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機械帝国攻略戦 その後

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機械帝国攻略戦 その後
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復興作業




 永見 博人伏見 光葉の二人は、機械族の整形技師機装の発明家の二人を伴い、マキアシュタットの工事現場で作業に協力していた。
 いや、協力というよりもここの現場は既に彼らが主体となって作業を進めている。というのも、永見 玲央が『レイグランドワーク』による事前準備や根回しなどを行い、この地に工房を立て、そこを中心に工事ができるように態勢を整えていたからだ。
 現在、彼らの仕事は砂船の発着場とレール整備がメインとなっている。マキアシュタット内の交通網のみならず、他の都市から人々を呼び込むためには必須となる工事のため、その責任は大きいと言える。
 博人は『機装:ヴァイタリティガード』を身に着け、重労働に従事している。彼の主な仕事は、『レストアボックス』や『機導式【冷却Ⅱ】』による道具や重機のメンテナンスだ。同時に、身体を損傷した機械族への処置も行う。
 光葉のほうは『機装:サンドシーカー(灰仕様)“ウォータージェット”』を身に着け、『機導式【水塊Ⅱ】』と『機導式【旋風Ⅱ】』を用いた高圧洗浄が主な仕事だ。『機導式【治癒Ⅰ】』の用意もあるため、傷付いた人がいれば癒すこともできる。
 これらは大きな助けとなり、元々ここで作業に従事していた者たちからすればありがたい戦力と言えた。そのため、後から入ってきた人間という割には現場の評価が高い。
 揉め事が起きた時のために光葉は『ドーウィン式交渉術虎の巻』を用意してあったが、未だ開かれることはない。
(もう、争いには疲れたのかも知れませんね。些細な言い合いはあっても、すぐに両者が矛を引く。この世界で、これほど穏やかな都市はないかも知れません)
 作業する人々を見て、玲央はマキアシュタットに集まった人々の間には特異な人間関係が生まれていると考える。
 きっとその関係は、戦後である今この期間独特のもので、いずれはまた人間関係が問題となるだろう。
 その時、人々は再び分かり合えることができるだろうかと、玲央は懸念する。
(……そうなる前に、せめてインフラだけでも整えねばなりません)
 玲央たちは作業を急ぐ。



戦災復興条例
市の戦災復興を推進するため、以下を制定する
1.土地、建物の所有権
市の土地、建物は全て市(現市長リーラ)が所有権を有する

2.借用権
市民は市から土地、建物の借用権を得て、居住・商工活動を行える

3.機導商工会による代行管理
機導商工会は市から委託で以下を代行する
1)土地、建物の借用権設定と記録管理
2)市内の拾得物管理
3)市街区画と交通物流網整備
・主要道路4車線
・人車分離
・目標緑化率20%以上(オリーブ等の有用植物推奨)
4)市民の商工活動参入支援



