クリエイティブRPG

機械帝国攻略戦 その後

リアクション公開中!

 120

機械帝国攻略戦 その後
リアクション
First Prev  3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13  Next Last

盗賊退治 1


 強行突破した【砂花の輝き】によって大きな穴が開いたアジト。
 天峰 真希那は獣人の歩法による高速移動で、砂に足を取られるよりも早く踏み抜いて駆け回って敵陣をさらに掻き回すために、機械兵と化した盗賊とは極力戦わず生身の盗賊のみを狙って攪乱させていった。
 それでも砂漠で生きる盗賊は、すでに生き延び方を熟知していた。
 北部地方のアバターではレベルでゴリ押すしかないやや不利な相手だった。
 中には北部地方から渡ってきた盗賊もいるだろうが、似たような服装をしていては区別のつけようもない。
 サブアバターを砂漠地方アバターにしていても補助のようなもので、結局のところアバターとして動くのはメインの方なのだ。
 経験で上回り、モノによってはマリオン商会の専売商品を利用してその差を埋めて立ち行かねばならない。
 真希那はマーセナリーだったが手にしている武器は熱を帯びた刃で並の金属であれば容易く両断できる灼炎のイーラでその差を埋めている。

「捕まえられるもんなら、捕まえみやがれってな!」

 盗賊を片っ端から倒していけば、そのうち統率者であるリザードマンに当たるだろうと計算し、真希那は暴れに暴れる。
 多少は被弾するだろうが射撃耐性の高いウーツメイル【ウーツメイル】なら耐えてくれると信じて真希那は戦い続けた。
 生身の盗賊を見つけては闘気を纏って速さを更に上げて接近、攻撃力も引き上げると灼炎のイーラで斬りつける。
 盗賊からの反撃も転紋盾【ジャイレイトバックラー】を回転させて受け流し、灼炎のイーラでカウンター一閃。
 誰も真希那を止めることは出来ない。

「囲め! 相手は乗り物には乗っていないんだ。捕えて痛めつけてしまえ!!」
「そう言われてもアイツすばしっこくて無理っすよ!!」
「だから囲み込んで逃げ場を無くすんだよ! ちったぁ頭を使え、バカ野郎!!」

 統率者のリザードマンではないが、それでも盗賊の中で指示を出すリーダー格というのはいるのだろう。
 その者の指示に従って徐々に数の理を利用して真希那を囲い自由に走れないように円形に狭めていく。

「機械兵はお前らのオモチャじゃねえ! マキアシュタットに返してもらうぞ!」

 真希那はレイバーズオブハーキュリーズで瞬速の十二連撃を駆け回りながら放ち、灼炎のイーラから炎を迸らせながらまとめて一掃することで囲いを突破し、リザードマンの姿を探す。
 いくら雑魚の盗賊を減らしても頭を捉えない限りこの争いに終止符は打たれない。

 真希那とは別の場所では防御を桃城 優希に完全に任せて攻撃に集中するエリカ・クラウンハートの姿があった。
 こちらは真希那とは違い機械族化した盗賊討伐をメインに置いている。
 グスタフが人族と機械族の共生の道を示し、争いが減っていく流れができたというのに、メタルゴブリンやメタルオークと同じように人間を機械族化して戦力を保持されるとまた新たな火種になることは火を見るよりも明らかだった。
 だからこそ、自らの希望で機械族化したのか、強制的に機械族化したのかはエリカには分からないがそれらの盗賊を見逃すわけにはいかない。
 輝光の追跡者【機装:ジフィの書】を片手に持ち、輝神オータスに祈りを捧げエクレスローブの効果で機導式の威力を高めると、狙うのは盗賊達の体の機械化した部分。
 しっかりと狙いをつけたらCC:サクルムコアに魔力を送り威力を高めて魔力耐性を突破し、機導式【貫鉄Ⅱ】と機導式【破防Ⅱ】を組み込んだ聖なる光線を発射。
 機導式【追跡Ⅰ】によって敵を追跡し、狙い通りにダメージを与えていく。

