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要塞鯱とミズギの怪

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要塞鯱とミズギの怪
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テントのお宿


「マリナちゃん、一緒にゴールデンミズギを探そ? 探索イベントみたいで楽しいよ!」
 マリナ・アクアノートを誘って、ノーン・スカイフラワーは密林の中へと入っていった。
 マリナ・アクアノートは白いワンピース水着だが、ホルターネックの胸の部分がブルーのチェック柄になっていて、中央にはブルーのリボンがついている。ノーン・スカイフラワーも、同じデザインの水着を着ていた。
「マリナちゃんの水着とっても可愛いよ!」
 ユニゾンヘルプで、ノーン・スカイフラワーがマリナ・アクアノートをべた褒めした。
「お菓子に例えたら、甘くてトロピカルなマンゴーパフェな感じだよ。美味しさ満点な可愛さだよ♪」
 一歩間違えれば褒め殺しだが、ノーン・スカイフラワーとしては本心から言っているので、まったく問題はない。
「ん、ノーンが言うなら、そのとおりだと思う。うん、わたしが、一番!」
 マリナ・アクアノートが、自信を持って言った。その時、木々の梢の間に、キラリと何か金色の光が垣間見えた気がする。
「でも、ノーンの水着も一番! ここにいるのは、一番と一番!」
 ここぞとばかりに、マリナ・アクアノートもノーン・スカイフラワーの水着を褒めちぎる。
 何かが、茂みで動いた。
「そこだよ!」
 素早く、ノーン・スカイフラワーがハロウインサイズを振り回した。茂みがバッサリと刈り取られ、その下からメガロブスターが現れる。
「違う!!」
 ノーン・スカイフラワーとマリナ・アクアノートが声をそろえて叫んだ。ゴールデンミズギだと思ったのに、モンスターではないか。
 すかさず、ノーン・スカイフラワーが怒りのアステロイドカッターを放って、メガロブスターを粉微塵に斬り裂いた。
「さっき、それらしいのが見えた……はず」
 索敵用HUDゴーグルで周囲を確認しながら、マリナ・アクアノートが言った。動き回っている反応はちらほらあるが、ゴールデンミズギなのか、それを探す特異者たちなのかまでは分からない。
「のんびりと待とうよ。はい♪」
 テントのお宿で拠点を作ると、ノーン・スカイフラワーがマリナ・アクアノートに特性トロピカルドリンクをさし出した。
 慌てることはないのだ。少しここにとどまって、休みながら、再びゴールデンミズギが現れるのを待つことにしよう。待つことは苦ではない。だって、ここには、ノーン・スカイフラワーとマリナ・アクアノートの二人がいるのだから。


ログハウス


「えーっと、なんでその姿なのです?」
 目の前にいる、女性化した恭司・プラズランの姿を見てルーニャ・プラズランが問いただした。
「僕……いえ、私は、ええっと、世界とか、状況とかに応じて女性の方が適している場合はこうやって女性になってるときがあるんです。その……変だったらごめんなさい! でも悪い事はしてないので……その、理解してもらえると幸いです。こういうときは、きょーちゃんって呼んでもらえると嬉しいです!」
「むむむむむむ……」
 恭司・プラズランの返事に、ルーニャ・プラズランが唸る。夫の隠された一面をいきなり見せつけられたのでは狼狽もしよう。
 が、そこはテルスでプリンセスガートを務めたルーニャ・プラズランである。護衛対象の王女様だと思い込めば、なんとか……。
「きゃっきゃ、うふふ♪」
 頭が痛い。こんな夫に慣れるはずがないではないか。
 とりあえず、適当に密林を進んでいった所で、よさそうな場所にログハウスを作って拠点とする。カーペンターであるきょーちゃんにとっては、造作もないことだ。
 そして、ルーニャ・プラズランは……慣れた。
 慣れてしまえば、それはそれでかわいいのかもしれない。水色の、パネル飾りとパレオを巻いたビキニ、その下の身体は意外と華奢だ。
 ルーニャの方は、黒のチューブトップにVラインの切れ上がったボトムの水着を着、花びらのように重ね合わせた薄紅色のパレオを腰の両脇につけている。大人っぽさと、清楚さを併せ持ったような格好だ。
「川も近いから、釣りでもしましょうか」
「そうね。そうしましょう」
 これは、もう、ゴールデンミズギなどどうでもいいなと悟り、ルーニャ・プラズランもきょーちゃんと一緒に楽しむことを決め込んだ。
 川は、ギリギリ人が泳げるほどの深さだ。暑くなったら泳いで身体を冷やし、とりあえずの食事用の魚を釣り上げる。
 途中、ルーニャ・プラズランは、何やらスレイ・スプレイグとエーデル・アバルトの恥ずかしい会話を聞いたような気もしたが、多分気のせいだろう。そういうことにしておく。
 のんびりと水入らずの時間を過ごしているときだった。
『キシャー』
 メガロブスターだ。いや、カニかもしれないが、多分メガロブスターだろう。
「何か、出たわね」
 ルーニャ・プラズランが、アンチフリーケンシーでメガロブスターの動きを封じる。その間に、きょーちゃんがクレッセントシックルを一閃させてメガロブスターを仕留めた。
 とりあえず、邪魔者は焼いてみることにして、そのまま二人っきりのキャンプを続ける恭司・プラズランこときょーちゃんとルーニャ・プラズランであった。


