■プロローグ■
「青い空、広がる水平線。肌に感じる風。
こうやって見て、感じていれば、世界は確かにここにあるのだと感じるでしょう」
南区画の最も高いビルの屋上から、少女は“世界”を見回した。
ブルーガーデン。最先端の技術が集い、活気に満ち溢れた明るい未来を感じさせる都市。
気の合う友人と語らう変わらぬ日常。
「……すべては偽り。この世界に本物など、ありはしない。
今、ここにいる私さえも」
「ナユタ」
声を掛けられ、
ナユタは振り返った。
友人の
コウが呆れたようにナユタを見つめている。
「またこんなところで黄昏てんのか。最近、よくここにいるよな」
「ええ。色々と考えることも多いものですからね」
「……本当に、報告しなくていいのか?」
この偽りの世界に生じたかすかなノイズ。
ナユタはそれを歓迎していた。
“上”の狙いや思惑は関係ない。ただ純粋に……繰り返される日常を壊してくれると思うから。
「まだその時ではありません。ですが……少々見てみましょうか。あの方々を」
■目次■
プロローグ・目次
【1】ブルーガーデンの調査 中心部付近
【1】ブルーガーデンの調査 北の大区画へ(1)
【1】ブルーガーデンの調査 北の大区画へ(2)
【1】ブルーガーデンの調査 北の大区画へ(3)
【1】ブルーガーデンの調査 東の大区画へ
【1】ブルーガーデンの調査 南の大区画へ(1)
【1】ブルーガーデンの調査 南の大区画へ(2)
【1】ブルーガーデンの調査 西の大区画へ(1)
【1】ブルーガーデンの調査 西の大区画へ(2)
【2】青い世界の戦場で
【2】悪を討つために
【2】青い景色に何を見る
エピローグ