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ワールドホライゾン

境界の破壊者

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境界の破壊者
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■エピローグ■



 界賊との戦いに決着がつき、特異者たちはワールドデブリの近域から離脱した。
 
「デブリが崩れる……!」

 木戸はノーチラス号から界賊の拠点が崩壊する様を見た。
 デブリを支える者たちがいなくなったからだろう。元々寄せ集めに過ぎなかったそれは、ゆっくりと離散していった。
 
「浩之様、報告が入りました。
 “亡者”は浄化され、ギャラルホルンが撤退したことでただのデブリクズに戻ったとのことです。
 あと国然様……じゃない、豚も“保護”されました」
「逆だよ、逆。でもありがとう、宇野さん。とはいえ、大きめの残骸は今のうちに対処する必要がある」

 大抵のデブリはどこかの世界に流れ着くまでに消滅するだろう。
 だがほんの小さな一かけらといえど、滅びた世界の残滓の影響を受ければ負荷がかかる。
 亡者は浄化されたが、元々のワールドデブリも決して甘く見ていいものではない。
 木戸たちはノーチラス号の武装でデブリを破壊していった。

「まったく……これでもう、他の界賊連中は私たちを完全に敵とみなしたな」

 三千界管理委員会――蒼の鍵守一派とは慣れ合わない。
 そう思っていたが、今ではすっかり彼らの側についてしまった。
 グリムは苦笑し、葉巻を咥えた。

* * *


「名刺、ですか。仕事を依頼したければここに連絡しろ、と」

 デュランダルがばら撒いた金属片は、彼女の名刺らしかった。
 仕事を依頼したければこれを使って連絡しろ、と。
 だが……使い方をケイやロイに教えることなく、彼女は去ってしまった。
 もし、デュランダルがホライゾンの特異者の力を認めていたなら、報酬次第で雇われてやる、と言ったのだろうか。

「前の時も今回も……馬鹿げた強さではありますが、まだ全力にはほど遠い。そんな印象を受けました。
 あの天使気取りは別として、他の界賊とは一人だけ次元が違いました」
「あの女の剣はおそらく、“枷”だ。奴が剣を置き、拳を構えた時が、相手を認めたということなのだろう。
 ……面白い。鍛え直す理由ができた」

 ロイは笑っていた。
 アヌビスを失い、超越者でなくなった彼の前に現れた強者。
 一人の武人として滾っているのだろう。

「奴は“神”でも超越者でもない。だが、かつて“神々”に選ばれた者であることは確かだろう。
 ――『神域』へ行け。そこに、お前たちのアバターにさらなる目覚めをもたらす鍵がある」
「神域……?」
「分かる者には、どこを指すのかが分かるはずだ。
 大世界の中に存在しながら、特異者であっても容易に踏み越めない、一つ上のレイヤーに存在する――文字通り、神格を持つ者の領域」

 それ以上のヒントを告げることなく、ロイは姿を消した。


* * *


「さて、次はどうしたもんかな……」

 デュランダルはシモンが使っていた小型艇――かつて山本 大國が界域移動用に使っていたミゼット・サブマリンの改良型を拝借し、デブリから撤退した。
 それはすなわち、大國は九鬼一族ともパイプを持つことを意味するが……デュランダルにとっては重要ではない。
 雇い主であるビューレイストが敗れた。
 生死までは確認していないが、あの実体を持たない天使以外は全員倒されたと見ていいだろう。
 あれには干渉できない。
 シモンのクナイを飛び石にドMを爆散させたり、デブリクズの無念に働きかけ、変質させたりしたが、あちらも直接はこちらの世界に干渉することはできない。
 今はまだ三千界に馴染んでいない、不完全な存在といっていいだろう。
 ギャラルホルンの口ぶりから、他にも何体かおり、目をつけた界賊のもとにいるようだ。
 そして……ビューレイスト一派は、あのラッパ吹きにとって捨て石に過ぎず、別の界域に“本命”がいることをデュランダルは察している。

(三千界滅ばされるのは、アタシとしちゃあちょっと困るんだよね。遊び場がなくなるわけだし)

「分かるぞ、お前の考えていることは。退屈なんだろう?
 新・絶対悪五人衆で残ったのはお前だけだ。まったく不甲斐ない……」
「あ、いたの? あんた」

 くくく、と笑いながら田中 是空が頷いた。

「デュランダル、と言ったな。新・絶対悪五人衆は壊滅したが、俺がお前を腹心として雇ってやろう。
 感謝するがいい。こいつが雇用代だ」
「いや、まだ何も言ってないんだけど」

