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アバターリミット2022

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アバターリミット2022
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【2】仲間と限界へ挑む―2
 
 RWOクラン『ハーヴェスト』の面々は戦闘開始前に円陣を組んでいた。
「今回のハーヴェストはー! 新しい色を収穫しに行くさー! あたしら3人だけじゃなくここに集まれなかった仲間達の為にハーヴェストの『色』を掴みに行くさ! 行くよハーヴェストー! うー……うぇーい♪」
 ハーヴェストエンブレムを掲げておいのりエールで檄を飛ばすベルベット(リズ・ロビィ)。仲間達も一斉に腕を上げ、一致団結して強敵へ挑む。
 現れたのは八大竜王ヴリトラの複製。指揮役のベルベットが素早く指示を飛ばす。
「散開して回避! ブレスが来るさー!」
 立ち上がり、上半身を逸らしていたヴリトラが盛大に炎を吐き出してくる。散らばって回避したハーヴェストの面々は、ブレスが止むと同時に攻撃を開始する。
「僕が相手すぁー!」
 スアマ(天津 恭司)がヴリトラの正面に立ち、体内から制奢の聖剣Sの切っ先を突き出して全身を捻り、アフターブレイブスラッシュを放つ。
 羽ばたき一つで浮かび上がったヴリトラは剣の一閃を飛び越え、そのまま急降下してスアマを踏み潰しにかかる。
「当たらないすぁ!」
 スアマはコの字型に変形して回避。即座に剣で反撃する。
 横合いからミシェル(ミシェル・キサラギ)がジグザグに移動しながらヴリトラへ接近する。接近しながら累刀ニムプニタイの一本を投擲。小刀はヴリトラの脇を通り過ぎ、その背後の地面に突き刺さる。
「神酒の精霊よ、私に力をっ……!」
 身体の向きを変えると同時に小刀の能力を使用。ミシェルは急旋回、急加速してヴリトラの脇を通り過ぎ、地面へ突き刺さった小刀の下へ移動する。即座に振り向きながら小刀を回収し、双剣聖の特技である二刀を使った光と闇の連撃を叩き込む。
 ヴリトラが前屈みの姿勢になる。ミシェルの攻撃で怯んだのかと思われたが、すぐに身体をうねらせながら顔を上げ、咆哮した。周囲の空気が急激に乾燥し、ヴリトラが翼を羽ばたかせると炎の旋風が巻き起こり、ミシェル達へ襲い掛かる。
「わわっ、熱い熱い!」
 空を飛んでいたリフィア(フィア・ヒーター)は急に発生した炎の旋風に気流を乱され、空中で必死にバランスを取る。離れていても肌がチリつく程の熱が感じられる。流されて渦の中に飛び込もうものなら一瞬で焼き尽くされてしまうだろう。
 ダイレクトニューロリンクで加速した思考で四枚の羽を動かし、安全な場所までどうにか移動する。風にあおられつつもヘカトンケイルシステムver2を使い、最大の12基を展開する。
「お返しだよー!」
 一斉射撃で頭、特に目や鼻の部分を狙う。目元に砲撃が命中したヴリトラは空中のリフィアを睨みつけ、炎を吐き出して反撃してきた。リフィアは素早く飛行して炎を避け、移動先で再び砲撃を行う。
 地上では火傷を負ったミシェルが一旦下がっており、スアマが一人で前線を張っていた。ゴールドブレスで気を引きつつ、スライムの軟体を生かしたチャンプムーブで近接攻撃を避けている。
「行きますよ、ビッグバンヒール!」
 後衛のハルカゼ(メリーナ・ブリーゼ )が全体回復魔法を使用する。ミシェルの傷が癒え、他の仲間達も高温の空気で消耗していた体力が回復する。
 傷の癒えたミシェルが前線に戻りもう一度スアマと二人で攻め立てる。先程の様に不規則に移動して軌道を読みづらくし、小刀をヴリトラの背後へ投げる。すぐにそちらへ飛翔するが、着地点を薙ぎ払うようにヴリトラの尻尾が襲い掛かってきた。太く強靭な尻尾が叩きつけられ、ミシェルは遠くまで吹っ飛ばされる。
「任せて、ビッグバンヒール!」
 リフィアが回復魔法を使うが、ミシェルは起き上がらない。ベルベットが叫んだ。
「ハルカゼ、蘇生を頼むさー!」
「了解です!」
 ハルカゼがアスクレピオスの杖を使ってミシェルを蘇生する。だがそうしている内に、今度はスアマがヴリトラの爪に切り裂かれてダウンした。再び杖を使って蘇生しようとするハルカゼだったが、またもヴリトラが咆哮し炎の旋風を発生させる。蘇生は間に合ったものの、ショートシフターを使った回避では迫ってくる炎の範囲外に逃れられず、高温の風に吹き飛ばされてしまう。
「きゃあっ!」
 吹き飛んだハルカゼは地面を転がっていき、そのまま動かなくなる。
「ビッグバンヒール!」
 リフィアが回復を試みる。しかしハルカゼは起き上がらない。一撃でHPを全て持って行かれたようだ。
 ヒーラーが先にやられてしまい、戦況としてはかなり厳しい。だが、ベルベットは諦めない。
「まだやれるさー! あたしらの後ろには仲間がいるんだからここでカッコつけるさー!!」
 激励し、皆へ指示を飛ばす。指示を受け、アバターオートノマスで小さなスアマを生み出したリフィアがメテオストライクの詠唱を開始。ミシェルはフェイントでクナイを投げ、飛翔すると見せかけて秘密の薔薇園を使う。
「私の想いと力、貴方に託すわ……!」
 全身の薔薇を引きちぎるヴリトラを横目に、ミシェルはアバターエコーで自身のエネルギーをスアマに託す。
「行くすぁー!!」
 スアマが空高く飛び上がる。
 金色に光り輝くスアマが流星の様に落下し、その後に続くように二つの隕石が落ちてくる。
 ヴリトラは翼を羽ばたかせて飛翔する。スアマが地面に激突し、一拍遅れて隕石も墜落して巨大な衝撃波が周囲に広がっていく。直撃こそ避けられたものの、強烈な熱と衝撃波がヴリトラに襲い掛かる。
 大きなダメージは与えられた。だが、倒すには至らない。
 ハルカゼが戦闘不能、スアマも攻撃の反動で動けなくなっている。残る三人ではヴリトラ相手にそう長くは持たず、一人また一人とやられていき、やがて全滅しシミュレーターによる戦闘は中断された。
 
