クリエイティブRPG

機械帝国攻略戦 その後

リアクション公開中!

 120

機械帝国攻略戦 その後
リアクション
First Prev  7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17  Next Last

クラーケン狩り




 水着の美女たちがバカンスをしている海岸にクラーケンが出現する。
 これほど許せぬことはない。
「はははははは!! やっほー! みんな元気ですかぁー!? ナイス水着! グッド水着! それでは順に水着を紹介していきましょう! ってやりたかったんだよねこっちは」
 紫月 幸人はクラーケンへの怒りと水着美女たちからの刺激で情緒が不安定になった状態で、『凪祓』、『パーフォレイター』を構え、海岸でクラーケンを迎撃する。
「視野を広く構えろ……デッドマスターでね、クラーケンと、守るべき美女たちを……」
 幸人は『デッドマスター』による必中の一撃を準備しているが、集中力は常に殺がれている状態だ。恐らく、援護射撃も最低限のものしか期待できないだろう。
(しゃちょーがいつも以上におかしいし、ここはアタシらが何とかしなきゃね)
 幸人の姿を横目に見たシレーネ・アーカムハイトは、『スピニングランス』に『精霊剣・風』を付与した上で『エレメンタルバリア』を展開し、『水上オートバイ』でクラーケンに向けて突撃する。まずはクラーケンの注意を海岸線から離さねばならないため、陽動のつもりで強烈な突きを見舞う。
 シレーネの槍による一突きはスピードを乗せた重い一撃だったはずだが、クラーケンは体表の滑らかさと軟体であることを活かし、上手く躱した。
「その巨体でよくやるし……!」
 シレーネは反撃を予感し、躱された槍を引くとすぐにクラーケンから距離を取る。
「朝霧さん、私たちも行きましょう。お願いします」
「おう! 酒の肴にバーベキューにしちまおうぜ!」
 スレイ・スプレイグがそう言うと、朝霧 垂はスレイに『ウェーブライド』を付与し、自身は『ウンディナコート』を纏い、海の中へと進んだ。
 スレイはシレーネを援護するために真っ直ぐ進み、自身の存在をアピール。触手の一つがスレイを殴打しようとするが、スレイは落ち着いて『シールドカウンター』を行い、『灼炎のイーラ』で炎を起こして反撃する。炎による攻撃は、クラーケンの滑らかな体表も意味を為さずダメージを与えられるが、戦場は水上だ。炎はすぐに消し止められてしまう。
 一方、垂は水中からクラーケンに迫っていた。狙いはスレイによって傷つけられ、海中に沈めた触手だ。
 垂は『ハイエンドガントレット』で強化した腕力に物を言わせ、水中で『グランドフォール』を実行。振り抜いた『聖鎚ローレライ』の力を利用して水中を回転しながら進み、触手を攻撃した。
 しかし、水中ということもあって垂の攻撃は十全な性能を発揮しない。確かなダメージは与えたものの、触手を弾いた程度で明らかなダメージは未だ負わせられていないようだ。
 クラーケンは攻撃を加えても一定の位置取りをするスレイに狙いを定め、触手による猛攻を加える。スレイは大盾を構えてほとんどの攻撃を防御し、ダメージをほぼ負っていない。
 互いに有効打を放てていない中、スレイは決めに掛かるべく全力のカウンターを見舞った。胴体を狙った剣による斬撃はクラーケンに届きはしたものの、炎がその身を掠めただけで浅い。
 そして、クラーケンはスレイに生じた隙を突いてその身体を絡め捕った。
「く……」
 凄まじい力で締め上げられるスレイは抵抗するが、なかなか抜け出せない。
「ヤバい!」
「いま行くし!!」
 海岸からは幸人が銃撃を、海上からはシレーネが槍による突撃を敢行するが、やはり通常の攻撃はクラーケンの身のこなしと特性のせいですり抜けてしまう。
 このままではスレイが潰されてしまうと思われたが、先に音を上げたのはクラーケンだった。その理由は、密着した状態でスレイが灼炎のイーラを触手に突き立て、自身の身体ごと燃やしていたからだ。
 クラーケンはもはやスレイを手放そうとするが、今度は逆にスレイにしがみつかれ放せない。たまらずクラーケンはスレイを絡め捕ったまま水中に沈める。
「いま助けるぞーっ!」
