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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!

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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!
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スイカステージ




 タッグトーナメント、大型部門であるスイカステージの参加者は少数となっていた。
 一回戦第一試合のカードは、ジェノ・サリスリーゼ・アインの二人と、フェイシア・ピニンファリーナアレッティア・ピニンファリーナの二人の対決だ。
 ジェノは『コンツェシュ改』、リーゼは『FFツハヤノツルギ』に搭乗し、二人とも空に構えている。
 対するフェイシアはアレッティアの乗る『クルースニクR2』に掴まっており、一見すると何を狙っているかわかりづらいが、『ジェットウィング』や『エアロバティックユニット』を身に着けているのを見るに、最低でも空中戦への対策は取れているだろうことはわかる。
 二人乗りではない機体に人サイズのまましがみついているのは大型部門のレギュレーション違反だ。だがグミ坊主は止めようとしないため、戦闘自体は継続してよいのだろう。
「それじゃ……」
「いきますの~」
 先に動いたのはフェイシアとアレッティアだった。飛行能力を獲得し、速度も強化されたクルースニクR2でまずは一体とばかりに、まずはリーゼ機に狙いを定めて突撃する。
「そう易々と近付かせるもんですか!」
 その動きに応じてリーゼは『ディメンションカーヴァー』を実行。フェイシアとアレッティアの二人に強烈な揺さぶりをかける。
「あうう……?」
「くっ、初手から搦め手……!」
 フェイシアは身に纏う『レイヤーオブアバターズ』の精神耐性があり、ディメンションカーヴァーによる認識阻害効果は大きく発揮されてなかったが、舵を担うアレッティアはこれをまともに受けてしまう。
 それでも必死にクルースニクR2を制御するが、最早開幕に見せたスピードはない。
 フェイシアは少しでも時間を稼ぐために『量子干渉波』を発するが、ジェノは『レイヤーオブアバターズ』で対抗し、リーゼは『ブラインドアタック』の要領で、感覚を頼りに攻撃を見舞う。まともに身動きが取れないフェイシアとアレッティアにとっては、超スピード迫ってくるリーゼの攻撃は当たらずとも脅威だろう。
 しかし、リーゼとジェノ狙いは混乱させた相手の単純な打倒ではなかった。
「……いくぞ」
 ジェノは短くそう言うと、『大嵐』を実行。周囲を暴風と豪雨に閉ざし、フェイシアとアレッティアを吹き飛ばしにかかる。
 ジェノとリーゼの狙いは、相手を場外に出すことだ。二人は大きくバランスを崩したフェイシアとアレッティアを押し出すために、嵐の中で猛攻を開始する。
 ジェノはコンツェシュ改の力場生成能力を活かし、嵐の中でも安定して空中を駆け攻撃することができ、リーゼは『ルドラの護符』で周囲の風を操作し、暴風の中を自由に移動することができている。
 そんな二人にフェイシアは『DD:オメガブラスター』による強烈な一撃を見舞うことで自体の打開を目指そうとしているが、不安定な状態で高速移動する相手にそうそう当たるものではない。
 見る見る内に追い詰められてしまったフェイシアとアレッティアは、ジェノとリーゼの連携攻撃によって場外に弾き出され、実際の試合結果としても敗北となってしまった。
 第一試合の勝者はジェノ、リーゼの二人となった。