 
 
 幾嶋 衛司ブリギット・ヨハンソンの視線の先には山のような巨体の蛇……ヨルムンガンドの姿があった。
 元が大きすぎる為か、シミュレーション空間に再現された姿は実物よりも一回り小さい。だがそれでもとてつもない質量を持っており、身動ぎするだけで岩や地面が巻き上げられ、空にいる衛司達へ飛んでくる。
 SSブリギット号の小回りの良さを生かし、衛司は飛んでくる岩や土の塊をしっかり回避しながらヨルムンガンドの動きを観察する。地面を跳ね上げる攻撃以外をしてくる様子は無く、衛司は機体を転進させ攻撃を開始する。
 敵の巨体目掛けて直進し、機体の翼に真空の刃を纏わせてすれ違いざまに斬りつける。
「硬いな……!」
 ヨルムンガンドの表皮は異様に硬く、傷がついた様子はない。再び転進して別の部位を斬りつけてみるが、やはりダメージを与えられている様子は無かった。
「本物の弱点は確か……」
 ブリギットが弱点を思い出すより先に、衛司が放った何度目かのホープラインがヨルムンガンドの額に命中。ヨルムンガンドは巨体をくねらせ、のたうち回る。
「効いてる!」
「よし!」
 弱点を発見し喜んだのもつかの間、首をもたげたヨルムンガンドが衛司へ向けてがぱりと口を開いた。
 吐き出されたのは猛毒のブレス。まずいと判断した衛司は切り札のインフィニティゾーンを切る。極限の集中状態に入った衛司の目にはゆっくりと広がっていく毒の霧が自身を包み込もうとする様がしっかりと見えていた。
 最短距離で毒霧の範囲から逃れられる線を見つけ出し、即座に回避行動を取る。急旋回した機体の背後を猛毒のブレスが通り過ぎて行った。
「インフィニティゾーンはもう使えない……やるしかないか」
 衛司はブリギットに合図を送り、ウィンドブラストでフィンブルヴェトを射出する。槍の着弾と同時に冷気を含んだ突風が吹き荒ぶ。敵の動きを止めるまでの効果はなかったが、意識を自分に向けさせることには成功した。即座にガンドブースターでその場を離脱。ブレスを回避しつつ敵から大きく距離を取る。
 一方、ブリギットはヨルムンガンドの頭の上へ移動していた。錐揉み旋転しながら急降下し、一瞬で敵へ肉薄する。
「これが、あたしたちが出せる全力よ!」
 魔剣グラムを構え、落下の勢いを乗せた渾身のラグナロクブレイクを放つ。巨大な大剣の刃が光り輝き、ヨルムンガンドの弱点でもある額を一閃する。
 巨体に特攻のある魔剣グラムでの一撃は、ヨルムンガンドには効果的だったようだ。一瞬怯んだ様子を見せた後、大きな体をうねらせ暴れ始める。
「効いてる……けど、一撃じゃ倒しきれなかったみたいね」
 ブリギットは暴れるヨルムンガンドが飛ばしてくる岩や地面の欠片の隙間を縫って距離を取る。その背中向けて、ヨルムンガンドが猛毒のブレスを吐き出した。ブリギットは魔剣グラムを盾代わりに構え、刀身に宿る魔除けの力で毒を防ぐ。
 だが、騎乗しているグランブルムヴァイスの方が毒を受けてしまった。これでは機動力が大幅に落ちる。衛司も既に回避時の切り札であったインフィニティゾーンを使用しており後がない。二人はこれ以上の挑戦を諦め、外にいる職員へシミュレーションの終了を宣言した。
 
