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ムーンライト・ミステリーツアー

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ムーンライト・ミステリーツアー
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・【チーム:【月夜の影】】

 さすがにこれ以上は危険だと理解したのか、エカテリーナは諦めて帰ろうとしているようだった。
 しかし、警戒心を強めたエカテリーナは、ちらつく敵エージェントたちの影に邪魔され、なかなか月光園の出入口に辿り着くことができない。
 逆に魔獣の猟場へと追いたてられている。
 そんなエカテリーナの姿は、上空からコウモリの目で監視していた月蜘蛛(碧海 サリバン)の目に留まり、【チーム:【月夜の影】】が動きだした。
 魔獣の猟場近くにまで迷いこんだエカテリーナを見つけたコウモリが、月焔(心美・フラウィア)とリーダーである月猫(織羽・カルス)へ伝えようと探すものの、近くに彼女たちはいない。
 ふたりはというと、エカテリーナ捜索のため放ったステラにそっぽを向かれ、日当たりのいい芝生の上で昼寝を決めこまれていたことが発覚し、仕方なくステラなしでの捜索に切り替えていた。
 そんな二人のもとへ、碧海のコウモリが舞い降りる。

『エカテリーナを発見した。魔獣の猟場前だ』

 数秒程度のメッセージを送れるというコウモリの特徴を使い、碧海が送ったメッセージを受け取った織羽と心美は、顔を見合わせて頷きあう。

「……行こう」
「ああ。急がないとね」

 サイドカーに織羽が飛び乗ったのを確認し、心美はアタックモービルを発車させた。
 甲高いモーター音と共に、ふたりを乗せてアタックモービルが、車行き交う道路上を疾駆する。
 運転する心美は、道路の向こうで停止している車が列を成しているのを見つけた。

「くそっ、渋滞だよ!」
「急いでいるのに……!」

 馬鹿正直に渋滞が解消されるのを待っていては、エカテリーナを助けるのに間に合わない。
 大通りから離れ、渋滞を迂回する。
 逃げ惑うエカテリーナの姿は、月夜鳩(高橋 凛音)の目にもとまっていた。
 さすがにすべての監視カメラを同時にハッキングするのは無理だが、そのうちのひとつ程度なら、物理的に監視カメラそのものに有線接続でハッキングすれば、映像を盗み見ることはできる。
 その映像に、運よく移動しているエカテリーナが映っていたのだ。
 ただ月光園を楽しんでいるだけにしては、ただならない様子のエカテリーナの姿に、すぐに事情を察し、凛音はハッキングを取りやめる。
 そこでようやく、月光園のスタッフらしき者たちに囲まれつつあることに気づく。
 どうやら、ハッキングがバレたらしい。

「……さらばなのじゃ」

 慌てずあらかじめ定めておいた逃走経路が使えるのを確認すると、凛音は運転席に乗りこみ路肩に停めておいたギミックワーゲンⅠを走らせた。
 警備員たちを振り切り、凛音も現場を目指す。
 ギミックワーゲンⅠの後部座席の窓が開き、中から月白雪(ろぼ子・クロウカシス)が顔を覗かせる。

「……うわ、敵も……集まってきてる」

 歩道を行き交う一般客や、道路を走行する車の中に、不自然にUターンを決めて逆走したり、あえて人の流れに逆らって走る者たちの姿があった。
 敵エージェントたちの目線でも、もはや任務は詰め段階に入っているようだ。
 ただでさえ少なかった人通りがさらにまばらになり、ついに途絶えた。
 その途端に、敵エージェントたちが実力行使に出始めた。

