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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!

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海辺のグミグミ、タッグトーナメント!
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【3】海辺でグミ作り―4

「このグミにこう、何か色々やると別のグミが出来上がるすぁ?」
「みたい、ですね。けど何をどうするのが良いんでしょうか……?」
 スアマ(恭司・プラズラン)とルーニャ・プラズランは海水浴を楽しんでいた。
 スライムのスアマは身体が半分液体だ。その為浮かぶというより海水と同化して波に任せて流されているような状態である。
 近くまで伸びているグミ坊主の身体に乗っかり、グミの感触を確かめる。赤い身体はスイカ味のようで、甘い香りが辺りに漂っている。そのままタマゴの姿になったスアマはグミ坊主の上をごろごろと転がりながら、せっかくなら何か面白いグミが作れないかと考えを巡らせる。
「うーん……何か使えそうな道具は持ってきていますか?」
「んー持ってきたのといえばこれくらい……あ、いいこと思いついたすぁ!」
 制奢の聖剣Sを眺めていたスアマは何か妙案が浮かんだようだ。
「まずはゴールドブレスを……そいやっ!」
 聖剣から放たれたゴールドブレスがグミへ浸透していく。
「あとはタマゴ型に……って、どうやればいいすぁ? 分かんないからとにかく思いを込めてぶつかってくすぁー!」
 再びタマゴ姿になったスアマは金色のグミへ何度も体当たりをしたり乗っかって転がったり、とにかく色々と試してみる。と、ふいにグミが分離して金色の小さなグミ坊主の姿になった。グミ坊主はさらに分裂していき、いくつかの小さなグミへと変化する。
 水に浮かぶグミを拾い上げ、スアマは口に運ぶ。わざと少し齧ってみると、グミの中に詰まっていた金色の液体が断面から零れ落ちた。
「思った通りのグミができたすぁー! ルーニャも食べてみるすぁ!」
「金色のグミ……綺麗……! でもこれ、食べて大丈夫なんでしょうか?」
「味は元のスイカ味のまますぁ! ゴールドブレスの効果も無いみたいだから大丈夫すぁ!」
 恐る恐るといった様子でルーニャがグミを拾い、口に入れる。スアマのいう通りただのスイカ味のグミだ。表面はちょっと硬めで、中の液体が漏れないようしっかり閉じ込めている。
「本当にただのグミなんですね……」
「出来ればもっとパチパチ感とか外と中の味を変えるとか、色々凝ってみたかったすぁ。今できるのはここまですぁね~」
 残りのグミを食べた二人は海水浴を続ける。その後は浜辺で散歩をしたり、タマゴ姿になったスアマをボール代わりにして遊んだりと色々な事をして過ごした。
「そう言えば、私も呼び捨てにした方が良いでしょうか?」
 どうやら先程さりげなく呼び捨てにした事に気づいていたようだ。嫌では無かったかと尋ねると、特に問題は無いとの事。今後は好きに呼んでくれて構わないようだ。
 
 
「新しい味と言われると料理人としては色々と試したくなる。という訳で今回も手伝ってくれ、真蛇」
 と、真蛇を誘って浜辺に来た行坂 貫はグミ作りをする為にグミ坊主を調べていた。
「結局何なんだこいつは……一応生物なのか?」
 突いたり引っ張ったりしてみるが特に反応は無く、ただのグミのようだ。強く引っ張ると千切れたので食べてみれば、マンゴーの味がした。この辺りはマンゴーグミの闘技場の近くなので、そこから伸びているのだろう。
 普通に美味しいグミだったので真蛇にも味見を頼む。これから作るグミの参考にする為である。
「エナジードリンクのような風味もするね。同じようにフルーツをメインに何かを組み合わせていくのが無難かな。君は何を使うか決めているのかい?」
「ああ、俺が作りたいのは闇鍋ハンバーグ味の闇鍋ハンバーグミだ」
「……それはグミに合うのだろうか」
「何事もやってみないと分からないさ。それに新しい料理ってのはそうやって生まれるものだしな」
 レディー・スイーツ!で準備を整えた貫は千切ったグミ坊主を熱して溶かし、闇鍋ハンバーグを混ぜる。熱で溶けない固形物は残るかと思われたが、今回使っている材料はただのグミではなくグミ坊主の一部。すべての食材はグミに吸収され、何とも形容しがたい濁った色のグミが出来上がった。 試食分を取り分け、冷やし固めて食べる。ハンバーグにカレーにラーメン、その他にも海鮮系の出汁や穀物の香りなど、様々な風味が一瞬で味覚に襲い掛かってくる。
「これは……何というか、凄まじいインパクト感のある食べ物だね」
「もう少し味や食感を変えたい所だな。色々と手を加えてみるか」
 貫はエナジーマンゴーグミやスイカソーダグミを加えたり、真蛇に手伝ってもらいながらグミの味を整えていく。真蛇の悪華鳳凰が降らせた黒い火の粉の効果で、グミの色は僅かに光を反射する綺麗な黒色に染まっていた。
 カロリックフライヤーで一粒の満足感を上昇させ、何度目かの味見をする。貫の技術力もあって決して不味くはない。むしろ味だけ見ればかなり美味しい部類に入る、のだが。
「……やっぱり、グミには合わないね」
「そうか……残念だな」
 ちなみに完成したグミは数分だけグミ坊主の姿を取っていたが、終始首を傾げていた。定着はしなかったようだが、これはこれで珍しい物が見れた、のかもしれない。