 一回戦第二試合は、十文字 宵一リイム・クローバーの二人と、騎沙良 詩穂ロザンナ・神宮寺の二人の対決だ。
 宵一はリイムがメインパイロットを務める『【イコン】アヴァターラ・ブルースロート“バウンティ・赫夜”』のサブパイロットとして乗り込み、準備を整えている。
 そして詩穂とロザンナもまた『【イコン】イーグリット・ラプター』に乗り、第二試合はイコン対決となった。メインパイロットである詩穂は場外で応援に来ているパートナーのアーニャ・エルメルト佐伯 まおリゼクシー・リエンダの三人に手を振り、勝利を約束する。
「いきまふよ!」
 先に動いたのはリイムだった。リイムは得意のレンジである近接距離に相手を収めるべく、相手へ突撃する。
「それは願ったり叶ったりだよ……!」
 対して詩穂も、接近の動きを見せる。両者とも接近戦を希望し、その距離でないと勝ち目はないと踏んでいるほどだった。もっともリイムは空に位置し、詩穂はいま地上に位置している。頭上を取られたまま近接戦闘を行えば、若干詩穂側が不利と言えよう。
 接近に成功したことで、宵一は『神狩りの剣』による猛攻を開始する。即座に『肆連』で詩穂の腕を攻撃する。
 詩穂は不利とはいえ、接近戦に自信がある。放たれた肆連の狙いを即座に見切り、素早い動きで回避すると、流れるように機体を飛行形態に変形させ空中戦へと移行する。
 空中戦となっても、両者の接近戦で決着をつけるという方針は変わらない。空中で両者は何度も激突し、そのたびに轟音が周囲に響き渡る。一瞬の出来事に、どちらがダメージを負ったか、どちらが現在優勢なのか、外から見てもよくわからない。
 もっとも、双方『ヘクスエスカッション』による防壁を適時展開することで、衝突時のダメージを緩和しながら戦っているため、ダメージは最小限に抑えられている。
 そして火力差だが、光条兵器であるロザンナの『ラスターパンプス改』による攻撃は強力だ。宵一は上手く『巻旋』などでいなしているが、何度も繰り返していればいつかは直撃してしまうと感じている。
 だが、宵一のほうも仕掛けてはいた。神狩りの剣による斬撃は詩穂たちの展開する魔力を食らい、消耗を抑えつつ相手の防御を蝕んでいるのだ。
 そろそろ決着が近い。そう感じた詩穂は、次の激突で仕留めるた、ロザンナと息を合わせる。そして次の瞬間、渾身の『キズナアタック・ジェネシス』を見舞った。
 それまで衝突するたびに交差して入れ違っていた両者だったが、ここで初めて圧に負け、宵一は真逆の方向へと弾き飛ばされる。
 勝利を確信した詩穂だったが、その数瞬後、強烈な光が自身に迫っていることに気付いた。
 宵一は弾き飛ばされて遠くなった間合いから、『ラグナロクブレイク・改』を放ったのだ。詩穂が決めにかかることを感じ、意識さえ失わなければよいとばかりに全ての力を防御に注ぎ、耐え切っていた。
 これまで接近戦に徹していた宵一が超長距離からの攻撃を行うとは予想もつかなかった詩穂は、ラグナロクブレイク・改をまともに受けてしまう。
「まだ足りない! リイム」
「はいでふ!」
 強烈な一撃を受けても倒れない詩穂とロザンナのイコンを見て、宵一は即座に追撃をかけるべくリイムと連携。『ゴッドスピード』を実行し、神速の領域に至るほどの高速斬撃を見舞った。
 その追撃を以て、詩穂とロザンナは完全に沈黙。勝者は宵一とリイムとなった。

 参加人数の都合上、宵一とリイムは回復と休憩を挟んでシードの戦戯 シャーロットミーミル・リィの二人との連戦となる。勝利したタッグが、先に待つジェノ・リーゼのタッグとの決勝に進むことができる。
 シャーロットとミーミルは『【イコン】ゴエティア“【イコン】Aグリモア”』を駆り、空中で構えている。リイムと宵一もまた、先ほどの戦闘同様空中での接近戦を展開する構えだ。その戦法を、シャーロットとミーミルは見ている。
「だから……近付かせないよ♪」
 シャーロットはそう言うと、『【6G】デモニックアルシェ“【6G】魔弓ハマル”』による『ポイズンアローレイン』を実行。広範囲に毒の矢をばら撒くこと、易々とリイムと宵一の接近を許さない。
 そうして牽制しながらAグリモアから雷の魔力弾を射出し、機体の破壊ないしは機能不全を狙う。
 先ほどの戦闘では切り札が遠距離攻撃だった宵一だが、不意を打てた故に成功した一撃だ。いま、ここで苦し紛れにラグナロクブレイクを放っても、間違いなく躱されるだろう。つまり、宵一がいま取れる戦法は、何とか矢の雨を掻い潜り、接近戦に持ち込んでから丁寧に優勢を掴むしかない。
 しかし、リイムは全く別のことを考えていた。
「雨には雨でふ」
 そう言うと、リイムは『我は科す永劫の咎』を発動。周囲に石の雨が降る領域を展開し、シャーロットとミーミルのイコンに範囲攻撃を見舞う。
「その手があったかぁ~!」
「撃ち合う? それとも流れを変える?」
 戦法を変えた宵一の動きに応じて、ミーミルはシャーロットに方針転換をするかどうか問う。
「これだけで決着がつくとは思ってないし、次はミミちゃんの出番だよっ」
「……オーケー」
 ミーミルは魔弓ハマルから『【6G】鍵剣ソロモン】“【6G】魔剣ザナドゥ”』に武器を持ち替えると、石の雨を慎重に、しかし素早く掻い潜り、リイムの駆るイコンに接近する。
 奇しくも両者の近接戦闘は互いに相手の力を吸収するという特殊効果を持つ剣による斬り合いとなる。こうなると、明確なダメージを与えない限り戦況は五分から動かない。純粋な操縦能力と戦闘能力によって初めて差が生まれるだろう。
 しかし、ギャラリーのそんな予想をまたしても裏切ったのはリイムだった。リイムは強引に手数を増やすべく『【6G】クラブアームユニット』を展開し、八本のソードによる猛攻を仕掛けた。
「なっ……!」
 素直な打ち合いを行いながら徐々にギアを上げていたミーミルだったが、突然の展開に驚愕し反応が遅れる。その隙を見逃さず、宵一は肆連を実行。ミーミルの持つ魔剣ザナドゥを弾き落とすことに成功する。
 もうこのレンジでは勝ち目はないとしてすぐに離脱を試みるミーミルだったが、宵一とリイムは再びゴッドスピードを発動。その速度のままに強烈な一撃を見舞い、一刀の元にミーミルとシャーロットのイコンを斬り伏せた。
 決勝へと駒を進めたのは宵一とリイムの二人となった。