 水中では垂が既に構えを取り、先ほどと同様の手段でグランドフォールを実行。スレイに絡みつく触手に強力な一撃を加え、スレイを救い出した。
「ほらほら、頑張んなさーい! せっかくバカンスをイカのせいで台無しにされたいのー!?」
 思いのほかクラーケンが強力であると気付いたアイリーンは、戦闘する者たちにそんな声をかける。自身は戦うつもりはないようだが、とりあえず応援だけはするようだ。
「アイリーンちゃーん!! やっときちんと会えたぁ!」
「うわ!?」
 そんなアイリーンの背後から突然抱き着いたのは織羽・カルスだった。
「なんだ、君かぁ……」
「砂漠地方ではすれ違ったり、ゆっくり話すヒマがなくて……前に出る駆で借りたハンカチ、返したかったの。あの時はありがとう! あのあの、隅っこの……気に入らなかったら新品買って来るから言ってね」
 そう言った織羽は、以前アイリーンから借りたハンカチを返した。ハンカチの炭には“I”のイニシャルと、アイリーンの髪のリボンの刺繍がされている。
「別に良かったのに……しかも、刺繍まで。どんだけあたしのこと好きなのかな」
 刺繍を気に入ってくれたことが嬉しかったのか、織羽は表情をぱぁっと明るくする。
「あのねあのね、わたしも“青の唄使い”って呼ばれるようになったの!」
 そう言うと織羽は海上で暴れ回るクラーケンを睨み、『シーレーン』を構えた。
「アイリーンちゃん、また共演してくれる? 歌と踊りの相乗効果で、みんなを強化するんだよ!」
「うん、おっけー!」
 アイリーンは織羽の提案に乗っかった。
「じゃあ行こうか、ギリーさん!」
「承知した、我が歌姫――“青の唄使い”」
 織羽がそう言うと、隣にいたパートナーのギリウフリヴァリエ・アウラは『竜化』を実行。その背に織羽を乗せて飛行することで、広範囲に織羽の歌を届かせるのが狙いだ。
 そして織羽は『オータス・アンセム』を歌い、仲間たちに加護を与えると、クラーケンと戦っていた幸人たちは再び奮起し、クラーケンへの攻勢を強める。
 織羽もまた『ラプソディア』で引用した『アクア・パルティータ』に歌を切り替える。青の元素と相性のいいこの歌は、水場である海上では効果が高まり、ようり広範囲の仲間に影響を与える。
 ギリウフリヴァリエは織羽の指示でクラーケンの近くを飛行するが、彼にとっては気が気ではない。織羽はカナヅチのため、海に落ちればクラーケンへの抵抗はおろかただただ溺れてしまうだろう。
 そのため、クラーケンからの攻撃には細心の注意を払い、伸び来た触手に対しては『受け流し』による防御や『シルバーストライカー』による殴打で迎撃する。
 今のところ、ギリウフリヴァリエは対処できている。が、クラーケンの撃破が遅れれば数分後にどうなっているかはわからない。クラーケン程度、と考えていたがどうやらこのクラーケンは多少強力な個体であり、戦意のようなものも非常に高いようだ。普通、これほどの迎撃を受ければ海中に逃げていくはずなのだが、とギリウフリヴァリエは首を傾げる。
「加勢します! 自分たちでクラーケンを浅瀬に引き込みますので、合わせてください!」
 そう言って現れたのは綾瀬 智也だ。智也は『竜化』しているメルゴーブスコエ・バレーに乗り、自身の作戦を前線の冒険者たちに伝える。簡単に海中に逃げられてしまう場所で戦うのは不利と考えてのことだ。
(ウーティア、お願いします)
 実際にクラーケンを誘導するのは、水精であるウーティア・アクニスの役目だった。
 ウーティアは『ウンディナコート“湖の外套”』を纏い、水中からクラーケンへの攻撃を開始する。『葬送の踊刃』に『精霊剣・火』を付与した上で攻撃しつつ、『ダーティベイト』を撒くことで注意を引き付け続ける。
 クラーケンはウーティアの存在を無視できないようで、海上の敵を捨て置きウーティアに追い縋る。海中でのクラーケンは非常に素早く、ウーティアは何度も追いつかれそうになるも、水中で舞うように回避することで上手くクラーケンを引き付ける。
「デカブツめ、来やがったか」
 海岸ではキョウ・イアハートが二柱の精霊、シルバ・アエロプースマラキア・クリアフィールドを伴い、構えていた。キョウは『コネクトスピリット』でシルバ、マラキアの二人と繋がり、『ビキニウム・プロケラス』を実行。シルバとマラキアを周囲の状況把握を任せることで広範囲の魔力や元素の流れを把握する。
