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ムーンライト・ミステリーツアー

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ムーンライト・ミステリーツアー
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 遺産は誰の手に・4

 朝霧 垂は「怪盗ルパンダ」というコードネームで任務に当たる前に、ちょっとした細工をすることを企んでいた。
 それは、月光園の監視カメラの位置を把握することと、カメラに記録されている普段通りの園内の画像を入手することだった。
「この2点をクリアしておけば、遺産確保に向かおうとする仲間たちの支援にもなるってものだ」
 怪盗ルパンダは今回は単独で任務に取り組もうとしていることから、自身が遺産確保に向かうよりはチームを組んでいるエージェントたちを支援するのが得策だと考えていたのだ。
 裏の任務で裏方に回るという独自路線を走ろうと、最初にクリアすべき事柄に挑もうとした怪盗ルパンダだったが、ここに問題が発生した。
 実際の任務が始まるまで、あまりにも時間が足りなかったのだ。
 園内への事前潜入を取りやめざるを得なかった怪盗ルパンダだったが、それでも監視カメラの制御システムを発見することはできた。それシステムは一部のカメラだけを司っているにすぎなかったが、怪盗ルパンダはゴーストコンピュータを立ち上げると、システムに不正干渉して不具合を発生させた。
「一時的にでも、仲間の姿を見失ってくれたら良いんだけどな……」
 だが、システムへの干渉は怪盗ルパンダの存在を知らしめることにも繋がってしまったようだ。すぐさま園内のセキュリティが発動し、保安要員が迫ってくる。
 怪盗ルパンダはそれを察知すると、トレーガーにハトの群れを突っ込ませ混乱を引き起こさせると、パンダバルーンに飛び乗って逃走した。
「私の名前は怪盗ルパンダ。残念だが、今宵の戯れはここまでとさせてもらおう。それでは皆様、ご機嫌よう!」

 アタックモービルで移動中に敵のヒットマンと遭遇した諏訪部 楓――コードネーム「紅葉」は、サイドカーに搭載されたショットガンでヒットマンの乗る車のタイヤを潰すと、それ以上の追撃は行わずに走り出した。
 紅葉が求められているのは遺産の確保であり、敵勢力の始末ではない。その思いに加え、単独で動くからこそ得られた迅速さを損なわないためにも、戦闘は最低限に抑えるべきという意識があった。
 だが、エリア内で放し飼いされている魔獣ではなく、敵勢力に遭遇したということは、この近くに何かが隠されているのかもしれない。紅葉はヒットマンをやり過ごしたのを確認すると、アクセルロリポップを舐めつつ先ほどの場所へと引き返した。
「ここは『マクシム・G試作型』を確保といきたいところですが……せめて、サイボーグとして強くなれるためのパーツなどが見つからないでしょうか」
 引き返した地点は、ただ地面が広がっているようにしか見えない。目利きを応用する形で手がかりを探っていた紅葉は、手応えのなさから小さく呟いた。しかし、ここで敵に出会ったという事実は手がかりになり得たらしい。はっきりとはしないものの、何らかの違和感を覚えた紅葉は、さらなる調査をしようとアタックモービルから降りた。
 だが、手がかりを探している間に、魔獣の羽ばたきが聞こえてきた。
「こんな時に、魔獣のお出ましですか!」
 アタックモービルから降りていたとは言え、アクセルロリポップの効果で敏捷性が上がっていた紅葉は、魔獣の一撃を受けながらも致命傷は免れた。
 逆に近づいてきたことを好機と捉えた紅葉は、機械化された身体を加速させて反撃に出る。数度にわたる打撃は、狂暴化している魔獣でも痛みの方が勝るようで、紅葉は魔獣が怯んでいる間にパワーレッグで走り出すと、アタックモービルに跨った。
 そしてハンドルに備わっていたトリガーを引いて牽制の射撃を行うと、紅葉は魔獣から逃れるように離脱した。

 コトミヤ・フォーゼルランドは「セイコウ」というコードネームを名乗り“D”とコンタクトを取ると、ある情報を得ようとしていた。
「魔素濃度の特に高い場所に向かいたいんだが、どの辺りだろうか」
「絶対的なことは言えんが、まあ、概ねこの辺だろうな」
 セイコウがサイボーグだったのが幸いしたか、“D”は面倒くさがる様子もなく答えてくれる。セイコウはその情報を得ると、早速アタックモービルでの探索に向かう――としたいところだったが。
「ううむ、隠れて動くだの隠れているものを見つけるだの、正直やりづらいことこの上ない。今までどれだけ力に頼ってきたか思い知らされるよ」
 まず行われたのは、軽い愚痴を吐くことだった。
「あんたね、もうちょっと頭を使いなさいな。このだだっ広い園内でヒントもなく探すなんてあたしゃ嫌よ、疲れるし」
 セイコウの言葉に、サイドカーに乗り込んでいるソッソルト・モードック――「イテン」が文句をつける。セイコウと“D”が話をしている間にも、任務を始めるにあたって得ていた情報を元にゴーストコンピュータで検索をかけたり、周囲の監視カメラに干渉して情報を得ようとしていたのだから、そう言いたくなるもの仕方ないだろう。
「それはすまん。何かわかることはあったか?」
「監視カメラを伝って調べようとしたけど、今のあたしじゃダメみたい。それから『バイナリアの人たちがイメージする月』についても調べようとしたけど、そこから遺産の位置を割り出せるようなことはないみたい」
「やはり、機動力を武器に探すしかないわけだな」
 “D”から魔素濃度の濃い場所は教えてもらっているセイコウは、ここが森林や川が多く存在している場所だということに着目してみた。
「私には東トリスに加え、森林に関する土地鑑もあるから、まずは森を捜索だ。森らしからぬ違和感、例えばそう、異様に飾り立てている何かに注目するように探していこう」
 そうしてセイコウとイテンは、まっすぐ森へ向かっていた。道中は互いに周囲への注意を怠らないようにしていたが、イテンは自身が使役できるコウモリを空高くに放ち、俯瞰する形で情報を得ようとする。
「イテン君、空からの様子はどうだ?」
「手掛かりは見つからないけど……その先に、魔獣がいるわ」
 セイコウはすぐに目立たない場所に二輪車を横付けすると、魔獣の姿が見えると同時にショットガンを放った。弾丸は惜しくも腕を掠めた程度だったが、【銀弾】イワンの影響によってその動きは鈍くなった。だが、効果は一時的なものだったようで、魔獣はすぐにセイコウたちに向かって走り出す。
 その間に地面に降りていたイテンは、疑似輸血パックで飢えを満たすと、魔獣の突進に合わせるように進み出て自身の血を打ち込んだ。打ち込まれた時に血液を奪われていたせいもあるからか、魔獣は瞬間的に足元がおぼつかなくなっていた。
「イテン君、良い援護だったよ!」
 セイコウは足が止まった魔獣に迫ると、蹴りによる4連撃を繰り出した。元が障害物の破壊に向いている動きだったからか、それだけで魔獣を倒すには至らなかったが、二人からの攻撃に魔獣はすっかり怯んでしまったようだ。
「今のうちに振り切るぞ!」
「わかったわ」
 イテンのコウモリから得た情報では、この近くにはまだ魔獣がうろついているようだ。ひとまず先ほどの1体を振り切った二人は、できるだけ音を立てないように森を突き進んでいった。
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