 決勝戦はジェノ・サリスリーゼ・アインの二人と、十文字 宵一リイム・クローバーの二人だ。
 例の如く三機とも上空に位置し、空中戦を展開する心づもりのようだ。
(空中にいたとしても、場外狙いは変わらない。暴風を以て、海に墜ちてもらう……)
(初戦を見るに、場外狙いか……いいポジションは取らせてもらえないだろうな……)
 ジェノと宵一は互いの目を見て戦闘プランを立てる。
 そして、準備が整ったと思しき瞬間、両タッグは同時にスタートを切った。
「まずは攪乱っ!」
 初手を打ったのは、やはりリーゼ。リーゼは『ディメンションカーヴァー』を実行し、揺さぶりを駆ける。が、宵一は『神狩りの外套』による精神耐性を、リイムは『ヘクスエスカッション』の展開によって精神への干渉を防ぐ。
 対して宵一の側は、ジェノとリーゼに空中を自由に飛び回ってもらっては困ると考え、リイムが『我は科す永劫の咎』を発動。周囲に石の雨を降らせることによって、その機動性を殺ぎにかかる。
 しかし石の雨の中でも、ジェノは『チャンプムーブ』によってこともなげに高速移動する。本来ならばジェノはリーゼの後ろに着き、追撃を加える立場なのだが、この状況に応じて役割を逆転。ジェノが先行して道を示すことで、接近戦を行うリーゼを相手の元に届ける。その速さは宵一、リイムの想定を超えており、対応が間に合わない。
「ぶっ飛びなさい!」
 そうして懐に潜り込んだリーゼは『アイギス』の盾を構えて『シールドバッシュ』を見舞うことで、宵一の態勢を崩す。
「ぐっ、やばい……!」
「もらったぞ……!」
 宵一が嫌な予感を覚えた瞬間、ジェノは『大嵐』を実行。態勢を崩した状態で、凄まじい暴風と豪雨に揉まれる。
「このまま押し切るわ!」
 空中を不安定な様子で漂うリイムと宵一のイコンに向けて、リーゼは『アダマンチウムバズーカ』を放ち、その爆風で更に態勢を崩すことでそのまま場外を狙う。
 だが、着弾する直前、イコンは突然態勢を立て直し、最低限の動きでリーゼの砲弾を躱した。
「間に合ったな……!」
 宵一にはリーゼと同様、空中戦で不利な状況にならないよう、『ルドラの護符』を準備していた。さらには機体に取り付けていた『カームサブウィング』を展開することで、悪天候でも機体を安定させることができる。
 ジェノにとって宵一とリイムのイコンは正に天敵と言える相手だったのだ。
「終わらせるぞ、リイム!」
「突っ込むでふ~!」
 ジェノは宵一とリイムの突撃を予感し、『ジ・エクシード』による近接格闘戦の構えを取る。しかし、わかっていても『ゴッドスピード』の動きにはついて行けず、強烈な一撃はジェノの防御態勢を貫く。
 それでもジェノはそのまま近接戦闘の距離から離れず、格闘戦を展開する。
 これに応じるように、リイムは『スカイドラゴンアーツ』での格闘戦に応じる。こうなるとやはり、初手のゴッドスピードによるダメージが大きな差となってしまう。ジェノは徐々に動きを鈍らせていき、ついに宵一の『神狩りの剣』による斬撃をまともに受け、地面に叩き落とされ機能を停止する。
 残されたリーゼはそれでも諦めず、アダマンチウムバズーカで宵一とリイムのイコンを狙い撃つ。つかず離れずの位置を維持し、決して相手の得意な間合いにはさせない丁寧な立ち回りを見せることで、リーゼは宵一の「その位置からの攻撃」を誘う。
 その位置からの攻撃。つまりは『ラグナロクブレイク・改』だ。
 狙いはアイギスによる反射での逆転狙いだ。ラグナロクブレイク・改ほどの強力な一撃を反射できれば、そのダメージは計り知れない。パートナーを失ったリーゼでも勝ち筋は見えてくる。
(だが、そうはいかん)
 しかし、宵一はその目論を看破していた。先ほどアイギスによる強烈なシールドバッシュを受けたばかりなのだ、おいそれとは大技は使えない。
 故に現状でベストな戦法は、
「突っ込め、リイム!」
「了解でふ!」
 その言葉とともに、リイムはリーゼへ突撃。放たれる砲撃は宵一が『巻旋』でいなし、ついにリーゼに肉薄する。
 そして、渾身の斬撃を見舞い、リイム機を斬り裂いた。
 ジェノと同様に地面に墜落したリーゼはその場から動けず、決着となった。



 こうしてタッグトーナメント、スイカステージの優勝者は、宵一とリイムのタッグに決まったのだった。



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