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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!

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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!
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マンゴーステージ準決勝・決勝




 準決勝第一試合は、コトミヤ・M・フォーゼルランドソッソルト・M・フォーゼルランドの二人と、桐ヶ谷 遥ロワ・エレマンの二人の勝負だ。
 試合開始直後、やはり遥は準備の後で即座に『ロストエリア』を実行し、リングを灼熱地獄に変える。
「初手でダメージを負うのは、もう慣れてきたけど……!」
 先ほども大爆発を受けてから戦闘開始だったコトミヤとソッソルトだったが、今度はじわじわと焼かれる苦痛との勝負となった。一撃で意識を失わないだけ、先ほどとはマシと言えるが、隙を突けない構えを取る遥の存在は厄介極まりない。
 それでも、できることは一つだ。コトミヤとソッソルトは連携を取り、各々『リヴィルバレット』で召喚した計六体の人形とともに、遥への猛攻を行う。
 最早搦め手の出番は無いとし、増やせる手数は『マルティプリケイション』、『フォーフォールド』で増やし、ほとんど全てのリソースを攻撃に回す。時折『楽土幻想Ⅱ』を使用することで継戦能力を引き延ばすが、攻撃の手は決して緩ませない。
 遥も今回は身を守るだけでは足りないと判断し、回避をメインに立ち回り、どうしても躱しきれない場合は『復讐の刃』、『恨炎のロザリオ』の反射、自動反撃を用いて与えるダメージを重ねていく。我慢比べという戦法は変えないものの、その動きのキレは先ほどまでの遥とは違い、『ソリッドスクロール“不動”』による格闘戦を展開する、という動きも見せている。
 ただ立っているだけでも辛い相手である遥が、その上攻撃までしてくるとなると、いよいよ付け込む隙がなくなってくる。それも、格闘戦を得意とするコトミヤと互角に戦えるほどの腕前だ。
 それでも、手数はコトミヤとソッソルトのほうが上。どんなに遥の動きが鋭くても、数発の一度はまともに攻撃がヒットしているという状態だ。ならば、勝機はある。
(ここだ……!)
 ソッソルトの攻撃をまともに受け、遥が体勢を崩した瞬間、コトミヤは『ヤルングレイプ“雷仁拳”』の力を解放。巨大化した拳を遥かに叩き込んだ。
 命中した。確かな手応えがあった。倒れないまでも、ダメージは確実なはずだ。ここで仕留めきるべく、コトミヤは追撃のために『ヤルングレイプ“義風拳”』の力を解放。引き手から再び拳を放とうとした。
(かかり、ましたね……!)
 しかし、コトミヤの想定よりも早く、遥は『スピリットオブガッツ』の発動によって態勢を立て直していた。そして渾身の力を込めるために引き手を作った瞬間を狙われ、コトミヤは遥の放った拳の連発を何度も受ける。
 それでもコトミヤは拳を放ったが、既に力が抜けていた拳は遥に届かず、その場に倒れる。
「くっ……!」
 ソッソルトはすぐに遥に襲い掛かり、相方を失っても勝利を掴み取ろうとするが、灼熱地獄はロワによる『ハンドインハンド』による魔力供給のおかげで健在であり、より一層火力を上げて纏わりつく。そんな状態で、遥と一対一では不利極まりない。
 拳と剣の応酬はすぐに拳が優勢となり、ソッソルトはコトミヤと同じく連撃を受け、その場に倒れ伏した。
 こうして、遥とロワは決勝へと進出した。

 準決勝第二試合は佐門 伽傳シャブダ・ボーディの二人と、ルキナ・クレマティスオリヴィア・アルベルトの二人の対決だ。
 ルキナはつい先ほど行われた遥同様、いや、遥よりも苛烈な灼熱地獄を展開する。ルキナの『ロストエリア』にはオリヴィアの『チャージングキッス』による強化が施されているため、火力はこちらのほうが高いと言えるのだ。
(大焦熱地獄もかくや……しかし、やりようはある。というか、これしかあるまい)
 伽傳は炎熱に耐えられるのは極めて短い時間しかないとすぐに判断し、武器に憑依ささえたシャブダの神霊化で『AAツクモデバイス』を取り込むと、即座に『電光石火』でルキナに肉薄する。
 ルキナへの対策など、速攻以外にはない。
 しかし、ルキナはそんな伽傳の動きを読んで、『グラビティフリー』で強化した瞬発力を以て伽傳の攻撃を躱した。
 それだけでなく、躱した先で即座に『ライトニング・タイ』から電撃を放ち、伽傳を痺れさせる。初撃こそ躱したものの、伽傳の超スピードの攻撃はそう何度も躱せるものではない。攻撃の手を少しでも減らすことが勝利の条件と言えるのだ。
「ぐ……」
 電撃による麻痺で動きを鈍らせる伽傳だが、そのまま熱でダウンするのを待つほど、ルキナは油断していない。攻撃する好機に攻撃しないことは、勝負を捨てたも同然だと考え、炎熱のフィールドの中で『ブレイズアルファ』による火炎放射を容赦なく見舞う。
 そして、麻痺の効果が切れる頃合いを見計らって、ルキナ再びライトニング・タイによる電撃を浴びせる。伽傳はこの攻撃を避けられず、その場に膝を着き、地面を睨む。
 最早意識を繋ぎ止めているだけでも精一杯なのだろうと判断したルキナは、引導を渡すべくブレイズアルファから火を放つ。
 だが、その瞬間。
(……今だ)
 麻痺しているはずの伽傳は、電光石火による爆発的なスタートを切った。そして逆に、取り込んだ『雷水仙』による麻痺効果の乗った強烈な一突きを、ルキナに見舞った。
「ぐ、ぁ……!」
 伽傳は二度目の電撃を受けて地面に膝を着いた際、密かに『スイカソーダグミ』を口にしていた。スイカソーダグミには体力回復の他にも解毒や麻痺の解除と言った効果があり、ルキナが炎を放射する時点では麻痺はかなり緩和されていたのだ。
 伽傳は麻痺して動けなくなっているルキナに追撃の『金剛砕破』を見舞う。防御行動すら取れなかったルキナはこの一撃をまともに受け、大きく弾き飛ばされ倒れる。そして、そのまま立ち上がることはなかった。
 これによって、決勝進出二組は伽傳、シャブダの二人となった。