「なりふり構わなくなってやがる!」

 助手席の窓から顔を覗かせ、周囲を確認して即座に碧海が上体ごと顔を引っこませる。
 かすかな銃声が鳴り、顔があった窓の外を、間髪入れず銃弾が通りすぎていった。

「……これは、私たちがエージェントだって……向こうも確信してるっぽい……」

 碧海が撃たれそうになったのを見たろぼ子は、できるだけ狙われないようにするため、速やかに座席の窓を閉めた。
 ここからが、エカテリーナ保護任務の、正念場だろう。
 裏の顔の出番だ。
 【チーム:【月夜の影】】のうち、最初に現場に到着したのは、月焔のアタックモービルだった。
 そこは三つの路地に連結されているちょっとした広場で、ちょうど隣接するアトラクションの裏手に当たる場所だった。
 アトラクションの出入口は正反対にあり、休憩用のベンチなどもなく、さらにアトラクションや出店、商業施設を巡る移動経路としては遠回りになるという、一般客が来る理由のない場所だ。
 サイドカーから月猫が飛び降り、続けて月焔も降りて戦闘態勢を取る。
 月夜鳩のギミックワーゲンⅠも到着し、月夜鳩、月蜘蛛、月白雪の三名が降りた。
 同時に、ふたつの路地から敵エージェントたちの車も滑りこんできて、耳ざりなブレーキ音をたてながらドリフト駐車し、中から敵エージェントたちが三人ずつ飛びだしてくる。
 一方からは、純血同盟のエージェントたちが。
 もう一方からは、政府の暗部組織のエージェントたちが。
 月猫や月焔たちも合わせると、ここに所属を別とする三種類のエージェントが、一堂に会したことになる。
 そして、それらを結ぶ中心には、激動する状況についていけず、身を固くするしかないエカテリーナの姿があった。
 最初に行動に移ったのは、政府の暗部組織のエージェントたち。
 彼らは任務が殺害なので、一番判断が早い。
 魔獣の猟場まで誘いこむのが彼らにとって一番リスクを負わない方法だったが、魔獣の猟場の手勢が壊滅したことが、彼らの決断に繋がった。
 多少強引にでも、エカテリーナを人気のない場所に誘導して、殺害を完了させると。
 対して、純血同盟の目的は、あくまでエカテリーナを誘拐し、人質として確保すること。
 生きていなければ意味がない。
 よって、二組織の間で銃撃戦が始まった。
 驚いたエカテリーナは、もうどこに逃げればいいのかも、誰か信頼できる味方かも分からなくなっていたのだろう。
 やけくそ気味に、【チーム:【月夜の影】】が塞ぐ路地を突破しようと、走ってくる。
 傍をすり抜けようしたエカテリーナを、月焔が捕まえた。

「暴れないで! 味方、味方だから! 大通りに逃げるよ! ここは危険だ!」

 もがくエカテリーナを落ち着かせようと声をかけつつ、サイドカーに乗せてアタックモービルで月焔は逃走する。

「ま、待ってー!」

 乗りそびれた月猫が走って追いかけていった。
 残されたのは、月蜘蛛、月夜鳩、月白雪の三人。

「……なんだかんだで、保護対象の確保は完了?」
「うまくいけばの。残っている敵エージェントがこの程度の人数とは思えぬ。じゃが、ひとまずはこの場を収めるのが、妾らの仕事じゃな」

 上目遣いで尋ねてくる月白雪に、重々しい仕草で月夜鳩が頷く。

「ようやく、俺様の出番ってわけだ!」

 両の手の拳を打ち合わせ、戦意を高揚させた月蜘蛛が好戦的に笑った。
 こうして、三人はこの際純血同盟と政府の暗部組織のエージェント双方を倒してしまおうと、戦いに乱入する。

「……まず、どっちを狙うべき?」
「最初に手を出した方じゃ! 血の気が多い輩を残すのはリスクが大きい! 先陣は月蜘蛛よ、お主が切ってくれるか!?」
「ああ、任せろ!」

 即座に月蜘蛛が発砲したシャンパン砲の放水は、液体操作を受けて水弾となり、純血同盟のエージェントと撃ち合っていた政府の暗部組織のエージェントを、背中から襲う。
 予想外の方角から不意討ちを受け、政府の暗部組織のエージェントがひとり、倒れた。
 それにより、銃撃戦の優位が純血同盟に傾く。
 だが、完勝など許さない。

「次は妾の番じゃな」

 三つ巴、かつ他の二勢力同士が先に交戦という、状況の利を存分に活かした月夜鳩が、認識の隙をついて接近し、今度は純血同盟のエージェントひとりに至近距離からパルサーウォッチの電撃を浴びせ、無力化する。

「……鬼さんこーちら……、手ーの鳴るほーうへー……」

 今回の戦いは、短時間で戦闘を収められるかが肝だ。
 いくら人気のない場所といっても、派手な大立ち回りをすれば、野次馬が集まってくるだろうし、月光園側のスタッフだって大勢すっ飛んでくるに違いない。
 なので、速やかに勝負を決める必要があり、そのためには火力を発揮する月蜘蛛と月夜鳩が攻撃に集中できる状況を用意する必要がある。

「できることを……するだけ……」

 戦闘にはあまり向いていないと自覚する月白雪であるが、身を守ることを第一にしつつ、敵エージェントたちの視界の隅をうろちょろすることで攻撃を誘い、ふたりへの注目を逸らしてその条件を満たした。
 こうして敵エージェントたちをまとめて無力化することに成功した三人だったが、その三人に入ったのは、エカテリーナを連れて大通りに向かった月猫と月焔が、途中で二組織の増援にたて続けに強襲され、やむなくエカテリーナを大通りに逃がして自分たちは時間稼ぎのため、足止めに転じたという連絡だった。
 急いで救援に向かう月夜鳩と月蜘蛛を追いかけようとした月白雪は、ふと思い立って倒れたエージェントの数名を見繕い、その武器に手を触れ映像を盗み取る。
 そこには、エカテリーナ捜索のため活動している味方エージェントの何人かが、いつから正体を見破られていたのか、逆に密かに見張られ、敵エージェントに泳がされている光景があった。


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