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色の追想

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色の追想
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■プロローグ■



「色の均衡を取り戻す方法は一つ。私たちが竜神様から力を継承し、この世界の一部となる。
 そして“天(そら)”の巫女である君が、それを支えるんだ」

 後に『竜の黄昏』と呼ばれる事となる、竜の時代の終焉。
 六色を司る竜神に見初められた巫女たちは、ある場所に集っていた。

「あたしたち人族は、竜族のような魔力の塊じゃない。
 りーさん。世界の一部になるっていう意味、分かって言ってるよね?」
「もちろん。人としての私たちは死に、元素の中に融けることになる。
 でもそれは、私たちの精神が消えるということじゃないよ」

 巫女の一人、“深緑”のリーシアが言った。

「私たちの意思が、この世界を守る礎となる。
 誰からも認識されず、誰にも働きかけることはできないが、それでも私たちの意思から生じた子たちが、元素の申し子となる」
「それに、すぐに消えるというわけではないのでしょう。
 リーシア、完全に元素に融けるまでには猶予がある、そうよね?」
「そうだよ、フー。個人差はあるが、残される者に伝えたいことを伝えるだけの時間はあるはず」

 “黄土の母”と謳われ、慈愛と豊穣の巫女と名高いフルーウァが、それを聞いて安心したように笑みを浮かべた。

「クロ、君は何かあるかい?」
「いや、特にない。私がいなくなっても、影響は出ないようにしてある。
 私なんかより、一番の重荷を背負う事になる者に聞いておくのがよいのではないか?」
「それはそうなんだが、ルーのあの顔。何言ってんの、私に任せて下さいよ、っていう自信に満ち溢れている」
「……ああ、そういえばそういう奴だったな」

* * *


 “極黒の魔女”アクロノヴァは幼いフルーウァの姿を見て、昔の事を思い出していた。

(あの図太いフルーウァに、こんな頃があったとは……。同一の過去ではないだろうが、分からないものだな)
「…………」

 フルーウァが怯え、目を逸らした。怪しく笑っているように見えたのだろう。
 
「そう怯えるな。お主は強い。いずれは竜王を尻に敷くようになるさ」



■目次■


プロローグ・目次

【1】地竜との闘い1
【1】地竜との闘い2
【1】地竜との闘い3
【1】地竜との闘い4

【2】飛ばされてきた世界で
【2】その心を開くために
【2】人と竜、繋がる絆

【3】集落を目指して
【3】疑念と綴られる真実

エピローグ

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