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アバターリミット2022

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アバターリミット2022
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【自分という強敵3】


 ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐く。深呼吸をして心を落ち着かせる乙町 空
 超えなくてはいけない自分は、自分にとって『正道』唯一素の状態に落とし込めている「ナイツオブアポカリプス」だ。
 勝負服の楯無高校制服を着てこれに挑む。
「――行きます!
 黒涙号にまたがり双召現で召現した2槍を構え。空は人騎一体――騎馬でありながらその2本の槍を十全に操り、コピーへと挑む。
 鶴翼の構えで相手の攻撃に備え、それでいてカウンターを狙っているという意識をさせる。もちろんそれは相手も同じ。目の前で戦っている相手は自分なのだ。
 空はこれで勝てる相手だとは思っていない。この基本戦術に加えて1つだけ違う事。それは以前危険だと判断し封印していた黙示録の体現の使用だ。
 鈿女を直接自分に召現させるもの――その力は強力だが、それ故に下手をすると自我を失ってしまう可能性がある。
 しかし、これを使いこなせなければこの試練は乗り越えられない。
 黙示録の体現を発動させ、その服装は漆黒に染まる。力が沸き上がる感覚がするが――。
「くっ……!」
 蝕まれる感覚もある。一気に決めなければ危険だ。
 最高のパフォーマンスである自分のコピーに押されていた空だったが、その力で押し返していく。そして、その“漆黒の騎士”が勝利した。
 もちろん危険な力ではある。しかし以前ほどの危険性を感じる事がなかった。それは今までの自分を超えた事に他ならないのであった。

「――よし!」
 拳をぎゅっと数回握って気合を入れるクロノス・リシリア
 今回この戦いへと赴いたのには理由がある。それは戦いが激化する中で更に強くなる事。もちろん、それはこの戦いに挑んでいる全てがそうだろう。
 クロノスはその中でもマーセナリー――傭兵としての本質に挑もうとしている。
 レイヤーオブアバターズを使って自分自身の能力を上昇させる。
 剣を振り下ろし、それを防がれる。弾かれた後に横に払ってくる攻撃をしゃがんで回避。そこからクロノスが斬り上げ――。
 様子見から始まったこの戦い。ウェポンスワイプでその攻撃の中断を狙う。しかし、剣を振り下ろした瞬間に攻撃を察したコピーはfeather bootsの爆風を使って跳躍する。
「ここで……!?」
 クロノスもfeather bootsで攻撃の起点を作ろうと考えていた。しかし、コピーは回避と同時に使うことで相手の隙を作っる。そして、後方へと着地した“自分”は再度feather bootsの爆風から今度は距離を詰めてきた。
「避けられない……!」
 ガントレットでどうにかそれを防ぐが、そのままクロノスはクインタプルスラッシュで決められてしまった。
 まだ別角度から使える力があるのだと彼女は知るが、この勝負は負けに終わる。

 地球人と自分の可能性を見付けるために、その自分自身との戦いに挑む飛鷹 シン
「……行くか」
 AAマグナムを握り、AAガントレットを付けた彼は隙を作らない立ち回りのトライアルアーツを使ったいつもの戦法を考えている。
 制圧するための戦い方であり、急所を外すような攻撃をしているが――相手はどうなのか。
 中距離の発砲からそれぞれ間合いを詰めていく。ガントレットの殴りから、それを避けて銃撃。しかし、ガントレットはそれほど防御力がないため過信は出来ない。
 狙うのは最大火力。それを撃ち込んで動けなくさせる事だ。そしてこれは、お互いが消耗した時の切り札となる。それは相手も同じだろう。
(流石に相手の方が上だな……分が悪い)
 自分であっても相手は100%のパフォーマンスを持つ自分だ。攻められているのはシンの方だった。ゆっくりではあるが対応出来なくなっていることに気付く。
 しかし、それはチャンスでもあった。ぐっと力を入れたコピーは叛逆の執念を持ち、間合いを詰めると竜族をも殺す一撃をシンへと放った。彼はこれを狙っていた。
 カヴァーチャによって1度だけどんな攻撃でも無力化出来る為、それで防ぐ。今度はお返しにと叛逆の執念から滅竜撃へと繋げた。が、コピーはそれを同じくカヴァーチャで防ぐ。
 叛逆の執念で動けなくなった2人のシン。だが先に倒れ込んだのはオリジナルのシン。ここまでの消耗の差がこの決着を生んだのだった。