(……クラーケンは目の前のヤツだけじゃねえ! しかし、ここからだと遠すぎるか……様子を伺ってるのか?)
 キョウは魔力の流れを読む中で、二体目のクラーケンが海の向こうにいることを察知する。これほど巨大なクラーケンが、同じ海岸に現れるというのは極めて珍しいことだ。俄かには信じられないことだが、出現したのなら対処せねばならないが、どうやら今は射程外に構えているようだ。
(仕方ねぇ、まずは目の前のデカブツに集中するか!)
 その瞬間、海岸に引き付ける役割を見事に成したウーティアが海中から飛び出し、クラーケンも追って海上に出現する。
「残念、もう海岸ですよ!」
 ウーティアはクラーケンを海中に戻さぬよう、『重圧力場』を展開。突如として身体にかかった重圧を受け、クラーケンはその場で身動きが取れなくなる。
 それを見たキョウはすぐに『ディバインバレット』を装填した『ハイパーソニック』に、『コミューン』で強化した風の魔力を込めると、『デッドマスター』を実行。凄まじい風の魔力を纏った弾丸が、クラーケンの身体を貫いた。
 確実に命中したキョウの弾丸だったが、クラーケンは未だ動きを止めない。
「火力が足りないのは予想通りよ」
 シルバが追撃とばかりに『エレメンタルバースト』を実行。共有していたデッドマスターの効果を乗せ、必中のエレメンタルバーストは暴風となってクラーケンの全身を斬り刻む。
「ダメ押しに、もう一発必要そうだね」
 更にはマラキアがシルバと同様にエレメンタルバーストを放つと、強烈な雷がクラーケンに吸い寄せられるように落ち、その全身を焼き焦がした。
「まだです……!」
 尚も絶命しないクラーケンを見て、智也は『ドリルランス・改“ドラグーンランス”』に『精霊剣・火』を付与して構えると、『ドラゴンフォース』を実行。同時に、メルゴーブスコエはクラーケンへの効果を開始する。
 効果の勢いのままに、智也はクラーケンの頭に突撃。槍による刺突の瞬間、『竜技:天穴』を実行した智也はクラーケンの巨体を一瞬で貫通。急所のほとんどを貫かれたクラーケンは、そこでようやく絶命した。
 冒険者たちは火炎や電撃で程よく焼かれたクラーケンを引き上げる。用途は説明するべくもない。
「ヴァイスさん」
「なに?」
 戦闘を終えた智也はヴァイスに声を掛ける。
「前から不思議だったのですが、ナイトロードやリーラさん。それぞれの方針に干渉した節がないという事はひょっとして機械族の女王って機械族の統治はおろか、そもそも人と魔族の争いに全く興味がない感じなのですか?」
 智也はまくし立てて言う。
「しかし、そうなると今の教会への接近はあなたの個人的動機絡みという事になりますが……」
 智也の考察を、ヴァイスは真剣に効いている様子だが、続く言葉を待っているようだ。
「まあ、人に被害がいかない用件なら協力するのもやぶさかではありません。その場合は気軽に声を掛けて下さい。自分達はこの世界の人達程、魔族勢力にマイナスイメージは持っていないですし、基本的に暇人ですから」
「あら、なんだか納得したみたいね。まぁ、こっちから言うことも特に無いかな」
「じゃあ私からもいいですか? 女王の手で作成された上位個体って戦術上、必要だから造ったのではなく、趣味というか探求の一環で作られたものだったり?」
 今度はウーティアが割って入り、ヴァイスに質問する。
「さぁ……でもそれって、普通のことじゃない? 必要なもの作った上で、こうだったら便利かもって作るってだけでしょ」
「結局のところ、機械族の女王の行動原理、というか目的はなんなのじゃ? 機械族全体の進化というかスペックアップか?」
 更にはメルゴーブスコエまでもが割り込む。
「だからさ、あんたらの中では機械族ってのは停滞し続けるだけの種族だと思ってるの? 生きてる目的は前に進むためでしょ」
 最終的にヴァイスは当たり障りのない回答をし、その場から去る。予想していた回答は得られなかった智也たち一行だったが、何かを隠していると感じたのだった。

First Prev  7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17  Next Last