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機械帝国攻略戦 その後

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機械帝国攻略戦 その後
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リーラとの面会




「連合国への加盟、おめでとうございます」
「ありがとう。まず、第一歩と言ったところだが」
 他方 優の一行はマキアシュタットの統治に多忙なリーラが一息つく暇を狙い、会いに来ていた。
「して、何か用があるのか?」
「……ヘルブラウの最期を伝えようと思いまして」
 そう答えた優は、何故か左腕を吊っており、台詞はその腕を見てのものだった。
「彼が残した結果です。この怪我は……」
 負傷はヘルブラウとの戦闘で負ったものだ。神聖術等で完治させることもできたが、優は敢えて自然治癒に任せていた。
「医者の私としてはすぐに治してあげたいところだけど~、優さんの想いもあることだし~」
 ウィンク・ルリヴァーはかなり前から優の左腕を治すつもりでいたのだが、優は拒否していた。想いという通り、優はヘルブラウとの決着で奇妙な縁のようなものを感じていたようだ。
「ヘルブラウは覚醒体となり、自身の中に生まれた悩みを解決しようと戦っていたようです」
 優はヘルブラウとの戦いが、何を意味していたのかをよく理解していた。
「答えを出すために全力で戦う……私としては理解に苦しみますが、他方様とヘルブラウ様、最後まで意志を貫いて戦ったように見受けられましたわ」
 ミネル・バオジョーは逆に、ヘルブラウのそんな行動に納得がいかない様子で口を挟むが、決してその戦いを否定するつもりはない様子で言葉を発する。
「『……あぁ、言語化する、のは、難しそう、だが……次、こそは……』……ヘルブラウの最期の言葉です」
 その言葉を聞き、リーラはやや表情を暗くする。優の語る三機将ヘルブラウは、かつて同僚であったころのヘルブラウとは違う。だが、ならばリーラと同じ道を進むことができたはずだ。口には出さずとも、リーラの表情にはそう言った感情が漏れていた。ミネルとほぼ同じ感想抱いたことだろう。
「我が感じ取った中でも最上級の闘志の炎であった」
『魔力節約形態』で小鳥の姿となっていたクロス・エレメもまた、ヘルブラウを称賛する。
「それ故に、再び目覚めたとしてもあの時のあやつでないのは残念だ」
「再び目覚める、か……」
 ヘルブラウの機体を修繕し、リブートすればヘルブラウは復活するが、意識というものがどうなるかは不明だ。記憶を受け継いだ身体に宿る魂は、記憶の継承元と同一のものなのかという概念的な疑問だが。
「新たなボディを作る際には、これを組み込んで負荷を軽減させてみてはどうだろうか。あやつ、自身の力の負荷が大き過ぎることが悩みだったようだ」
 クロスはそう言うと、『CC:アダマスコア』をリーラに差し出した。
「お待ちくださいませ! 無償で提供するなんて言語道断ですわ! 最低でもそれなりの値段で買い取って頂きませんと!!」
 クロスの突然の提案に驚き、割って入ったのはミネルだった。アダマスコアは貴重の逸品だ。彼女の言う通り、譲渡するにしても対価がなければ釣り合わないし、釣り合う対価は相当高価な物品となる。パーティの財務担当としては見逃せないやり取りだった。
「も、元々機械族用であったのだろう? ならばケチケチせずとも良いではないか……」
「ダメですー!」
 ミネルのあまりの勢いに気圧されつつも、クロスは自分の意見を述べるがミネルは真っ向から否定。
「そ、そうか……すまんがリーラ、必要になったら教会に言ってくれ。在庫があるやも知れん」
「あぁ、その気遣いだけで充分だ。ありがとう」
 表情を暗くしていたリーラだったが、ミネルとクロスのやり取りを見て微笑む。
「でもぉ、ここって一応魔界の存在だった都市じゃない? 教会はマキアシュタットからの要望に答えてくれるかしら~?」
 クロスが苦し紛れにした提案に、今度はウィンクが便乗し、リーラに問う。ウィンクの言う通り、マキアシュタットは連合国に加盟しても、元々魔界の都市だ。いくら覚醒体に基本的な人権が認められたとしても、教会からの目は好意的なものではないだろう。
「根回しがなければ、まず答えてくれないだろうな。それは仕方のないことだと思うが、いつまでもその関係でいるつもりもない」
 漠然とした機械族と人族の調和を、明確なものに変えなければならない。リーラはその問題について、真摯に取り組むつもりだ。ウィンクもその回答を得て、少し驚きつつも安堵した表情を見せる。
「今回の大戦とは比べ物にならないほど時間がかかるだろうが、幸いにして私の稼働可能時間は長い。地道に行くぞ」
「長い道のりになるでしょうね。俺たちにできることがあったら、何でも依頼してください」
 優は最後にリーラへのエールを送ると、その場を後にしようとした。
「あ、ちょっと待った。私も聞きたいことがあったのよね。いい?」
 その中で、ダイアナ・エルナイが思い出したかのように足を止め、再びリーラに向き直った。
「構わないが」
「ありがとうございます。では……神域について、何か知っていることはありませんか?」
 ダイアナの質問は、これまでの会話と毛色が違っていた。
 ダイアナたちはかつて『知の魔王』イスレロと対峙した際、彼に魔女の心臓を作ろうと考えた理由を問うと、「神域に至り、あの方に会うためです」という回答を得ていた。しかし、彼女らの知識では、『神域』についても『あの方』についても謎のままだった。
「神域……すまないが、私にはわからないな」
「そうですか……識の魔王も、何かしら研究していたらと思ったのですが……貴重なお時間を、ありがとうございました」
「あぁ、是非また来てくれ」
 残念ながら、リーラは神域に関する情報を何も持っていなかったようだ。
 しかし、リーラのマキアシュタットを治める意欲というものは見て取れた。この分なら、この街はここから栄えていくはず。そんな思いを胸に、優たち一行はその場を後にした。

