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逆襲のダークプリースト

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逆襲のダークプリースト
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「洗脳されてる人の方が多いみたいですが、自分の意思でやってる『本物の邪教徒』には、遠慮も容赦も一切要りませんよねー? オータス様の威光、ド派手に! ぶっぱと!! まいりましょーーー!!!!」
 メティス・サウンドノートは仲間にそう声をかけ、送り出す。
 その背中には、輝煌天翼の大きな翼が輝いていた。
(この遺跡の奥では今も誰かが洗脳されて、犠牲になってる……やっと魔王の動乱が終わったんだから、そんなひどい事、これ以上させるわけにはいかないよね!)
 リーナ・ファウネスは赫灼を纏い、邪教徒達の方に突っ込んでいった。
 そしてドラゴンフォースを解放すると、相手の動きを見極めながら、踏地穿蹴の動きで立ち回る。
(基本にして極意……これが私の全力だからね!)
 身軽に立ち回り、向かってくる邪教徒達を退けるリーナ。
 だがその1人に肉薄した時、何か「バリア」のようなものがその蹴りを阻んだ。
(これ、あの指輪……?!)
 攻撃が受け止められ、リーナの体が衝撃波で突き飛ばされた。
 何らかの魔導具のようだ。
「……いたな。大した使い手じゃなさそうだが、魔法と魔導具の使用者に間違いなさそうだ」
 オルト・サイファーは相手が洗脳されていない、自ら魔族に従う邪教徒だと確信した。
 ガーナーピアスが魔導具から漏れる魔法の気配を察知していた。
(あいつを捕まえなきゃいけないのは間違いないが、その前に洗脳された奴らが邪魔だな)
 オルトはライトフィールドマークⅡにフリーズバレットを装填し、邪教徒達の集団に銃口を向ける。
 そしてバレットを分裂させ、ディヴィジョンショットで先頭の4人を狙い撃った。
(まとめて凍ってもらうぜ。さっさとここを突破して、てめぇらの頭を潰さなきゃいけねぇんだ)
 フリーズバレットの威力を受け、邪教徒達の集団の足並みが崩れる。
 メティスはそれに重ね、ここぞとばかりに輝煌天翼に蓄えた魔力を解放した。
「ド派手に! ぶっぱと!! まいりましょーーーーーー!!!」
 魔力に輝く大きな翼。
 パニッシュメントクロスの光の十字架が何本も降り注ぎ、邪教徒達の集団を貫く。
 だが、これはあくまで相手の勢いを殺すのが目的だった。
(支援役が攻撃してくるなんて驚きましたか? でも、これで倒せるとは思っていませんよ。特に魔導具持ってる人、全然効いてなさそうですからね)
 指輪を手にした邪教徒は、メティスの十字架を耐え抜いたようだ。
 身体に力が入らなくなった周囲の者達の中で、1人だけ立っていた。
(これでいいんです! 私の攻撃が、皆さんの行動に繋げらるなら…!)
 立っているのが1人になった事で、オルトには標的を絞って攻撃することが可能になった。
 カラントボルトの術式を組み込んだ弾を銃に装てんすると、オルトはあぶり出された魔導具所有者を狙い撃った。
(捕まえてやったぜ。ちゃんと仕留めろよ、リーナ)
 魔力の鎖が邪教徒を拘束し、地面に縫い留める。
 リーナはすかさず相手に接近すると、大地を踏みしめ、全身の力を込めて思い切り蹴り飛ばした。
(ふむ……人族が人族を操り、己の利益のために魔族に与する……滑稽、かつ愚かだな)
 グラヴィガル・クララガンは、リーナが戦う様子を黙って見ていた。
 ドラゴンフォースの影響によりリーナが受ける反動を抑制すること。
 この場にグラヴィガルがここにいるのはそのためだった。
(愚か……だが、それを止めるために抗うのもまた人だというのならば、その姿、見届けさせてもらおうか。しかし、こちらは視察に徹しようというに、邪魔する者の多いことだ)