「コピーのぼくはどこまでさんぜんねこであれるでしょうか」
 目の前にいる丸っきり自分と同じ姿をしている古井戸 綱七が、彼を見ながらそう言う。
 鉄骨のようなものを持った綱七は横に寝かせるように両手で持って構え、ゆらゆら揺れながら近づく。目の前の彼もまたゆらゆら近づいてくる。
 作戦は単純だ。正面からの殴り合い。
 綱七が武器を振り下ろせば、コピーはそれをアームディフェンスで防ぎ、弾く。そして、コピーが殴りかかってくれば綱七は派手に跳ね飛ばされ六点着地でそのダメージを防ぐ。
「戦うと言うよりもじゃれあってるみたいですね」
 相手の方が強いため余裕なんていうものはない。しかし、綱七はさんぜんねこ同士の戦いはそう見えるのだろうと少し笑ってしまう。
 この殴り合いはいつまでも続くものではない。お互いにダメージは受けているが、やはり綱七の方が蓄積量が多いことが分かる。
「ぼくになろうとしてくれてありがとう」
 そう言うと綱七はハラキリキーを握ると、感謝を込めて猫球を放つ。それに合わせてコピーも放ってくるが、その勝負は――100%の自分であるコピーに軍配が上がる。
「負けちゃいましたが、何だかおかしい戦い……でした」
 再びそう笑う綱七だった。

 夏輝・リドホルムは自分自身の装備などを確認する。そして思うことがあった。
 強力な技や装備に頼りすぎているのではないか、と。
 今回サルバトーレの自分を超えるために戦う夏輝は開始と同時にレイヤーオブアバターズを発動させる。そして一気に距離を詰めてくる。
 能力上昇は基本なため、コピーもまた同じく使って間合いを詰めてきた。無理に攻撃をすれば反撃を受ける可能性があるため、まずは相手が攻撃してきた時にぐろりあす☆フィンガーの拳を召喚し防ぐ。
 そこから手数と速さで牽制をしつつ距離を再び空けると、中距離での戦いを選んだ。しかし、コピーはファンタズマを利用して離してはくれない。それに夏輝も後出しをする形で同じくファンタズマで速度強化をするのだが、バトルサポートユニットの性能を100%発揮しているコピーのほうが効率よく動けているため、追い込まれる。
 戦いは拮抗するだろうと考えていた夏輝であったが、それは少し予想外の結果となる。相手が格上過ぎるわけではないが、時間が経てば経つほど追い込まれて行くのは自分だ。
「一気にやるしかないか……!」
 夏輝は底力からスピリットオブガッツで攻撃を受けても立ち上がる。その不屈の闘志がヒーロー足るサルバトーレ。しかしそれはコピーも同じだ。
 拳の応酬により最初に倒れたのは夏輝本人だった。相手は自分――そこにいるのはきっと考えうる最高の自分なのだろう――。

 藤原 経衡が乗るメーヴェASPの正面には同じくメーヴェASPがいる。そこに乗っているのは“自分”だ。
 こうして1対1での戦いを挑んだのは、そんな孤独の挑戦は不得手であり、それを超えなくてはいけないと考えていたからだ。
 プラズマブレードでの高速戦が始まり、アシストユニット3.0によって操作性が上がっているため相手の攻撃にも対応していく。
 斬りつけられた所には経衝の残像が残る。そして、回避した先の死角から斬りつけるが、そこには相手の回避の後――残像が残っていた。
 この反応速度はお互いにリンケージにてリミッター解除をする事で反応速度が急上昇しているから出来る事。
 クレアボヤンスにて状況を予測しているが、それは相手も同じなため決定打を与えられずにいた。消耗が激しいこの戦いで長期戦は望ましくはない。
 しかし、決定打のないまま数分が経ってしまいお互いにリンケージのタイムリミットとなってしまった。
 激しい戦いではあったが倒しきれない。それだけではなく、地力がコピーの方が上のため、経衝の方が動けない状態だ。
 誰かと助けるためにはいつもの戦い方でよいのかもしれない。しかし、1対1で強敵と戦う場合には何かを変える必要があるのかもしれない。

