●ヨウサイオルカとの戦い
「ハルキ、盾役は任せたよ!」
ホライゾンジンベイアーマーを纏った
谷村 春香は真・召現を発動させ、海中を移動してヨウサイオルカを発見した。
「いたよ!」
谷村 ハルキはSスケイルメイルとフォーミュラーシールド、【BC】クローシールドを装備し、春香を援護するため、アーマライズⅡを展開していく。ヨウサイオルカが放ってきた魚雷を盾で受け止めることができたが、ダメージを受けてしまう。だが、アーマライズⅡがあれば、持続的に回復するのだ。まさに盾役だ。
「念の為、ハルキくんの回復をするね」
秋光 紫は水中戦闘ができたが、ダイビングセットを纏っていたこともあり、準備はばっちりだ。ヒーリングブレスを使って、ハルキの怪我を回復させていく。
サイコフィールドを張り巡られた春香が、ヨウサイオルカに狙いを定めてヒヒイロカネ・ブラスターを構え、明暗のアンサンブルを繰り出した。風属性の攻撃は無効化されてしまったが、闇属性の追加ダメージを与えることができた。
「よし、二つの属性があれば、どちらかが当たるはずと思ったけど、思った通りね」
ヨウサイオルカが魚雷を放ってきたが、ハルキが<庇う>★2で春香の代わりにダメージを受けてしまうが、紫がヒーリングブレスでハルキを回復していく。見事な連携だ。
春香がヒヒイロカネ・ブラスターによる明暗のアンサンブルで攻撃をしかけて、ハルキが<庇う>★2を使って春香を守り、紫がヒーリングブレスでハルキを回復していく流れが続いていたが、途中で異変が起こった。
「こっちが攻撃する属性の無効化が変わった?!」
最初は風属性が無効化されていたが、明暗のアンサンブルで攻撃を続けていくうちに、今度は闇属性が無効化されていく。
「こいつ、無効化する攻撃の属性も変えてくるのか!?」
ハルキが<庇う>★2で紫を守り、代わりにダメージを受けてしまうが、紫がヒーリングブレスでハルキを回復してくれた。
「戦いが長引きそうね……春香ちゃん、アバターエコーで援護するわ」
「助かるよ。だったら、とっておきの技、見せてあげるよ!」
春香が攻撃態勢に入った……セブンタイムスの構えだ。
紫が、春香にアバターエコーを解き放つと、春香は閃光を受けてから、セブンタイムスを放った。ヨウサイオルカ一体に狙いを定めて、同一目標に七回……しかも、それぞれ七属性の攻撃を叩き込んだ。「地」属性の攻撃は無効化されたが、残りの「光」「闇」「風」「水」「風」「火」属性の攻撃を命中して、ヨウサイオルカに多大なダメージを与えていく。凄まじい連撃を喰らったヨウサイオルカであったが……。
「え? まだいるよ!」
春香は目を見張った。あれほどまでの攻撃を受けても、ヨウサイオルカは生き延びていたのだ。
「予想以上の強敵だね」
「あれで、水着とか食べるんだよね」
「だけど、ヨウサイオルカを倒さないと、海水浴場とか危険だよ」
春香、紫、ハルキが話し合っているのを見て、ヨウサイオルカは、この隙に水着を着ている者を見つけて、そちらへ移動しようとしていた。
●
幾嶋 衛司と
ブリギット・ヨハンソンは、水黽のルーンを駆使して海上を移動し、
黒江 シュンは九三式探信儀を使って、ヨウサイオルカの行方を追っていたが、なかなか見つからなかった。
「衛司教導官、ヨウサイオルカ、未だに行方が分かりませんね」
「ヨウサイイルカ、だっけ?」
ブリギットは、どうやら目当ての名前が、うろ覚えだった。
「……ブリギットちゃん、ヨウサイイルカじゃなくてヨウサイオルカだよ」
衛司がそう応えると、ブリギットが言った。
「オルカか……どうせなら、シャチの方が覚えやすいんだけどね」
「ヨウサイオルカは、シャチを自称しているって聞いたから、あながち、間違いでもないかな。挑発するために、わざと名前を間違えるっていうのも有りだと思うけど、そうじゃないならとても失礼なことだってのは理解しとこうね? 俺だって、誰かがブリギットちゃんの名前を間違えて呼んだりしたら、それを悪意ある挑発と受け取って気を悪くするしね」
衛司が優しく諭すと、ブリギットを満悦の笑みを浮かべ……そして、衛司に抱き付いた。
「分かった。そうだよね。エージくんのそういうところ、好き!」
と、次の瞬間。
ヨウサイオルカが、怒りを露わにして現れた!