 手にしたクォーターエリクシルを弄びつつその場に佇むグラヴィガルに、武器を帯びた邪教徒達がじりじりと迫る。
 グラヴィガルは「うるさい」とばかりに地面を踏みしめると、自身の周囲の地面を揺らし、邪教徒達を蹴散らした。
 洗脳下にあると思しき邪教徒達はふらついて散り散りになる。
 だがその中に、1人だけその場に踏みとどまり、グラヴィガルを睨みつけている者がいた。
「なるほど……君もどうやら、リーナ達が探していた『魔法持ち』のようだな」
 構えの姿勢を取るグラヴィガルの手元に、ドラゴンクローが光る。
 邪教徒は武器に魔力を纏わせ、グラヴィガルに切りかかった。
 グラヴィガルはそれを鋭い爪で受け止めると、相手の正面に向かって二連撃を叩き込んだ。
「もう1人こっちにいたんだね! 加勢するよ!」
 リーナは邪教徒との距離を詰めると、グラヴィガルとは反対方向から蹴りを繰り出す。
 だが相手は身を翻し、武器でそれを受け止めた。
 その瞬間、バチバチ、と火花が弾けるのが見えた。
 魔神の加護を受けた魔導具、といった類のもののようだ。
 だがリーナの身につけた英雄のスカプラリオがその加護を破り、魔導具は砕け散った。
(洗脳して手駒にする……なるほど確かに有用な手だな。だが、それを易々と通しはしねえよ)
 オルトはカラントボルトを撃ち、遠距離からリーナの攻撃に重ねる。
 鎖に絡み取られる相手への好悪の感情はない。
(任務であり、依頼であるなら果たす、それだけだ)
 冒険者たちの奮闘により、邪教徒達は次第に数を減らしていたが、依然としてあちらの方は人数が多い。
「やることはたくさんあるわね~。2人も気をつけて~」
 ウィンク・ルリヴァーは仲間の武器にオータス・エウロギアの加護を施す。 
 それに対し、「油断はできないものね」とダイアナ・エルナイは口にした。
「ある意味、ヴェイロン軍の残党が相手だものね……今回も」
 森人の視聴覚を研ぎ澄まし、ダイアナは敵の動きを読む。
 そしてトラッカーガンにスネイクアローを装填し、向かってくる邪教徒達の足元に向かって撃った。
「アフロダ、止めたわよ!」
「任せて、ダイアナお姉様!」
 アフロダ・イウルスはスネイクアローに絡みつかれた邪教徒へと近づき、巡礼者の闘棍を振りかざす。
 そしてそのまま、地面に叩き伏せた。
「みなさい、このスピード感! このポテンシャル! 戦場を縦横無尽に駆ける、正にアフロダ無双よ!」
 倒れた敵の傍らに仁王立ちし、エッヘン、とふんぞり返るアフロダ。
 だがその横から、新手が飛び出してきた。
「ふふんっ! 岩をも砕く私のパワーが込められた、この闘棍による攻撃……あんたらが止めれる訳ないじゃん!!」
 アフロダは相手の攻撃を闘棍で受け流す。
 そして相手が体勢を立て直す前に、その頭部を闘棍で強かに打った。
 だが、さらに続けて数人の邪教徒達が向かってくる。
 アフロダは地面を強く踏み込み、アースクラックの衝撃波で邪教徒達を吹き飛ばした。
「大勢で向かってきたって、大したことないんだから!」
 バランスを崩した邪教徒達を、アフロダは容赦なく闘棍で打ち取っていく。
 だがその中の1人に迫った時、相手は近くにいた仲間を無理やり引き寄せ、盾にする様子を見せた。
(あの邪教徒は……どうやら、正気らしいわね)
 ダイアナは魔導具の指輪を帯びたその1人に狙いをつけると、トラッカーガンに装てんした弾をディヴィジョンショットで撃ち出した。
 分裂した弾は盾にされた者達をすり抜け、1人だけに見事命中した。
「私の前では、人を盾にする事は意味を成さないわ」
 被弾した相手を、ダイアナはすかさずカラントボルトで絡めとり、拘束する。
「この程度の魔力の鎖なら引き千切るのは容易いかも知れないわね……でも、一瞬でも動きを停めてしまうのは致命的なのよ」
「そうそう、お姉様の言う通り!」
 アフロダはそう言うと、鎖で拘束された相手を闘棍で思い切り殴りつける。
 そして他方 優は暗黒剣を手にし、周囲の邪教徒達をに向かって声を上げた。