 AAガントレットをぎゅっとしっかりつけなおし風間 瑛心が前へと進む。そして、相対するは自分自身。
 超えるのは地球人としての自分。大きく息を吸って武術経験での構えを取り、すっとすり足で間合いを詰めた。
 コピー瑛心もまたゆっくりと近づいてくると、手刀で肩を狙う。それを体を90度捻る事で回避をすると、今度は貫き手で瑛心がコピーの鳩尾を攻撃する。
 打撃での攻撃。そして、それを受け流して攻撃を狙う。これは瑛心の戦い方であり、コピーも同じ戦術となっている。
「…………」
 相手は自分が最高のパフォーマンスだった場合の状態で戦っている。そのため、受け流す際はすべてのダメージを防ぐことは出来ない。しかし、カウンターであればその攻撃力を相手に返すことが出来る。
 ただ、これは相手も同じであり2人の瑛心は攻撃を何度受けても膝をつくことなく真正面から戦い続けた。
 そして、拮抗を崩したのはオリジナルの瑛心だった。相手の攻撃を強く受け流し体勢を崩したところから、強力なカウンターを放つ「羅睺 極」。相手は格上であり、強力な一撃を与えることが出来るだろう。
 が、しかしコピーはそれをその精神力で耐えてしまう。逆にその攻撃力をカウンターとして放たれてしまい――瑛心は立ち続けられない程のダメージを受けてしまった。
 装備、特技が同じの自分。ここで勝つためには何か一歩足りなかったようだ。

 佐藤 一は“彼女”の事を想う。想うからこそこの場所で挑戦をしようとしていた。
(俺は――)
 拳を見ながら一はこの戦いに挑んだ理由を思い出しながら進む。
 自分のためではなく、大切な人といるために――自分に打ち勝つ必要があった。
 腐食の力を持ったヴェノムバイトでの攻撃。解毒する方法は持ち合わせているが、食らってしまえば大きく消耗してしまうことは間違いない。
 しかし、相手は最高のパフォーマンスを持った自分。相手もまた不屈の精神と正義の教典によって簡単に倒れてはくれない。もちろん、一自身も簡単に倒れる気はさらさらない。
「さて……」
 一はチャンスを狙っていた。このまま小競り合いをしているだけでは決定打はない。しかも、長期戦になれば能力的に多少劣る自分の方がジリ貧になってしまう。そのため、どこかで逆転の一手を切らなければいけない。
「お前は……あの時の俺なのか?」
 そう聞くが一のオリジナルは答えてはくれない。自分の最高のパフォーマンスを発揮できる時は彼が思うにその時しかなかった。
 だからこそ――。
「来い!」
 そう言うと後方に待機させておいたCCホライゾンが急発進をして猛スピードでこちらに走ってくる。一はこれに乗って戦う――のではなく、どんな手を使ってでも相手を倒すという信条からCCホライゾンを攻撃に使う。
 そのままコピーへと突っ込んでくCCホライゾンを放っておけないコピーは横に避ける事で回避をしたが、すでに一が懐まで入り込んでいた。
「……同じ世界で同じ時を生きたい。それだけだ。彼女の隣にいるのは、お前じゃない!」
 これまで受けた毒を回復させ、勇気の力を集束させていく――アンティポイズンにて強力な一撃を放てる状態にする。
「終わりだっ!」
 強力な一撃をコピーへと放とうとする一だったが、遠くからエンジン音が聞こえてくるのが分かった。コピーもまたこちらへ向けて突撃させてきたのだ。
 このままでは直撃する。しかし、振り下ろせば相手に大ダメージを与えることが出来るだろう。そんな事は決まっていた。
 一はヴェノムバイトを振り下ろしコピーへ叩きつけた。その一撃でコピーは吹き飛ばされ、一もまたCCホライゾンを受けてしまう。
 屈しない彼は立ち上がるが――それはコピーも同じであった。そして、体内の毒素を一気に除去したコピーは強力な一撃を一に食らわせるのだった。
(……自分自身に嫉妬して、バカか。俺は――これはその結果……なのかもしれないな)
 一は立ち上がる事が出来ず、そう思いながら意識が遠のいていくのを感じる。この場に彼女がいなくてよかった――そう彼は思うのだった。