「(ふむ、何度か見かけたメタルオークやメタルゴブリンはこういった工場で生み出されたのか)」

 機導を操る冒険者の多い砂漠地方なら対処しやすいだろうが、砂漠地方以外に進出されると面倒だ。
 ただでさえ北部地方で力を付けてきた者達は効果的な攻撃を持つ者は少ない。
 マリオン商会の専売商品などで補うことでしかこの砂漠地方で戦うには不利な戦いになってしまうというのに。
 だからこそ。機導の使える者が1人でも多く倒しておかなければと思ってしまうのだ。

 優希はメタルゴブリンとメタルオークがどうして生まれたのか腑に落ちたような顔をして意識を目の前の戦いに戻す。
 エリカと似て非なる考えだが、盗賊が機械族化して悪さをされると厄介だということは共通している。
 これまでの冒険者の経験則から多数の敵と戦闘になった際のナイトとしての立ち回り方を実行する優希は敵の動きを見ながら機導による攻撃は機守の小盾で受け止めエリカには向かわせない。
 砂漠地方のアバターではなくともやれることはあるのだ。
 生身や武器による攻撃はセイバーオブパトリオットを振るいグレートウォールで鉄壁防御で通さない。
 自分から攻撃に出ることはしない。
 今自分がやるべきことはエリカを守ること。自分がエリカを護り、そのエリカが攻撃を担う。
 完全に役割分担をすることで余計な考えを頭から消し去る。
 時に数の多さから囲まれそうになった際には武器を振り回し、わざと隙を見せ、牽制しかできないと思わせておくべきか。

「あの足の速い奴より弱いぞ! まとめてかかれ!!」
「(来たな)」

 あえて隙を見せることで敵に攻撃方法を選ばせた優希は敵が一気に攻めてきたと同時にフルフローリッシュで近づいてきた者を含む周囲の敵をまとめて薙ぎ払って倒していく。

「あまり俺を甘く見ない方が良い」
「ぐっ……」
「次は誰が来る。誰であれど彼女の前には通さないがな」

 優希が盾と剣を構えたまま胸を張って前を見据える中、シーナ・ロンベルク谷村 春香のパーティと連携をとるために作戦会議を開いていた。
 だがその作戦はすでに暗礁に乗り上げていたとも言える。

「盾としてずっと戦っていた僕だから言わせてもらうけど、君の作戦は却下せざるを得ないよ。特に狙う順番が悪い」
「どうして狙う順番がダメなんですか。一番危険なリザードマン⇒メタルオーク⇒メタルゴブリン⇒盗賊の順に攻めていった方が良いじゃないですか。鋭刃を施した強靭ならきっと強い方からやってしまった方が手っ取り早いですよ?」

 シーナの作戦に反対の意見を出したのはいつも春香の盾役として隣でずっと守り続けていた谷村 ハルキだ。

「優先順位が逆なんだよ。一番危険度の高いのからではなくて一番脅威の小さい盗賊……弱くて数が多い盗賊を相手にするべきなんだ。強い敵に集中するあまり後ろを疎かにしてはいつ背後から襲いかかって来られるか分からなかいらね。まずは確実に倒せる相手から戦い数を減らす」
「それが正しい戦い方なのですね」
「少なくとも僕はそうして春香達を守ってきた。狙う順番は納得してもらえたかな」
「はーい……」
「じゃあ、後れを取り戻すためにもアジトに向かおうか」

 作戦がまとまった臨時のシーナを加えた春香のパーティがアジトを目指す。
 シーナの意見に反対の意を示したハルキとしては機械帝国の遺産を利用しようとする盗賊を放っておくことはできなかった。
 放っておけば更に力を付けて、自分達冒険者として戦う特異者が砂漠地方を離れた辺りで大暴れを始めるかも知れない可能性があったからだ。
 カリン達やリーラが居るから大事には至らないだろうけれど、それでも早めに摘んでおきたい危険な芽ではあることには違いない。

 ハルキという盾がいるからこそ自由に戦える春香としても、機械帝国を打ち破ったら打ち破ったでこういう潜んでる悪人が動き出すだろうとは思ってたが、やっぱりとしか思えなかった。
 実際、機械帝国との戦いで連合国の消耗も激しく、復興しきってないためにこのような盗賊がもし復興中の町に略奪に来たら更に復興が遅れてしまう。
 そうなる前に摘発しなければ! グラディエーターになってからの初仕事、バチっと決めようと彼女は意気込んでいた。

