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クラッシュ★バレンタイン

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クラッシュ★バレンタイン
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カラフルショコラ 3


~Sweet make~

 甘いものを作る時間も大切な人とならそれは甘い時間にもなる。
 一緒に作る苦労も、作り上げた達成感も、それを含めた思い出も……。


「今年もバレンタインの時期がやってきたね。
スイーツの料理教室をやってるみたいだから、私達も参加してみよう」

 燈音 春奈の言葉に燈音 了はこくりと頷く。

「さて、何を作りましょうか」

「確か一昨年もやったっけ……今年は何を作るか……」

 料理教室に参加を決めたものの、何を作ろうかと二人は悩み始める。

「前に作ったのはガトーショコラだし、今回はもうちょっと大きな物を……チョコレートケーキとかどうかな?」

「美味しそうですね」

「どうせなら外見も少しこだわってみよう」

「では作るのは春奈の提案の外見にもこだわったチョコレートケーキにしましょう」

 作るものが決まり、二人は準備をして料理教室へと向かった。





「これなら足りるよね?」

 料理教室に着き、材料として用意した【チョコレート製作キット】と【チョコレート・ドール】を並べながら春奈が言う。

「多めに持ってきているから足りなければ使ってくださいね」

 春奈の隣で了は多めに用意した【チョコレート製作キット】と【ねこチョコ】を並べている。
 その首には了が大切にしている【結婚指輪】を紐に通してかけていた。

 今回は二人が協力して作るというより、二人がそれぞれ作ったものを合作すると言った感じなので作業は別々だ。

 手を洗い、清潔にしてから調理を始めた春奈が作るのはケーキの本体部分だ。

 オーブンを余熱し、バターと牛乳を湯煎で温め混ぜて溶かす。
 別の容器に卵と砂糖を入れ、別の湯煎に当てつつふんわりとするまで泡立てる。
 そうして出来上がったものを湯煎から外し、温めておいたバターと牛乳、更にココアパウダー等も入れ、適切な固さになるまで混ぜてココアスポンジの生地を作る。
 出来上がった生地を型に流し入れ、空気を抜き、オーブンで30分程度焼く。

「猫の顔型の型とかないかな?」

 探してみたがケーキ用の猫の顔型の型は見当たらなかった。
 見本用としてクッキー用の猫の顔型を持ってきたのでそれを見ながら切れば何とかなるかもしれない。

 焼き上がるまでまだ時間があるのでその間にチョコクリームも作る。
 材料のチョコを容器に入れてある程度加熱し、生クリームも入れつつ混ぜて溶かしたものを泡立てる。

 焼き上がったココアスポンジを半分の厚さにし、更に猫の顔の形になるように切る。
 間にチョコクリームを挟み、表面にもチョコクリームを満遍なく塗れば、春奈が担当の本体部分は完成になる。

 途中の細かい調整は【身体制御】や料理人の専門技能【秘密のレシピ】で補いながら作ったが出来映えとしては満足のいくものだった。

「バイナリアで予備として鍛えた職能だけど、選んで正解だった……」

 無事に出来上がったチョコケーキを前に春奈はそう呟いたのだった。


 一方の了もまた手を洗い、清潔にしてから調理を開始していた。

「給仕の職能を活かして作っていきましょう。意外なところで活かせる機会が来ましたね」

 ケーキ本体部分を春奈が作るので、了は飾り付け部分を作ることになっていた。

 湯煎で溶かしたホワイトチョコレートとシロップや水飴などを混ぜたものをひとまとまりになるまで練り、食用色素を揉み込んで種を作る。
 その種で花びらを作り、薔薇の形になるように形成していく。
 作り上げたのは白から淡い水色のグラデーションの薔薇と白から淡い橙へのグラデーションの薔薇だ。

 すんなりと薔薇の形成が終わったので、あまった時間で【ねこチョコ】を溶かし、形状を変えて家で飼っている子猫っぽく造形し直す。

 こうして二人それぞれが作り上げたものを合わせてチョコレートケーキが完成した。
 もちろん、無事に完成したなら次は実食だ。
ケーキを切り分け、それぞれ口へと運ぶ。

「うん、ちゃんと美味しく出来てる!」

 美味しさが予想以上だったのか春奈が一口分をフォークで了へと渡す。

「『同じケーキ食べてるんだから味も一緒でしょ』ってツッコミは無しだからね?」

 差し出しながらそう言う春奈。

「ちょっと照れ臭いけど良いでしょ別に! バレンタインなんだから!」

 春奈のその言葉や行動の意味が理解出来ないわけもなく

「春奈からもらえるのですから格別に美味しいに決まってるじゃないですか」

 と了は差し出された一口をぱくりと美味しそうに食べる。

「こんなとこでなければ’俺’はもっと甘い物の方が良いんだがな」

 了はそう言いながらフォークで唇を刺しながらにやりとでも笑って春奈を見る。

「も、もっと甘い物って……。それは……二人きりの時に、ね?」

 頬を染めながらも拒否しない春奈を見て、了は更ににんまりと笑みを深めたのだった。




〜トロイメライ〜

 仲睦まじい様子でどんなチョコレートを作るか相談しているのは風華・S・エルデノヴァアーヴェント・S・エルデノヴァの夫婦だ。

「今回は、自分達の出身世界であるヒロイックソングス!らしいものを作ろうか。
あの世界には個性的な多くの小世界がある、それらの各小世界をモチーフにしたチョコレートの詰め合わせなんかいいかもな」

「これまで歩んできた「ヒロイックソングス!」世界を振り返る事の出来るような……思い出深い小世界のイメージを込め「料理:ヒロイック・アソート」を一緒に作りましょう」

 思い出があるのは二人も同じ。だからこそ作りたいものが共通のものであることは嬉しくて。
今度はそれぞれの小世界をどんな風なチョコレートにしようかと話しつつ、チョコレート作りを始める。

(き、共同作業……!)

