
シャブダ・ボーディのコンビ。
大型部門であるスイカステージは
十文字 宵一と
リイム・クローバーのコンビであり、二人の駆る『【イコン】アヴァターラ・ブルースロート“バウンティ・赫夜”』。
(最後は勝ち残った汝らで雌雄を決するのだ)
グミ坊主のくぐもった声が響き渡る。
「イコンと生身の戦い。パラミタだと、普通の契約者ならまず勝負にならない。が……」
ブルースロートは攻撃型ではないが、高速で空中を飛び回る機体に、生身でついていくのは困難だ。だが、それはあくまでパラミタでの話。
試合開始の合図とともに、先に動いたのは伽傳とシャブダの方だった。宵一らが空中に位置取りするのを待たず、『電光石火』で一気に距離を詰める。
リイムが機体に装備した『エンリルウィング』を利用することで、至近距離まで接近された状態からでも鋭角的な機動を行い、張り付かれないようにしよとする。
だが伽傳もまた、ただ直線的に突っ込んでいるわけではない。『【レイス】羅刹鬼眼王』で増やした手数と『【ジョブ】カラリの使い手』によって『鬼面金剛杵』と『依代装備:黒蓮乃戈』を同時に使いこなせるようにし、ルクスブレイドによる光速の剣戟を浴びせる。
黒蓮乃戈には神祇であるシャブダが憑依しており、伽傳は彼女の力も使う事ができる。
喰らいつく伽傳に宵一は『神狩りの剣』による『肆連』の四連続攻撃で対抗。神狩りの剣は実体のない存在や魔法をも切り裂く事ができるが、伽傳の防御結界を突破できても、『無彩奥袖』による純粋な物理耐性の高さによってダメージは軽減されている。
宵一が斬りつける度に剣の力で伽傳の魔力が吸収され、彼に還元されるが、攻撃速度は伽傳の方が上だ。加えて、『雷水仙』による雷が機体に奔り、蝕んでいく。拘束自体は防げても雷は機体に残留し、思うように操縦ができなくなってしまう。
サイズ差をものともせず伽傳が優位に立っているが、完全に地上に引きずり下ろす事はできず、連撃でも押し切ることはできていない。
リイムがバックパック装備の『【6G】クラブアームユニット』を展開し、八本のビームソードまにゅぴレーターで手数を増やしたからだ。
「このまま地上に叩きつけるでふ!」
長期戦になれば不利になると判断し、リイムと宵一は勝負を仕掛ける。
完全な空中戦となれば宵一らに分があるが、そうさせないだけの力を伽傳らは持っている。『スカイドラゴンアーツ』を駆使して伽傳の態勢を一時的に崩し、二人は『【連携】ゴッドスピード』を発動した。
機体そのものが加速するわけではない。しかし操縦者二人の加速の相乗効果により、本来は不可能なレベルでの機体操作が可能となり、彼らの機体はそれに耐えられるだけの性能を持つ。その状態から、神速の攻撃を叩き込んだ。
だが、伽傳は『【神格】カヴァーチャ』の力を解放することによってその一撃を無力化した。
「何!?」
「こちらも切り札を切らせてもらおう」
伽傳は『【ジョブ】ラグロードデッカー』の走破性を活かし、フィールドの弾力を利用して跳躍。『神霊化』で『試製AAツクモデバイス』を取り込み、装備している武器全てとスキルにアンチアバター能力を持たせる。
宵一たちは魔法への防御は充実しているが、強力かつ至近距離からの一撃を防ぐだけの防御手段は持ち合わせていない。
レイヤーオブアバターズによって強化されたオーラによる伽傳の『金剛砕破』が、イコンを貫いた。
機体に風穴が空き、ダメージを受けた宵一らの機体はそのまま制御不能となり、グミのフィールドへと不時着する。
エキシビジョンマッチの勝者は伽傳、シャブダのコンビとなったのであった。