■プロローグ■
『そ、そっか……ちょうどライちゃんのオーバーラップが……』
左脳から状況を聞いた妹の
ゆうが「うーん」と深刻そうに小さく唸った。
かつて戦戯嘘にとっての帰る世界を失わせてしまった彼女は、この事態を人一倍重く捉えているようだ。
『何とかしてあげたいな……。
ライちゃん、嘘ちゃんにとっては妹みたいなものだもんね』
「ん? まあそう……なるのかな?」
『ってことは私達にとっても妹みたいなものだもんね、お兄ちゃん!』
「ん!? いやそれは……え? 冴えない俺にまた新たな妹が追加されたんだが展開って誰得!?」
私得!とゆうは力強く答える。
何やら電話口の向こうから聞こえ始める高速タイピングの音が左脳にとってはなんだか不安で仕方ない。
『お兄ちゃん達はひとまず引き続き今起こってる騒動の対処に当たって。
私の方でも出来ることはやってみるから』
「はは、頼もしい妹で何よりだよ……。何をやってるかは知らないけど、無理はしないでね」
左脳はそう言って電話を切ると、賑やかな森の中へと足を踏み入れたのだった。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 森(1)
3ページ 魔王ライ(1)
4ページ 森(2)
5ページ 森(3)
6ページ 魔王ライ(2)
7ページ 魔王ライ(3)
8ページ 森(4)
9ページ 魔王ライ(4-1)
10ページ 魔王ライ(4-2)
11ページ エピローグ