せやな


 砂原 秋良は、桔梗院桜華と一緒に、密林でゴールデンミズギを探していた。
 まあ、探索と言っても、他の者たちとほとんど同じで、誰かと仲良くそぞろ歩きの方が主目的ではあるのだが。
 それでも、気合いは入っている。
 桔梗院桜華の方は、黒地に紫の和風水着で、左右非対称のトップに花飾りをつけ、ボトムは前に短いパネルを垂らし、後ろは長いリボンを垂らした様なデザインになっている。その上から、水着用の紗の千早風ガウンを羽織っていた。
 バルツァーズクパーリニクのブランド水着を着た砂原秋良は、細い紐のホルターネックでオフショルダービキニのパネルを支えるというデザインの白いワンピース水着だ。スカートもついており、水着であって普通のワンピース姿にも見えるデザイナーズ物の逸品であった。リュミドラ・カラシニコワが着ている物と同じ水着である。ただ、フル装備のサマーアドベンチャーつきだ。
 おかげで、素晴らしいデザイナーズ水着の上にいろいろオプションのついた浮き輪を持ち、頭には水中ゴーグルを斜に被り、背中には釣り竿を持っている。ここまで来ると開き直れるというもので、ついでにアザゼルを憑依させたブラッディアンブレラもさしていた。
 いやはや、個々はいいのだが、すべて揃ってしまうと、なんとも珍妙ではある。だが、そこがいい!
「さあ来い、ゴールデンミズギ!」
 砂原秋良は、自信満々であった。自信があれば、それは、ゴールデンミズギにも伝わるはずである。
 スタイリッシュなのである。
 まあ、その辺は、桔梗院桜華も、ほぼほぼ納得している。ファッションなど、自分がどう思うかなのだ。
『けけけけけ、ゴチャゴチャー! ゴチャゴチャー!』
 突然、けたたましい鳴き声が響いた。
「おいでやす。――秋良はん、イジリチキンどす」
「任せなさい。そういうことを言う口は、その口かあ!」
 桔梗院桜華に言われて、砂原秋良がブラッディアンブレラの仕込み刀をヒュンと抜き放つ。
 スパーンと、イジリチキンの首が飛んだ。
 あっけないものである。残った死体は、アザゼルがありがたくどこかに隠してしまった。まあ、捌くにしても、ビーチに戻ってからのことだろう。
「なんか、光りましたあ?」
 木々の間に、光る物を見た気がして、桔梗院桜華が言った。イジリチキンとは、別物のようだ。
 すぐに索敵用HUDゴーグルで確認した砂原秋良だったが、すでにどこかへ移動した後のようであった。
「うん、やっぱり、私たちの美しさに寄ってきたんですよ」
「せやな。なら、見つかるか分からんけど、も少し、探してみましょ」
 ゴールデンミズギに目立つようにと、時折しゃなりとしたりシャキーンとポーズを交えながら、砂原秋良と桔梗院桜華は密林の中を楽しそうに探索していった。