 
 
 シミュレーション空間にフェイル・ルイナーの複製が現れる。
 封印後の弱体化された状態での再現であり、実物とは強さも能力も異なるが、決して侮れる相手ではない。

 最初に挑むのはコトミヤ・フォーゼルランドソッソルト・モードックだ。
「王様には苦労を掛けて申し訳ないな」
 コトミヤは四臂化で腕を増やし、般若赤面を身体の内に取り込む。さらにケレリス&黄道の軽鎧を分離変形。全身鎧として自身が装着し、計六つの腕でルイナーに挑む。
「今更ね。対価は勝利以外許さないわよ、臣下!」
 ソッソルトはフォーフォールドで武器を四つに増殖。加えて、倚天青紅でパートナーとの繋がりや偉能力を極限まで強化。互いの技の共有、共鳴で連携力を上げて両者の戦闘力を強化する。
 初動はソッソルトが銃撃を仕掛ける。火属性の銃弾を命中させ、特に有効でないと判断しエレメントクロージャーで地と水属性に変化させる。
 その間にコトミヤは距離を詰める。共有したフォーフォールド、エレメントクロージャーで四本に増やした太刀を四つの腕で持ち、光と風の属性を付与してルイナーへ斬りかかる。
 巨人のような姿をしたルイナーは、その大きな腕を振り上げた。腕全体が突風を纏っており、嫌な感覚がしたコトミヤは鎧のスラスターを逆噴射し、急ブレーキをかける。
 ルイナーの腕が振るわれ、その軌道に合わせて巨大な風の刃が発射される。それはコトミヤの前方の地面へ直撃し、地面に深い亀裂を作った。
 コトミヤは鎧のマシンガンを撃ちながらソハヤノツルギを投擲する。火の鳥へと変化した刃はルイナーの足元に纏わりつき、その表皮を焦がす。煩わしそうに振り上げられた脚に踏みつぶされる前に手元へ戻し、振り下ろされた脚にしがみついて太刀の一本を突き立てる。そのまま複腕を使って四本の刀を交互に突き立て、ルイナーの巨体を登っていく。
 死角へ潜り込んだコトミヤに代わりソッソルトがルイナーの脚を狙って攻撃。機動力低下を狙う。四つの銃に加えライトニング・タイで生成した雷弓も使用して感電を狙っていると、ふいにルイナーが動きを止めた。状態異常が効いたのかと思ったが、すぐにそうでないと分かる。周囲の気温が急激に上昇したからだ。ルイナーに近い程温度が高く、巨体に取りついていたコトミヤは高熱から逃げるように一度距離を取る。
 そちらに気を取られていたソッソルトの頭上にふいに影がかかった。上空に開いた状態の門が出現しており、そこから巨大な槍が飛び出してくる。
 すぐさま光臨の盾鎧の力を解放する。避けきれなかった槍が身体の側面を掠める。攻撃能力を代償に防御力を強化した鎧は、しかし槍を一切防ぐことができず片腕に大きな傷を負う。
「大丈夫か!?」
 ソッソルトの隣まで下がったコトミヤが楽土幻想Ⅱでその傷を癒す。
「防御を無視した攻撃とはね……流石に想定外よ。けど、もう大丈夫」
 ルイナーが腕を振り、風の刃を放ってくる。動ける程度に回復したソッソルトはコトミヤと共に後ろへ下がって回避。二人は攻撃を再開する。
 未だ周囲は高温に包まれている。あまり時間をかけてはいられない。門の攻撃をスラスターを噴かせて避け、コトミヤは傷を負っているルイナーの片脚に取り付く。
「フッ!!」
 全身を焼く高熱に耐えながら四つの刀を逆手で握りしめ、すべての拳を使って阿修羅拳を放つ。強烈な殴打と共に切り刻まれ、ダメージの蓄積していた脚が砕けルイナーは前のめりに倒れる。
 低くなった頭へソッソルトが銃撃。僅かに怯んだ動きを見逃さず、コトミヤへ叫ぶ。
「もう一撃は頭へ!!」
 コトミヤは跳躍し、ルイナーの頭の真横へ。払いのけようとする腕をソッソルトが一斉射撃を放って動きを止める。
 すべての腕を振り上げるコトミヤ。身体への負荷が大きく、本来なら一度しか使えない阿修羅拳。だが、古の鬼神は六本の腕を持ち、阿修羅拳を何度も放っていたと言う。それならば、今の自分ならもう一撃くらい放つ事もできる筈だ。
「ハァァッ!!」
 疲労を訴える身体に鞭打ち、再びの阿修羅拳を放つ。ソハヤノツルギの力も解放し、相手の防御力を無視した一撃。ルイナーの頭が粉砕され、衝撃で横にバランスを崩しながらその身体が消滅していく。
 シミュレーションが解かれ、風景が元に戻る。高温の中を動き回ったコトミヤは二度の阿修羅拳による疲労も加わり、その場に倒れる。駆け寄ったソッソルトの「お疲れ様」の一言を聞きながら、そのまま意識を失った。
 


