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クラッシュ★バレンタイン

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クラッシュ★バレンタイン
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――2――

 
「その調子ニャー! 頑張れだニャ!」
 特異者達がお菓子を触媒に界霊を召喚し、撃破していくのをミリアムとギリアムが少し離れたところで見守る。
 皆が危なげなく戦えているからか、ギリアムはシャドーボクシングのような動きをして観戦している。
 そんなギリアムの隣にいるミリアムに声をかけてきたのは、数多彩 茉由良だった。
「ミリアムさん、ちょっとお聞きしたいのですが……」
「ん? どうしたの?」
 茉由良と一緒にいるアシュトリィ・エィラスシードデーヴィー・サムサラナイア・スタイレスチェーン・ヨグを順に見つつミリアムが小さく首を傾げる。
「実はわたくし達、お菓子でできたN界霊が釣れるという噂を聞きまして、検証してみようと思っているのですわ」
 茉由良の代わりにアシュトリィが答える。
「ゴハン〜♪」
 合いの手のようにナイアが言って笑顔を見せ、はいはい、とデーヴィーがその頭を軽く撫でてやる。
「ええ、こうしておかしもじゅんびしてきました。それで、Nかいれいを1体だけよびだせたら、とてもたすかるのですけど、どうすれば……」
 茉由良が本題に入り、用意してきたもちふわマシュマロをマイアが、小型チョコレートファウンテンをチェーンが取り出して見せながら質問しようとする。
 が、茉由良が最後まで言い終わらないうちにギリアムが乱入してきた。
「任せるニャー!」
 元気に言って両手(両前足?)を上げてバンザイしたかと思えば、ナイアとチェーンからお菓子をぶんどってしまう。
 ぽかんとしている茉由良達5人をよそに、ギリアムがすごい速さで何やら準備を始める。
「こうして! こうやって! こうニャー!」
 そう言うと、持っていたお菓子を勢いよくぶん投げるギリアム。
 他の者はミリアムでさえ小さく口を開けたまま、投げられたお菓子を目で追いかける。
 放り投げられたお菓子は、限界まで高く上がった後はただ落ちてくるだけだった。
 チョコレートファウンテンまで投げてしまっているので、チョコが大変なことになりそうだ。
 だが、皆の意識はまだそこへ至っていない。
 落ちてくる途中でマシュマロとチョコレートファウンテンは光を帯び、ぼふんっと音を立てて煙に包まれる。
 地面に到達する頃にはその煙が晴れ、チョコがけの美味しそうなマシュマロが、まるで蛇のようにとぐろを巻いていた。
 マシュマロがいくつも繋がり蛇っぽくなっているようだが、頭と尾の区別がつかない。
 何しろただただマシュマロが繋がっているだけなのだ。
 そして、結構大きい。
 もしこれが本物の蛇なら、小柄な人間くらいなら簡単に飲み込んでしまえそうなサイズである。
 なお、全体的にチョコがかかっているので、辺りにはチョコの甘い香りが漂っている。
 ついでに言えば、界霊の触媒として機能しきれなかったチョコがぽたぽたぽたっ、と辺りに少量ながら降り注ぐ。
 マシュマロはともかく、チョコはまとまりきれなかったのだろう。
 慌ててチョコを避ける茉由良達。
 ナイアは口を大きく開けてチョコを受け止め、ご満悦な様子だ。
「はりきってやっつけるニャー!」
 ギリアムの声で我に返る茉由良達。
 ミリアムは慌てて距離を取り、成り行きを見守ることにしたようだ。