イジリ倒し


 スクール水着を着たエリカ・クラウンハートは、密林に入ってモンスター退治をしていた。
 茂みに隠れているメガロブスターを発見すると、華麗なるガン捌きでDG-6水陸両用拳銃から発したガンマレイで仕留めていく。
 金色は、結構おしゃれな色、あるいは、ゴージャスな色と言える。ゴールデンミズギ、いいではないか。
 けれども、ゴールデンミズギがあるという密林には、危険なモンスターが多数潜んでいるらしい。
 もし、そういうモンスターたちにゴールデンミズギが見つかって、ボロボロにされたりしたら許せない。
 ここは、モンスターたちをすべて駆除して、ゴールデンミズギを守る必要があるとエリカ・クラウンハートは考えたのだった。
 それに、たとえスクール水着であってもゴッドプロデュースを施したエリカ・クラウンハートのプロポーションであれば、ゴールデンミズギは間違いなく認めてくれると信じていた。ならば、自分を信じてくれるゴールデンミズギはなんとしても守らなければならない。
『あおはるか?』
 出た、イジリチキンだ。
「ふっ、顔面国宝であるこの私には、どんなイジリも通用しない!
 マインドシェルでイジリチキンのイジリを跳ね返すと、エリカ・クラウンハートがDG-6水陸両用拳銃をイジリチキンにむけた。
 銃声一発、ガンマレイで額を撃ち抜かれたイジリチキンがどうっと倒れる。いや、嘘です。そんなに重くないので、パタッと軽くあっけなく倒れた。
 そのとき、キラリと何かが光った。
 メガロブスターだ。だが、金色っぽくも見える。亜種だろうか。
「モンスターは、殲滅よー!!」
 もちろん、後を追跡していくエリカ・クラウンハートであった。

教導官


「で、あたしを呼んだ理由は?」
 霊兵装で軽く宙に浮きながら、ペシュカ(Pe-2)が、黄泉ヶ丘 蔵人に訊ねた。
「ペシュカが一番水着が似合うからに決まっているだろう!」
 自信を持って黄泉ヶ丘蔵人が答えた。
「なに当たり前のこと言ってんの」
 ふっと、ペシュカが薄い笑みを浮かべる。
「やはり、“ライジングプロスベリティ”陣営を取り纏める、頼れるリーダー、空では他の追随を許さぬ最強の飛姫! ジャングルの中でも光って見える!」
 黄泉ヶ丘蔵人が、ペシュカを褒め称える。
「まあ~、兵器として目立っちゃうのは不本意だけど~(大嘘)、この美貌が衆目を集めちゃうのは、仕方ないわよね~」
 ふふんと、ペシュカが自尊心をもたげてみせた。
「そうだ。だからこそ、貴様の玉の肌に傷をつけるわけにはいかん!」
 そう言うと、黄泉ヶ丘蔵人が霊兵装を展開し、メイフライキャノンで密林の邪魔な木々や茂みを氷らせて吹き飛ばした。
「飛ぶのもいいが、密林の探索では、地を歩いた方がゴールデンミズギを見つけられるというものだ。何よりも、バカンスに来たのであるから、楽しむこともまた作戦行動である」
「ふーん、そうなの?」
 空と陸とで担当は違うが、曲がりなりにも教導官の言葉だ。その言葉を信じたペシュカが霊兵装を解いて地面に降り立った。おかげで、身体にぴったりとしたレオタードが顕わになる。
「その、翠色の水着も美しい。まさに、ゴールデンミズギが憧れる美しさに相違ない」
 やんやと、黄泉ヶ丘蔵人が褒めちぎる。
「その美貌、可憐さは光も闇も虜にする。それは、水中でも、なんら減じるものではない。まして、ここ陸でも最高にかわいいペシュカちゃん」
 いかん、最後に黄泉ヶ丘蔵人の心の声がだだ漏れた。まあ、すべて本心から言っていることなので、黄泉ヶ丘蔵人にとっては言葉を飾ることにてらいはない。
 そして気分を良くしたペシュカが、まあまあまんざらでもないどや顔をしながら地面に降りる。――すると。
『はっはっはー、地面を歩く鳥など、チキンと同……』
 突如、イジリチキンが現れたが、その口に黄泉ヶ丘蔵人のフレシェット弾が打ち込まれ、遙か遠くへと吹き飛ばされていった。
「その口、万死に値する……。さあ、楽しく散歩でもしよう。何よりも、貴様が楽しむことが重要だ。何がしたいかな?」
 黄泉ヶ丘蔵人は、そうペシュカに訊ねるのだった。


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