 決勝のカードは、桐ヶ谷 遥ロワ・エレマンのコンビと、佐門 伽傳シャブダ・ボーディのコンビだ。両雄は睨み合い、周囲にはこれまでにないほどの緊張感が走っており、波と風の音すら遠く聞こえるかのように錯覚する。
 例によって遥はロワを取り込み、伽傳はシャブダを憑依させ、準備は完了。
(わたしと同じような戦法の相手を倒して上がってきた強敵……それでも、ここまで来たらやることは変えられない!)
 遥は準決勝の結果を知っているため、自身の戦法が通用しないのではないかと危惧していた。だが、この戦い方でここまで来たからには、どこまで通用するかを試したい。そんな想いを胸に、遥は『ロストエリア』を実行。グミの戦場を灼熱地獄に変える。
(……さて、この焦熱地獄を先ほど同様に踏破できるであろうか)
 火力こそルキナよりも低いが、その脅威度に差はほとんどない。また、ルキナと遥では領域の展開こそ同じものの、本人の動作にも違いがある。同じ戦法で勝ち切れる保証はどこにもないのだ。
(やることはひとつ、であるな)
 覚悟を決め、伽傳はノーモーションで『電光石火』を実行。防御結界を展開しながら、遥に突撃した。
(来る……!)
 遥もまた、伽傳の戦法を知っていたため、高速で向かって来ることは予想していた。『ソリッドスクロール“不動”』で防御を固めつつ、最小限の動きで伽傳の突撃を躱す遥。その理由は、反撃を見舞うためだ。
 猛スピードで突っ込んで来た伽傳の隙を突き、遥は拳による連続攻撃を見舞う。『ジ・エクシード』を取り込んだことによる特効はまともに受ければ致命的だ。伽傳はすぐに身を翻し、二本の長物で応戦する。
 このまま普通に殴り合いを続ければ、先に倒れるのは間違いなく炎熱に苛まれている伽傳だ。『スイカソーダグミ』による体力の回復はあるものの、食べられるかどうかは別問題。
 ならば攻め手、ここの打ち合いで最低でも圧倒しなければ勝ち目は見えてこない。
 伽傳はリーチの差を活かし、格闘戦の合間から離脱すると、中距離から強烈な刺突を繰り返すことで押し込む戦法を取る。この間合いではどう足掻いても遥の拳は届かず、拳が空を切ることすらない防戦一方の展開に持ち込まれる。『復讐の牙』や『恨炎のロザリオ』も効果こそ発揮されているものの、有効打にはなっていない。
 ならば、伽傳が倒れるまで耐える戦法に切り替えるべきか。それも勝ちの目ではあるのだが、伽傳もまた焦っていることを考えると、防御すらできないほどの高速且つ高火力の一撃が飛んでくる可能性もある。
 その時、自分は耐えられるか?
 いや、そんな考えすら、この我慢比べから逃げ出したい理由ではないのか?
 遥は有利な戦況にありながらも、精神的にに追い詰められていく。どの勝ち筋が正しいのか、それが見えてこないからだ。
 対して伽傳は焦りを覚えながらも、『レイヤーオブアバターズ』などの精神力向上を活かし、苛烈な攻めを繰り返す。果たして身が滅ぶのが先か、相手が崩れるのが先か。
 そんな中、伽傳は一層踏み込みを強くし、放つ攻撃の重さを数段上げて猛攻を繰り出し始めた。
(く……!)
 ここに来て遥は劣勢に立たされ、身を守るために構えた拳も、伽傳の槍によって弾かれた。
 そうしてがら空きになった胴を、伽傳のもう一本の槍が深々と穿った。
 その瞬間、『スピリットオブガッツ』は発動する。遥は突き立てられた槍を掴み、伽傳を逃がさないようにした上で、ジ・エクシードの効果が乗った拳を、お返しとばかりに伽傳の腹にねじ込んだ。
 しかし、
「重い拳であった……」
 身体をくの字に曲げ、宙を舞うはずだった伽傳はその場にとどまり、その目は遥を捉え続けていた。
 伽傳は遥の拳が届く寸前に『カヴァーチャ』を発動させ、攻撃を無効化していたのだ。
 そして伽傳は腹に突き刺さった遥の腕を掴むと、返礼であるとばかりに『金剛砕破』を放った。腕を掴まれていた遥はこの一撃をまともに受けても吹き飛ばされることなく、伽傳の目の前で倒れた。



 こうしてタッグトーナメント、マンゴーステージの優勝者は伽傳、シャブダのコンビに決まったのだった。



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