「出た!」
ブリギットは、衛司に抱き付いたままだった。
どうやら、二人のリアルで充実したラブラブ振りに、ヨウサイオルカの怒りの矛先が衛司へと向けられていた。
結婚指輪が、眩しかった。
「ブリギットちゃん、シュンちゃん、探す手間が省けたね」
攻撃態勢に入る衛司。
シュンは内心、ヨウサイオルカが現れた原因は予測していたが、やっばりと溜息をついていた。
「あたしの予想が、当たってたね」
「どういうこと?」
ブリギットが首を傾げていた。
「さあて、ここからが勝負だね。シュンちゃん、頼む」
「衛司教導官、もちろんよ! 奥様、ヨウサイオルカは、あたしがおびき寄せるからね!」
シュンが、照準器と3.5インチ航空ロケット弾を放ち、海中にいるヨウサイオルカを狙い撃つが、敵は回避して、その場から逃げるように移動していった。
海面に出てくるまで、シュンは攻撃を続けていたが、やはりヨウサイオルカは海中からは出てこない。
他の手段を考えておく必要もあるだろう。
●
ホライゾンジンベイアーマーを纏った
小山田 小太郎は、水流ジェットを噴射し、游泳術を駆使しながら、ヨウサイオルカへと接近していく。
「気付かないようにしないといけませんね」
魔力遮断マントを装備した小太郎は、レゾンデートルで気配を消して、さらにヨウサイオルカへと接近していった。
すでに、ヨウサイオルカとの戦いは始まっていた。
乙町 空は、海中でも活動できるように、メタルキャヴァルリィのキンジャールに、アクアパックを備え付けてきた。
「これなら、どうですか?!」
アクアパックから魚雷が発射されて、ヨウサイオルカへと攻撃をしかけることができた。
小太郎はレゾンデートルで気配を消し、フラッシュテレパスを使って、ヨウサイオルカの動きを読み取ろうとしたが、どの攻撃が無効化されるのかまでは分からなかった。フラッシュテレパスは意図的に相手に伝えることはできないため、それができなかったということは、まだこちらが危機的状況ではないからだ。
「……まだ危険はないようですが、戦っておられる方もいますから、援護だけはしていきたいですね」
小太郎が、ここに駆けつけたのは、戦う仲間たちの支援をして、ヨウサイオルカを撃退したかったからだ。
「急に、方向転換?」
メタルキャヴァルリィのキンジャールに乗った空は、すぐさま、ヨウサイオルカの後を追いかけて、海中を移動していく。
その時、小太郎からのテレパスが届いた。
『水着を着ている女性に向かって、ヨウサイオルカが移動しています!』
確かに、ピンチだ!
水着の危機である。
「逃がしませんよ!」
私なりの正道で誓いを立て、空の乗ったキンジャールがコーラルリーフブレードを構え、瞬間加速斬りでヨウサイオルカとすれ違いざまに攻撃を繰り出し、さらにキャヴァルリィブレイクを放つと、多大なダメージを与えることができた。
「コーラルリーフブレードは、「水属性」ですが、これでダメージが与えられるとは、意外でしたね」
つまり、無効化される攻撃は、別の属性ということになる。
「助太刀に来たぞ!」
有間 時雨は、水中用ドラグーンアーマーのタルワールに搭乗し、現れた。小太郎のテレパスが、時雨にも届いたのだ。
「まったく、のんびり遊ぶこともできないな」
時雨のタルワールが、風属性のスピットファルクスで斬りつけるが無効化されてしまった。
「だったら、これならどうだ!」
タルワールが、水属性のコーラルリーフブレードを振り下ろすと、ヨウサイオルカにダメージを与えることができた。
「どうやら、風属性が無効化されるようだな」
空のキンジャールが、コーラルリーフブレードによるキャヴァルリィブレイクをヨウサイオルカに叩きつけると、痛烈な一撃を与えていた。
「今のところ、水属性は効き目があるようですね」
時雨のタルワールがヨウサイオルカに接近しようすると、敵が魚雷を発射してきた。バレルロール<D>で回避するタルワール。
「一気に攻める!」
呼応式加速装置<D>を駆使してヨウサイオルカに接近した時雨のタルワールは、穿孔突き<D>を繰り出す。ヨウサイオルカはダメージを受けて、ヨロヨロとしていた。
「後、もう一息でしょうか?」
空のキンジャールがコーラルリーフブレードでキャヴァルリィブレイクを放ち、さらにヨウサイオルカに追い打ちをかけていく。
「これで、止めだ!」
時雨のタルワールが烈火一払<D>を仕掛けた。ヨウサイオルカにダメージを与え……と思いきや、突然、ヨウサイオルカが尻尾をフリフリして、踊り出した。
「なに!?」
時雨は身の危険を感じて、タルワールを後退させてから、穿孔突き<D>による衝撃波を放った。
ヨウサイオルカは、衝撃波を回避して、口から魚雷を発射してきた。回避を試みる時雨のタルワールと空のキンジャールであったが、ヨウサイオルカが放った魚雷が命中して、ダメージを受けてしまった。
「さっきまでは、回避できたのに……急に、能力が上がった?」
時雨はタルワールを操縦して、バレルロール<D>を使い、ヨウサイオルカが放った魚雷を回避しようとするが、間に合わず、敵の攻撃を喰らって、タルワールが震撼する。
「こいつ……強いぞ。水着しか食べないからといって、油断は禁物だな」
「そうね。なんだか、あなどれない感じがしてきました」
空のキンジャールが、コーラルリーフブレードを振り下ろしてキャヴァルリィブレイクを解き放つ……だが、その攻撃は無効化されてしまった。「さっきまでは、攻撃できたのに、無効化!?」