 是空が投げつけたのは1G相当のコインだった。
 当然のことながら、デュランダルの相場に足りる額ではない。

(ま、いっか。ブラフマーの器の分体だっけか。面白いもの引き寄せてくれそうだし)

* * *


――ワールドホライゾン、市庁舎。

「神格兵器のハウ、だったか。そいつは俺が引き取らせてもらう」
「境屋のおじ様の頼みでも、無条件で頷くわけにはいかないわ」

 特異者に敗れたハウはホライゾンに連行され、現在は拘留されている。
 アンチアバターによって力を封じられた上で。
 明夜は境屋の申し出を意外に思いつつ、その理由を聞いた。

「あの嬢ちゃんは山本のヤツが作った、現存する唯一の完成された神格兵器だ。たとえヤツが失敗作と言ってようとな。
 あの子のことを調べれば、山本の手掛かりが掴めるかもしれねぇ。
 あとはどうやってティアマトを定着させてるのかも、な。
 それに……アバターの力で生き繋いでいる以上、ティアマトの回収は“解体”を意味する」

 明夜にも境屋の言い分は分かるが、心配しているのは境屋の安全だ。
 彼の力は信用しているが、それでも長く戦いから退いていることから、万が一が不安である。
 だが、境屋はそれを笑い飛ばした。

「なに、必要なら“全盛期”に戻るさ。多少寿命を削っても構いやしねぇ。どうせ誤差の範囲だ。
 それに、マーケットをリニューアルしてホライゾンフィールにしたろ?
 手伝ってくれる連中はいるが、常駐できるヤツが足りてねぇんだ。
 それに……看板娘がいた方が、マーケットにも華があるだろ?」

 最終的に明夜は折れ、ハウを境屋に預けることにするのであった。





【境界の破壊者 完】

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担当マスターより

▼担当マスター:クリエイティブRPG運営チーム

マスターコメント

『クリエイティブRPG』運営チームです。
「境界の破壊者」のリアクションをお届けいたします。

パブリックシナリオは、アクションを投稿しているか、
アクションを投稿していなくても「・アクション投稿しなくても登場を希望」の項目にチェックを入れた場合、基本的にリアクションに登場しています。
基本的にPCは1シーンに登場していますが、シーン分割の関係で数ページに渡って名前がある場合もございますので、リアクションを読み進めてご確認頂ければと思います。

個別コメント、称号が付与されている場合はお知らせがありますので、併せてご確認ください。

今回、アバターに応じた特殊な高レベルスキルもしくはアイテムをプレゼントされるのは、以下の方です。


ブリギット・ヨハンソン(SAL0071340)様
ユファラス・ディア・ラナフィーネ(SAM0066631)様
夏輝・リドホルム(SAM0034773)様
優・コーデュロイ(SAM0046649)様
キョウ・イアハート(SAM0004239)様
猫宮 織羽(SAM0012805)様
アーヴェント・ゾネンウンターガング(SAM0070938)様


スキル・アイテムは基本アバター45レベル、上級アバター40レベルとなる予定です。
配布は2021年1月中旬までに配布いたします。お待ち頂くことになりますがご了承下さい。



最後に今回のリアクションを執筆したマスターからのコメントをお送りします。


【1】デブリ外の機動兵器と戦う
【2】ワールドデブリ内部に突入する 担当:篠崎砂美



 お疲れ様です。今回【1】と【2】を担当しています。
 今回は、大筋でみんなの戦略がまとまりすぎていて逆に苦労しました。全体的にアクションは良くできていたと思います。
 はっきり言ってオーバーキルで、NPCがPCの数だけ死んでてもおかしくありませんでした。
 ほとんど反撃らしい反撃さえさせてもらえませんでしたから。逃げるので手一杯です。
 1はボスクラスのキャヴァルリィやメタルチャリオットはいないので、所詮はデッドコピーという性能になっています。とはいえ、守護者は結構強敵でしたが。
 2で若干苦戦しているのは、ワールドデブリの変化で精神耐性はバッチリだったんですが、環境の変化は考慮されていなかったので不利な地形に遭遇していた場合ですね。


【3】“世界の終末”で戦う 担当:革酎

 【3】担当の革酎です。

 ビューレイストと亡者軍団の浄化は成功でしたので、本パートの最小限のミッションは達成出来ました。
 但し対デュランダルはGA間の連携が出来ていなかった為、ああいう結果になっています。
 また、対ギャラホルンは見た目的には失敗の様にも感じられますが、これはこれでひとつの成果ですので、持ち帰って検討する為の材料になるでしょう。

 それでは皆様、ごきげんよう。