 茉由良達は急いで戦闘態勢を整え始める。
 まずは陣形からだ。
 デーヴィーとナイアが前衛を、茉由良とアシュトリィは中衛、チェーンが後衛を担当する。
 幸いにも界霊はまだ茉由良達の様子をうかがっているだけで、何もして来る気配はない。
 茉由良達を敵と認識する前に、準備を終わらせてしまいたいところだ。
 チェーンは援護射撃を行うため、界霊から距離を取ろうと走って後方に下がる。
 茉由良は自らの防御に神霊化を使い、これを維持しながら豊饒舞で自分と仲間に加護を付与。
 アシュトリィはまずオルガノレウム・イミテーションを使ってオルガノレウムの下位互換エネルギーを一時的に生み出し、周囲に循環させた。
 これでよほどの大技でも狙わない限りはアダプターのスキルを使うのに困らないはずだ。
 たてつづけにスキルにより自身や仲間の動きを良くしたり、自分の芸器やデーヴィーの武器性能を上げたりしておく。
 前衛のデーヴィーとナイアは中衛より後ろの3人の準備が終わるまで、何かあればすぐに対応できるよう気を張って界霊の動きを警戒する。
 3人の準備が終わったのを確認するとデーヴィーはエスカリボールの効果によって上空からの振り下ろし攻撃を狙う。
 ナイアが地上で戦い、上空と地上の二手に分かれて界霊を挟撃するような形を取ったのだ。
 デーヴィーとナイアが攻撃を仕掛けるとさすがに界霊も茉由良達のことを敵と認識し、威嚇するように鎌首をもたげて睨みつけている。
 と言っても全てのパーツがチョコのかかったマシュマロなので目があるわけではなく、あくまでもそういう風に見えるというだけなのだが。
 どこが弱点なのかも分かりにくいが、とにかくデーヴィーが回避メインに界霊を翻弄し、その意識を自分に向けさせる。
 無音戦闘術を使ってナイアがその隙をつく。
 デーヴィーが攻撃されそうになったら、アシュトリィがアドプトガンver.3.0による援護が入る。
 さらに後方からチェーンの援護射撃もあり、界霊はなかなか思うように動けず苛立ちをつのらせていく。
 もちろん味方への誤射など起きないように対策済みだ。
 前衛の2人は何の心配もなく、後方からの援護を信じて自由に動き回る。
 さらに茉由良の支援攻撃も受け、界霊は完全に手も足も出せずにやられたい放題だった。
 そもそも手も足もない姿なのだが、つまりは何もさせてもらえないのである。
 ただただ、苛立たしげにくねくねしている。
 ナイアが界霊の体の一部──つまりはマシュマロ──を斬り落とし、じっとそれを見つめていると遠巻きに見ていたミリアムが声をかけた。
「大丈夫、普通に食べられるから!」
 それを聞いてナイアが一口目は少し不安げに、二口目からは美味しいお菓子をただ味わって食べ始める。
 食べながらも攻撃の手は緩めない。
 しばらくそんな調子で茉由良達の完全優位な中、戦闘が続いた。
 界霊は粘っていたが、ついに我慢できなくなったのだろう。
 どう見てもやけを起こしたのだなと分かるような、隙だらけの攻撃を繰り出そうとした。
 よほど上空からの攻撃が鬱陶しかったのか、デーヴィーに向かって突っ込もうとしたのだ。
 しかし、いくら蛇のような姿でも長さには限りがあり、上空にいるデーヴィーからすればただまっすぐ向かってきただけなのだから避けるのも容易い。
 体当たりなのか、ないはずの口で噛みつこうとしたのか、いまいちはっきりしない界霊の攻撃は避けられてしまい、上空に向かって伸び切った身体をすぐに戻すことはできるはずもなく。
 そんな大きな隙を見逃すはずもないナイアやチェーン、アシュトリィから必殺の一撃を受け、マシュマロの焦げたような匂いとチョコの甘い匂いを漂わせた後、界霊は動かなくなった。

 界霊が動かなくなった後、安全確認をしてからミリアムやギリアムと一緒に、茉由良達も皆で動かなくなった界霊を美味しく食べることになった。
 もちろん、攻撃を受けて傷ついていない部位があったからだが。
「とろけたチョコレートをつけたマシュマロ……いい、ですよね♪」
 茉由良の言葉を聞き、ギリアムのお腹の南瓜面瘡が笑い声を上げ、これに驚いたナイアがマシュマロを落としてしまって軽くひと悶着あったのだが、それはまた別のお話。


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