――サルマティアの街。
ニコルは拡大していく影の球体と、飲み込まれる街を目にしていた。
「これ、ひょっとして放っといたらマズいんじゃない?」
そしてふと独り言をつぶやくと、わざわざ個別チャットでその答えを返すものがいた。
表示名は「じいさん」。ニコルは知らない相手である。
『あたりまえじゃろ。これは呪いの力。
飲み込まれれば、RWOは消滅する』
しかし、ニコルは呪いの力によって直観的に理解したのだ。
「GGG(さんじー)!? どうして……」
『説明は後じゃ。今はとにかく、あのデカい拳を守ってくれ』