「以上が、我輩たちからの提案じゃ!」
 ゲルハルト・ライガーはマキアシュタットの復興と発展を目的として、戦災復興条例の草案を持ち込んでいた。
「個人的には文句など無いが、市長であるリーラにも考えがあるはずだ。いくつかはぶつかってしまうかもな」
 ゲルハルトの提案を全て聞いたマックスは、問題としながらもリーラと話し合うことを勧める。
「確かにな。まぁ、聡明なリーラのことだ、この程度のことは既に考えにあるかも知らん。とりあえず、今日のところは現場作業のつもりで来ているし、リーラへの面会はまたの機会としよう。ではな、マックス!」
 その言葉の通り、ゲルハルトは今回、マキアシュタットの市内調査が目的で訪れていた。既に目的の半分ほどの調査を終え、その結果を現場で作業するマックスに報告がてら、先ほどの草案を披露したわけだ。
「これほどの規模のインフラを整備せねばならぬとあれば、いまある形を大胆に変える必要がある」
 ゲルハルトは地図を見ながら、連れて来ていた風来の機導師マキアヴァンガードに説明する。
「インフラの整備は、建物を粗方建て終えた後では調整が難しい。取り壊すべきものは取り壊しておかねばならんのだが、今はその最大のチャンスである!」
 まだ人口が少なく、新たな都市として生まれ変わろうとしているマキアシュタットの形を大幅に変えるのは、最初期である今において他にはないのだが、だからと言って当てずっぽうに街を平らにしていいわけではない。
「うん、そっか! 教えてくれてありがとう! じいじ、この辺りはあまり重要そうな建物はないみたいだよ!」
 そんなわけで、ゲルハルトの孫娘である千波 エルミリアは周囲の機械族に話を聞き、情報を集めている。
「よし、よくやった! ならば工事はかなり予定通り進むことになるはずじゃ!」
「となると、あと調査しなければならないのは未調査地域だな」
 エルミリアの夫である千波 焔村丸は手にした剣を未調査地域に向ける。剣を向けたのは、城の一区画だ。そこは城の運用には必要のない区画ではあるが、どんな罠があるかわからないため、調査の手が入っていない厄介な区画となっている。残して何らかの機能を持たせるにしても、壊して新たな建造物を建てるにしても、調査しなければ工事は進められない。
 焔村丸はその区画の入口に立つと、まずは『反響測定』を行い、扉の向こうに危険物が無いかを探る。どうや観測では何もない空間が広がっているようだが、焔村丸は念の為『闘気』を発し、入口の扉を開けた。
「よし、まずは入口を突破だ……」
 ここからは更に緊張感を持って進まねばならない。
「エルミリアちゃん、行こうか」
「ヒルダさん、よろしくお願いします!」
 ヒルデガルド・ガードナーはエルミリアとともに先を進む。『位置把握』で迷わないようにした上で、『冒険者の経験則』や『パスファインダー』で周囲の罠などの危険を避け、仲間たちにも情報を伝達する。
「……ここ、明らかに城に攻め入った人たちを迎え撃つ構造になってるね」
 ヒルデガルドは視界の中に夥しい数の罠や自動迎撃の兵器を捉える。それらの射程や攻撃範囲に入らないよう、一行は慎重に進んでいくが、どうしても避けられない場合はゲルハルトが解除したり、焔村丸が破壊したりと、ある程度強引に進んでいく。
 エルミリアは『サイコメトリー』で罠などの看破に努める。誤って発動させ、ダメージを負ってしまった場合は『ハイヒーリング』などの回復手段もあるため、即死するような罠でも無ければ問題はないだろう。
 相当な数の罠を解除、破壊していく一行だが、それらの手間のせいでなかなか調査自体は進められていない。この分だと、この区画だけでも相当な時間がかかってしまう。一日ではとても不可能だ。
 一行は安全を確保した上で小休止を取り、その後再び調査を進めたが、これは一つのパーティーでできるものではないと最終的には判断した。リーラやマックスにこのことを報告し、更に大規模な調査隊を編成することを提案する必要がある。
「攻城兵として来なくて良かったわい……今日のところは撤退とするぞ!」
 ゲルハルトはそう言うと、パーティーに撤退を指示。後日改めて調査することに決めた。

(他の皆さんは大丈夫でしょうか)
 川上 一夫はゲルハルトたちと同じパーティー『サンドリップル』の一員だったが、全く違う任務に動いていた。
 その任務とは、マキアシュタットの物流整備を行うこと。マキアシュタットの地図とゲルハルトたちが調査した地図を照らし合わせ、新たに造成される市街区画の規模を計算し、どれだけの物資が必要か、またそれらの物資をどこから調達するかを考えるのが一夫の任務だった。
 勿論それらは砂船の発着場やレールが完成していなければならないため、まずはそこからだ。
 そして必要物資の計算をしようにも、実際にどのくらいの量をどのくらいの時間をかけて運べるのかも不明だ。なので一夫は『機装:デザートワゴン』を駆り、他の都市から木材などの物資を実際に運搬した上で計算するところから始めていた。
 信じられないほどアナログなことをやっていると思いながらも、一夫は完成したマキアシュタットの姿に思いを馳せる。
(郊外からの景色の想像図は、こんな感じでしょうか……いや、もっと壮大な街作りを想定せねば)
 内外からマキアシュタットを見るサンドリップルの面々だが、いずれの頭の中にも共通して想像する未来があった。
 それは全ての種族が手を取り合い、平和に生きていけるマキアシュタットの姿だ。
 そんな街を目指して、彼らは奮闘する。全てはより良い未来のために。



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