「わぁ、グミで出来てるグミ坊主だって! ほら、瀬蓮ちゃん。触るとプニョプニョしてて面白いよ」
「ほんとだ! それに甘いにおい……これ、食べてもいいのかなぁ?」
 小鳥遊 美羽高原 瀬蓮は二人並んでグミ坊主をつついて遊んでいた。
 目の前には海一面に広がる赤いグミ。瀬蓮が恐る恐るグミを摘まんで口に運ぶ。一瞬驚いた顔をした後、すぐに目を輝かせて笑顔を浮かべる。
「スイカ味だぁ! それにちょっとシュワシュワする、おもしろーい!」
「私も私も! ん、あまーい♪」
 美羽も瀬蓮に倣ってグミを試食する。炭酸のようなシュワシュワ感のあるスイカ味のグミはそのまま食べても美味しい。だが、今回はただグミを食べに来たわけでは無い。
「ねぇねぇ瀬蓮ちゃん、このグミって好きな味に変えられるんだって。私たちもやってみようよ!」
 そう言って美羽はお茶会セットの準備を始めた。椅子とテーブルを用意し、食器類を並べていく。
「瀬蓮ちゃんにはお茶を入れてもらってもいいかな。瀬蓮ちゃんが入れてくれる紅茶、すっごく美味しいから、私大好きなんだ!」
「うん、任せて!」
 茶葉とティーセットを受け取った瀬蓮が紅茶を入れ、その間に美羽はお茶菓子を並べ、グミ作り用にグミ坊主を一塊持ち帰ってくる。
「せっかくだから紅茶味にするだけじゃなくて、ちょっと冷やしてみようかな?」
 机の上に乗せたグミに美羽はスレイブオブフォーチュンRを突き立てる。アルティマ・トゥーレの効果で刃から冷気が発せられ、グミを凍り付かせていく。
「瀬蓮ちゃん、ここに紅茶を流してみて」
「うん、やってみる」
 刃に沿うように瀬蓮はグミへ紅茶を注ぐ。まだ熱い紅茶が冷気を放つ刀身に触れて蒸気を吹き上げる。刃を伝った紅茶がグミに吸収されていき、色と味が変化していく。
 澄んだ赤褐色へと変化したグミを美羽が一口分だけ千切り、瀬蓮の口へ運ぶ。
「はい、瀬蓮ちゃん、アーンして」
「あーん♪」
 嬉しそうにグミを味わった瀬蓮はお返しに美羽の口元へグミを持って行く。
「あーん。うん、ちゃんと紅茶の味と香りがする。ひんやりしてて美味しいね!」
「ねー♪」
 テーブルの上には美味しい紅茶と美味しいお菓子、そして二人で一緒に作ったグミ。
 お互いにグミを食べさせあったりしながら、二人はその後も楽しく過ごした。
 