 リーラの元には、次々に冒険者たちが現れる。心美・フラウィアもそんな冒険者たちの一人だった。
「まだあの戦いからそんなに経ってないけど、ずいぶん様変わりしたね、この街も。リーラや街の人たちが頑張っている証拠だよ。あれから元気してた?」
 心美は努めて砕けた調子で話しかける。その言葉に、リーラもリラックスした様子で応対する。
「元気と言えば元気だ。忙しくて目が回っているがな。しかし、おかげでこの街も様になってきた」
 リーラは窓の向こうに広がるマキアシュタットの景色に目を遣り、微笑む。
「けど、これからもっと忙しくなるよね。そんな時に、アイツみたいなのがいれば多少は楽になったかも知れないけど……」
 明るい雰囲気から一転して、心美は声のトーンを落として言う。リーラに必要なのは、優秀な参謀のような存在。かつてリーラの隣には、そんな存在がいた。
「グリューンについては、仕方のない結果だと思う」
 三機将グリューン。かつてリーラとは犬猿の仲だったようだが、心美にすれば、そんな関係のほうが時には上手く行くものだと考えていた。
「うん。アイツはアタシが斬った。そのことに後悔は無いよ。剣士として立ち会って、本気で勝負した。その結果だからね」
 それはどちらかと言うと、自分に言い聞かせているかのような言葉だった。
「でも、たまに思うんだ。アイツが自分の変化を受け入れてたら……今頃はリーラの隣で、しかめっ面でブツブツ言いながら補佐役をしていたのかも、って」
 それは心美が夢想する、今はもう成し得ない幸せなifの光景だった。
「……リーラ、アイツの代わりというわけじゃないが、アタシにできることがあれば、何でも力になるよ。アタシたちは、もうダチだ。遠慮なんてするんじゃないよ」
 そう言って、心美は手を差し伸べる。その手を、リーラは握る。
「あぁ。大いに期待している」
 約束を交わし、心美はその場を後にした。

 多くの冒険者たちがリーラを支えるべく彼女の元を訪れる。キャスリーン・エアフルトは、その中で具体的な提案をするためにアポイントメントを取り、リーラに会いに来ていた。
「ずばり、私がご提案するのは人間関係の問題が起こった際の相談所の解説です」
「相談所、か。確かに、揉め事が起きたらすぐに警察権を持つ者たちを介入させるのは少し乱暴だ」
「そういうことです。当面の間起こる揉め事の原因としては、人族と機械族という種族の違いによる誤解がメインかと予想されます。そこで、交流に慣れた各種族の有志を間に挟み、問題を解決する機関を作るんです」
 人族と機械族の隔たりは、その文化や意識の差にある。それは相互理解がなければ解決しない問題なのだが、お互いを学ぶ時間はあまりない。そこで、既に異文化交流に慣れた者がアドバイスするのはどうか、というのがキャスリーンの提案だ。
「有志は、そうですね……知見のあるブロッケンからお招きできればいいですが、難しいようでしたら私一人からでも」
「……それは、インフラ整備や盗賊対策などより遥かに難しいことだぞ。根本的な問題ほど、解決するのが難しいことはない」
「きっと、そう思っている人族、機械族も多いはずです。ですから、こういう相談所がある、ということをお知らせしてほしいです。助けが必要な人も、助けたいと思う人も、どっちも集まるはずですから」
 そう言うキャスリーンも、実際には自信があるわけではない。しかし、確実に必要な機関であることは自覚している。やる者がいなければ、自分がやるしかないとして、一念発起したわけだ。
「なるほど……相当な覚悟を持っているようだな。わかった、相談所の開設を認めよう」
「ありがとうございます! では、早速動きますね!」
 リーラからの許可と言質を取ったキャスリーンはすぐに行動を開始するのだった。



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