 と心を弾ませながら、風華は【【スタイル】御饌司】の心得とともに準備は万端だ。

「素敵なお味を作って披露できたらよいですね」

「そうだな」

 よいよい味になるようにと風華は【ハピネスショコラ】を細かく刻み、湯煎にかけて、バターを加え混ぜ合わせる。
 そうして溶かし、バターの香り放つチョコレートを使って作るのは紅茶チョコとオランジェットだ。
【エレガントティータイム】の紅茶葉やオレンジピールを使うため、美味しいものが出来上がるのは間違いなさそうだ。

 紅茶葉に生クリームを入れ、混ぜながら温めていく。
そうして生クリームに茶葉の香りと色がついたものを湯煎したチョコへ少しずつ入れては混ぜる工程を数回繰り返す。

「香り高いチョコ、できますでしょうか」

「良い香りがしているし、問題ないと思うぞ」

 不安そうに呟いた風華に寄り添うように隣にいたアーヴェントが力強く頷く。

 丁寧に混ぜ合わされたチョコは型に入れられ、冷蔵庫で冷やせば紅茶チョコが出来上がる。

 冷やしている間に風華はオレンジピールを溶かしたチョコでコーティングし、オランジェットも作り上げた。

 出来上がった紅茶チョコを見つめながら二人が思い出しているのはセブンスフォールだ。

「最初の異世界セブンスフォール。
翼持つ「神獣」の皆さんの縁、町や村にお城、遺跡に砂漠、【芸能人】としてお認め頂けた太陽を呼ぶウタ……。
今もその創成が解き明かされていない、歴史の浪漫もありますね。
チョコには太陽や翼の紋様を添えましょうか」

 風華の言葉にアーヴェントはこくりと頷き、紅茶チョコに翼と太陽を描いていく。

「セブンスフォールは自分達が初めて赴いた異世界。振り返ると懐かしいことばかりで、それでもまだまだ謎の残る世界でもある……また調査があれば協力したいところだ」

 描き終えたアーヴェントが指についたチョコをぺろりと舐めながら

「神獣といえば、シルフィンが週刊少年ソウルを読んでいたりと、意外な驚きもあったなあ」

 と思い出を語り、風華もまた懐かしそうに微笑む。

「それにしても、こうして隣に並んで一緒にお菓子作りか。
普段のデートや慌ただしいアイドルとしての仕事とはまた違った良さがある。
ふふ、こういうのも悪くないな」

 隣に並ぶ風華を見つめ、アーヴェントがそう言えば

「そうですね。ヴェントさんとの思い出を一つ一つ形にしていくような気がして……悪くないですね」

 風華もアーヴェントと同じ言い回しで答えて。
そんな二人の間にはチョコよりも甘い空気が流れていそうな雰囲気まである。

 次のチョコを作り上げたのはアーヴェントだ。
出来上がった勇者の痛チョコはアーヴェント曰く、完璧とは言えないが及第点の出来らしい。

「オルトアースのナゴヤ。
ヴェントさんが覇権になられた勇者グッズですね」

「漫画と言えばナゴヤだよな。自分達も作品を作ってライブで表現したり、思い入れのある地域だ」

「私もナゴヤをきっかけに衣装を作るようになりましたっけ。合わせて聖女さんに扮したライブも楽しかったです」

「ああ、君の聖女の姿も素敵で……そうだ。自分達だけでなく他の人も誘って”天星の勇者、地星の聖女”の世界観でのライブをいつかやってみないか?」

 機会があれば戦戯 嘘も誘ってみたい、とアーヴェントが言えば

「嘘さんもお元気との事で、楽しめたら素敵です」

 と、風華の表情はいつかに思いを馳せて綻ぶ。

 上半分にウンタンフルーツを星、ナッツを砂漠に見立ててトッピングしたチョコはパトリアのイメージだ。

「昨年訪れたパトリア。
やさしく素朴な味わいの『白いもちふわ』に添えられるように……」

「もちふわと一緒に食べるのも確かに良さそうだ。
パトリアは本当に美しい世界だよな。始めてみたあの不思議な空を今も覚えているよ」

 そう思い出を語り合った後、アーヴェントが

「……今年の結婚記念日は、自分の王城で過ごそうか。二人きりでさ」

 と誘うと

「結婚記念日、もちろん喜んで……!」

 と風華は二つ返事で了承する。
どんな風に結婚記念日を過ごそうか、と話したいが今はまだチョコ作りの途中。
 お楽しみをまた後日に。今はチョコを作り上げる。


 二人が語り合いながら作ったチョコレートは姿を、形を、味を、食感を、香りを、色を変えて、一つの箱へと収まって。
 その中には多くの世界を共に過ごした愛する人への想いもまた【伝心の刃】によって込められて。

 風華とアーヴェントによる【料理:ヒロイックアソート】が完成した。

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