 秋光 紫もこの先に待ち構えているアジトと化した施設には人族や魔族を機械化する設備があることを懸念していた。
 それが悪用されれば、攫ってきた人々を兵器に作り変えてしまう、なんてことになりかねない。
 盗賊がそれを握ってる、というのはかなり危険だった。

 そんな紫や春香の心配など露知らず、アキラ・クーパスは後で一杯やるためにちゃっちゃと済ませることしか考えてなかった。
 赤等級相応の者がいるかも知れないとなると、相応の報酬があるだろう。
 それに期待を持ってはいけないとは春香には言われていない。
 言われたのは押収品の酒がもらえないということだけ。
 ならば他のモノに期待をするくらい罰は当たらないだろう。

 そしてアジトの中は相当な騒ぎになっている中に突撃したハルキは赤銅勲章を見せて力量を示しながら、騎士の名乗りで注意を引くと闘気で守りを固めた。
 続いてアキラが風祓の翠晶で精霊の潜在能力を解放し、業火蛇煙の書【機装:ジフィの書】によるCC:エルプトコアと「火炎Ⅱ」の機導式により強力な炎を起こし、さらに燃焼の過程で生じた煙などに含まれる有毒成分が蛇の形をした煙の塊となり、照準の合った敵目掛けて襲い掛からせる。
 炎は広範囲を焼き払う上に標的に命中するとさらに広がる厄介な代物に構成してある。
 「破防Ⅱ」の機導式により魔法耐性や防御術式も貫き、加えてベースがジフィの書であることに加え、「連唱Ⅰ」の機導式も組み込んでいるため、素早く2連射が放てるため、なんとか一発目に対処ができてもすぐ次が飛んでくる、という敵からすれば容赦のない慈悲のない機導であった。
 その間に紫がいつも通り回復と支援を行うためにまずは聖骸の裁杖で強化したサルベーションを展開し、回復と魔力補給をするための拠点を作っていく。
 そしてアキラの広範囲攻撃と併せてパニッシュメントクロスを散開させて放った。

「グラディエーターになってからの初仕事、バチっと決めるよ!」

 お膳立てされた春香が敵からの攻撃をハルキに防いでもらいながら敵の軍勢の中に切り込んでいく。
 姫導の騎士鎧【ナイトオブレガリス】に身を包んだハルキが純粋な物理攻撃・普通の魔法には冠紋の大盾で、機導攻撃はた機守の小盾で防ぎ春香をしっかり守ってくれる彼を頼もしく思いながら春香はルミナリアセイバー・PAS【機装:クリアブレード】でハルキを狙って反撃に合って隙を晒してきた敵を最初の一撃の対象としてクインタプルスラッシュを叩き込む。
 「追跡Ⅱ」の機導式のおかげで、クインタプルスラッシュの多段攻撃それぞれが敵を確実に捉え戦闘不能にしていった。
 多くは人族の盗賊のようだということはアジトに侵入してすぐに気づいた。だからこそ、なるべく絶命までさせたくはないという想いが大きくなる。
 致命傷を負わせなくても、ショック状態に追い込めれば無力化できると信じて。
 そんな心優しい春香を構えも強力な一撃にはグレートウォール、素早く回り込んでくる攻撃にはアラウンドガード、と使い分け護り抜くハルキには痛いほど伝わっていた。
 後方からは紫からのヒーリングブレスが飛んでくる。
 自分が春香よりも先に倒れることはあってはならないことだからだ。
 ハルキに聖銀のローブで強化したヒーリングブレスを飛ばした紫も、自分やアキラが狙われた際にはホーリープロテクションで防いでいく。
 そんな彼らの連携を見てこれが冒険者の戦い方なのかと目を奪われてしまうシーナだったが、ハッと意識を切り替えて自分が今できることをする。
 「強靭Ⅰ」を掛けた機装:テクノブレードに「鋭刃」をかけフィアスラッシュを盗賊目がけて叩き込むのだ。
 ぎこちないながらも春香達のフォローを受けつつシーナは戦いの極意を戦場で直接学んでいった。
 紫のサルベーションの持続回復とヒーリングブレスがなければ重傷を負っていたことは間違いないだろう。

First Prev  3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13  Next Last