 続けて、桐ヶ谷 遥ロワ・エレマンがフェイル・ルイナーに挑む。
 シンセシスで結漿の外套を取り込んだ遥はロワと同調する。リアライズ・グロウで栄具を取り込んだロワは刀の姿となり、イモータリティグレイルの中に納まった。
 シミュレーターが起動し、前方にルイナーが現れる。遥は刀を鞘に納めたまま駆け出した。ルイナーが腕を振るい、風の刃を放ってくる。ロワが配者の慚愧に魔力を注ぎ、遥の動体視力を強化。遥は風の刃の軌道を見切り、着弾点を避けて移動する。
 ルイナーの足元まで移動した遥は鞘から刀を引き抜き、偉能力で強化された抜刀の一撃を放つ。即座に刃を納め、蹴り上げられた脚を避ける。そのままもう片方の脚まで移動し再び抜刀術で一撃を入れる。
 ルイナーが顔を下に向け、口から炎を吐き出す。遥は不動のシールドを展開して構えるが、即座にシールドが破壊され熱がその身を襲った。
「くっ……!」
 下がりながら黒耀の戦装束と鞘の力で火傷を癒す。ルイナーの吐き出した炎の一部が分離し、獅子の姿を取って迫っていた。一気に距離を詰め、牙をむいて飛び掛かってくる。
 神気解放の効果もあり、高い治癒能力を手にしていた遥の傷は既に癒えていた。迫りくる炎の獅子達を刀で斬り捨てながら、遥は再びルイナーへ接近する。
 ルイナーが低く轟く声を上げる。前方上空に門が出現し、中から槍が飛び出してきた。
(恐らく防御は無意味だ。しっかり避けろよ)
「ええ、そのつもりよ」
 防具には頼らず、高い動体視力と身体能力で槍の動きを見切り寸での所で躱していく。槍が地面に突き刺さり、地響きと共に大きく床が抉られる。時折掠りはするが、重傷でさえなければすぐに傷は治癒していく。多少の被弾は覚悟の上で遥は刃を振るい続けた。
 槍や炎を避けながら何度も斬撃を与えていくと、脚のダメージが限界にきたルイナーがついに膝をついた。
 すかさず地面についた腕や伏せた頭へ攻撃を仕掛ける。頭へ攻撃する瞬間、ルイナーが腕を振って風の刃を放ってきた。それは一見純粋な攻撃動作にも見えるが、結漿の外套を取り込んで相手の機微に敏感になっていた遥には、頭への攻撃を嫌っての行動だと見て取れた。
「ここね」
 遥は刀を抜いて構える。吐き出された炎を潜り抜ける間に、ロウが原典回帰を行い革命の旗の力を解放して遥の偉能力を大きく強化する。
 敵の腕を蹴り、遥は大きく跳躍して刀を振り下ろす。放つのは、レゾ・トーカーの力を借りて最大限に強化したノーボーダーの一撃。防ごうと振り上げられた拳を刃がすり抜け、ルイナーの首元へ深く刃が突き刺さる。
 刃が食い込むと同時に傷口と遥自身が爆発を起こした。憤怒の爆発による攻撃と反動だ。爆発により遥は後方へ吹き飛ばされ、一方のルイナーは半ばまで斬られていた首が爆発によってさらに抉れ、千切れて地面に落ちる。
 首を落とされたルイナーは消滅し、吹き飛んで地面を転がった遥が身を起こす頃には、周囲の景色も元の殺風景な空間に戻っていた。
(よくやったな、サムライガール)
 立ち上がった遥へロワが賞賛の言葉をかける。無事目的を達成できたのだと実感し、遥はふっと安堵の笑みを浮かべた。

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