「わふ~♪ 今日はマーニちゃんとの海デートですっ」
「デート……デート、なのかな? これって……」
「……デートじゃない、んですか? それならわたしは生きる気力を無くします……マーニちゃんとの綺麗な思い出を胸に……天へと……」
「え、ルルちゃん!?」
「……なんて冗談です、てへ」
「もぅ! びっくりしたよ!」
 色違いのお揃い水着を着て浜辺を訪れたルルティーナ・アウスレーゼプティデーモン・マーニ
 頬を膨らませたマーニに、ルルティーナはお詫びとして好きなだけモフって良いよと尻尾を差し出す。
 数十分後、もふもふの尻尾を堪能してご満悦のマーニと対象に、ちょっとぐったりしているルルティーナ。が、すぐに持ち直して荷物の中からサンドイッチの入ったランチボックスを取り出す。
「マーニちゃん、遊ぶ前におべんと食べましょう! わたし、頑張ってお手製サンドを作ってきました!」
「サンドイッチ? やったぁ! ねぇねぇどんなのがあるの?」
「ツナにハムレタスにトマト、それにフルーツサンドもありますよ!」
 二人は砂浜にシートを引いてサンドイッチを食べ始める。ルルティーナがあーんと言いながらマーニの口元へサンドイッチを持って行く。ちょっと照れながらもサンドイッチを受け入れ、もぐもぐと咀嚼するマーニ。
 次は別のサンドイッチを……と手を動かしたルルティーナは、じっと自分を見つめている存在に気が付く。砂浜に乗り上げたグミ坊主の先端から、小さなグミ坊主がにょっきりと顔を突き出していた。
「……あのー? グミ坊主……さん? じーっと見られると……その、ですね?」
 あまりに凝視してくるので何だか恥ずかしくなってきたルルティーナだったが、グミ坊主はこちらを見つめたまままったく動かない。
「えとえと、サンドイッチお一つ食べますか?」
 そもそも食べられるのだろうか、と気になりながらもサンドイッチを差し出すと。グミ坊主は一瞬でサンドイッチを体内に取り込み同化する。
 与えたのがキウイのフルーツサンドだったからか、白い体内にキウイの欠片が浮かんでいるグミ坊主は本体から分離して独り歩きし始める。
「取り込んだ物と同じ見た目になるんだね。不思議な生態だなぁ……」
「もしかして味も一緒なんでしょうか? はむっ!」
 勢いよくグミ坊主に齧りつくルルティーナ。予想通りパンとキウイの味がした。お腹を壊さないかとマーニが心配していたが、特に問題は無いようだ。
「わふ~♪ スイカ割りも楽しめましたし、この夏ももう終わりですね~♪ 今年も、マーニちゃんと素敵な夏を満喫出来て良かったです♪」
「マーニも、ルルちゃんと一杯遊べて楽しかったよ」
「えへへ。次は、今よりもっと素敵な関係になったマーニちゃんと一緒に夏を過ごせたら……なんて。……その、ちょっとだけくっついてもいいですか?」
「ん、いいよ」
 そっとマーニに身を寄せるルルティーナ。触れあった肌からお互いの体温が感じられる。
 ふいにマーニの尻尾がルルティーナの尻尾に触れる。控えめに絡みついてきた尻尾に驚いてマーニの方を見れば、赤い顔を隠すようにそっぽを向いていた。
「その、この前の約束。恥ずかしいから今はこれだけ、ね?」
 そう言ったマーニの頬は、さらに赤く染まっていった。


 火村 加夜山葉 涼司は浜辺でグミ作りに取り掛かっていた。
 アイスティーと空京カフェオレをグミ坊主に与える加夜。そこへキュラソー・リキュールを加え、アルコール分と共にオレンジの香りを付加する。
 色は少し濁ってしまったが味は悪くない。最後に赤いバラの花束から何本かバラを抜き取り、グミ坊主に吸収させる。バラの香りのするグミを手に、加夜は涼司の元へ向かう。
「こちらは完成しました。涼司くんの方はどうですか?」
「ああ、こっちももう終わる」
 グミに何かを投入していた涼司は、よしと呟いて立ち上がる。
「何味のグミ坊主を作ったんですか?」
「ジュース色々混ぜた奴と、もう一つはちょっとお試しだな」
 涼司の手元には二色のグミ。片方は綺麗なオレンジ色で、もう片方は濁ったこげ茶色をしている。
 並んで椅子に座り、お互いのグミを試食する。涼司の作ったグミは片方はフルーツミックス味で、もう片方はソースの味がした。
「屋台で買ったたこ焼きを使ってみたんだが……やっぱりグミには合わなかったか」
 そう言って苦笑しつつ、たこ焼き味のグミをつまむ。味は微妙だがせっかく作った物なので、全部食べるつもりらしい。
 加夜もそれを手伝い、代わりに自分が作ったグミを差し出す。
「へぇ、コーヒーと紅茶って合わせても意外と美味いんだな。香りはちょっと俺には上品すぎる感じだが、甘くなくて食べやすい」
「涼司くん、もしかして甘いものは苦手ですか?」
「嫌いって訳では無いが、わざわざ食べたりはしないって感じだな」
「それじゃあ、グミも普段は食べないとか? 身体がすっきりしてるからお菓子とか食べないのかな、って思ってましたけど」
「ああ。滅多に食べる事は無いな」
「そうなんですね……私はグミとかお菓子は好きだから色々気を付けないといけないんですよね」
 そう言って二の腕をつまむ加夜。
「逆に最近ハマってるというかよく食べる物ってありますか?」
「んーそうだな。やっぱ夏だから屋台の焼きイカとか結構食べてたかな。お祭りに行くとついつい買っちまうんだよな……」
「お祭りはいい匂いが漂ってますから、ついつい色々買っちゃいますよね」
「そうそう、そうなんだよ!」
 身を乗り出した涼司と顔を合わせ、加夜は笑う。
 ふと思い立ち、加夜は残りのグミに対して光術を使う。両手で覆ってみると、グミ自体が淡く発光している事が分かった。
「へぇ、光るグミか」
「このグミは夜に食べませんか? きっとロマンチックだと思うんです」
「それなら陽が落ちるまでまだ時間もあるし、何か食べに行かないか? グミじゃ殆ど腹は膨れないし、屋台の話してたら腹が減ってきてな……」
「では焼きイカ、食べに行きましょう。他にもたこ焼きとか、いくつか屋台がありましたね」
 二人は何を食べたいか相談しながら、近くの屋台へ向かうのだった。

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