 鞭剣での攻撃をそれぞれ繰り出し、防ぎ防がれの攻防が行われている。碧海 サリバンはその鞭剣――月禍彌刃で相手の防御を掻い潜り攻撃を加えようとしていた。
 しかし、相手の自身のコピーはそれを盾で弾くがダンピール鞭術でサリバンは蹴りを繰り出す。しかし、それを黒妖犬が防ぎ邪魔をする。
「なるほど……そこか」
 黒妖犬がどのように防ぐかを確認した彼は次の段階に進む準備を始める。
 烈血の刀舞・改にて自分の血液が纏っている武器の攻撃を受ければ、中から敵を破壊するため受けるのは好ましくない。だからコピーは攻撃を受けないため、その前に対応する必要がある。
 サリバンは樹垣楯を前に構えるとそのまま突貫をしていく。それに対してコピーは同じく盾で受ける。ここまで近づけばストリーム・オブ・ブラッドの範囲内になるため、サリバンは後ろに体重をかけた――と思いきや月禍彌刃を足を狙って攻撃。転倒を狙う。
 ここまで普通に戦ってきたのは足元の攻撃を意識させないためだ。そして鞭剣が足に――かからず、それは衝撃によって防がれた。
 隙となるはずだった攻撃だったが、防御方法を全て使いサリバンの作戦を挫く。逆に隙が出来てしまったため、そこに攻撃を畳み込まれる結果となる。
 盾で防いだことで黒妖犬が反応しそれを防御し、そこから攻撃に繋がった。攻撃をしたモーションの隙が出来たことで攻撃を受けた形となる。
 冷静にサリバンは考えながら負けを認めるのだった。

 ワンダーテラー。それは“物語(戦い)の流れを制御する者”。ルキナ・クレマティスはその物語を紡ぎ、自分の戦いをして“物語(戦い)を強制終了”させ自分を超えんとしている。
 自分の世界を展開させた彼女は自身の魔力を強化させた。きっとコピーも同じ世界を見ていることだろう。
 オーバーザレインボーを使うことで上下左右、様々な足場を作っておく。こうする事で移動の予測を出来なくさせるのだ。しかし、彼女の頭にはどのように移動するかすでに順番を決めている。
 準備が整った瞬間に黒茨の盾を使って牽制。コピーもこちらの動きを妖精の眼で見ているだろう。
 ルキナの最大火力を持つ攻撃はスーパーノヴァだ。全力をネバーランズ・ベレーで即時に放つ。これを受ければ相手は戦闘不能――もしくは死に至るだろう。
 コピーの隙を狙いたいが――。
「隙が出来ません……!」
 力では負けているオリジナルのルキナ。すでに虹による足場の順番はとうに過ぎている。
 強力な一撃を放つのであれば完全な隙が必要だ。いくら即時に放てるとはいえ、大技には違いがない。
 相手もまた大きな隙を狙っているのだろう。このままでは埒が明かないと思った瞬間にコピーがスーパーノヴァを即時に放ってくる。
 願ってもいないチャンスで逆方向へと回避をしようとしたが――妖精の眼で魔力の違いに気付かれたのか放つ方向を修正された。ルキナは盾でどうにか直撃を防いだが――。
「これ以上はもう……」
 一枚上手だったコピーの攻撃に動けないほどの大ダメージを受けてしまうのだった。

「ふふふふふ……あははははっ!」
 御永音 燈は笑いながら自分自身と戦っていた。その快楽、その狂気、その緊張感をコピーである自分にも感じていたからだ。
 享楽者たる彼女は空中で敵の相手をしている。
 低空飛行で飛び相手がそれに釣られれば先に地上へと一気に降りて地上から地面を蹴った勢いで、クアッドリープを繰り出す。
 しかし、神を喰らう金鷹はユニークアバター特効の攻撃。これを受ければ危険な事を彼女もまた理解しているため、通り過ぎる事でそれを回避。
「良いわぁ……もっと楽しみましょう!」
 当たれば致命傷。それはどちらも同じ。こういう楽しい事を燈は望んでいる。そして、戦っている相手の“燈”もまたそれを望んでいるのだろう。
 コピーは自分の最高のパフォーマンス時の時である。そのため、享楽者としての在り方もまた――同じであるのだ。
 ここまで再現されているのであれ、これを超えれば更なる快楽が待っているに違いない。
「あら……あらあら」
 苦手な地上で鍔迫り合いをしている中で、接近戦をしている内に徐々に押されている事に気付く。そして――。
「負けるのは嫌だけれど……まだまだ楽しい事が……待ってるという事ね」
 不敵に笑いながら受けたその一撃の痛みさえも快楽としようとするのだった。


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