「我が名は優! 『ロード・ザ・デイブレイク』の頭目にして“トロール殺し”の異名を持つ戦士なり!」
 優の目的は、彼ら「自ら従った」邪教徒達にその目的や理由を聞くことだった。
 傍らではウィンクが洗脳された者達にマインドキュアを施し、正気に戻して安全な遺跡の外への避難を促す。
 本当ならば戦闘が終わってから1人1人丁寧に癒しを与えたいところだが、周囲は混戦状態である。
 彼らを生かして救うには、そうするしかないようだ。
「無事に避難できるように、走れるくらい回復してあげるわ。気をつけて」
 サルベーションの聖域で囲い、ウィンクは洗脳から解放された者達に回復を施す。
 その向こうでは、ミネル・バオジョーが周囲の警戒を続けていた。
「この先も、わたくし達がうっかり足を置きそうな場所にはあの瘴気を吹く魔導具が仕掛けられているようですわ。奥へ進むときには、気を付けなければいけませんわね」
 ミネルは気配を消し、戦闘に巻き込まれないようにしながら仲間が危険に見舞われないように気を配り続けている。
 一方、優は自分達や仲間の冒険者たちに無力化された正気の邪教徒達に語り掛けていた。
「何故、魔神を崇拝してたんです? 何か事情があったんですか?」
 邪教徒達の属する教団がレガリスを脅かす新たな脅威となる可能性がある以上は、このまま捨て置く訳にはいかない。
 それと同時に、何故人族で崇拝する者がいるのか、その訳も知っておきたい。
 優はそう考えていたが、邪教徒達はなかなか口を開こうとしない態度だった。
「そこに居るウィンクなんてクレリックのくせに信仰心なんてほぼ皆無ですわよ?」
 ミネルはそう、優に助け舟とばかりに邪教徒達に声をかけた。
「神聖術で皆を癒したいって理由で、クレリックをやってるだけですもの」
「そうね。ミネルちゃんの言う通り~私はお医者さんだから皆を癒したくてクレリックをやってるわね~」
 ウィンクはそう言って微笑み、邪教徒達の目をじっと見つめる。
「………でも、私のささやかな願いに応えて皆を護り、癒す力を顕現させてくれているオータス様には感謝しているわ。それが信仰心かどうかは別だけれど……ね?」
 嘘ではない、という思いを込めてウィンクは語りかける。
 すると1人の邪教徒が、「立場が違うだけだ」と吐き捨てるように言った。
「アンタらにとってはオータスがその『私のささやかな願い』に応えてくださる存在なんだろうさ! だけど、俺達にしてくれたのはオータスじゃない。アンタらが『魔神』って呼んでるお方なんだよ!」
 自分の信仰する神こそが「神」なのだ。
 それは、オータスを拠り所とする教会に真っ向から対立する主張だった。
「……オータスに祈っても救われなかった。だから信じない。彼の言いたいのはそういう事だよ」
 別の、先ほどの者よりも少し温厚そうな邪教徒が言った。
 彼は乱暴な言葉ではなく、丁寧な言葉で自分達の立場をこう説明した。
「四元素を司る大精霊の上に、理を統べる者がいた。それこそが君たちの言う『魔神』であり、我々にとっては真に崇めなければならない創造神なんだ」
 分かるかね?
 邪教徒はそう言って話を続ける。
「立場が違う、とはそういう事さ。『魔神』はあくまで輝神教会がつけた都合のいい呼び名であり、我々にとっては創造神こそがオータスに相当する存在なのだ」
「そう……でしたか」
 優はそう小さくため息をついた。
 邪教徒の本音を聞けば、今後邪教徒になってしまう人を減らせるかも知れない。
 そう考えていた。
 だが――。
(しかしこれは、ジュリア陛下達の努力で解決出来る様な事なのだろうか?)
 レガリス王国を統べる者の顔を、優は思い浮かべる。
 これは思ったよりも、根深い問題なのではないか――と。
「だが一番は……ザザ様が力を与えてくださったことだ」
 別の邪教徒がそう口にした。
「自分達があの方についたのはそのためだ。そうでなければ……魔族になど」
 そう言って口を噤んだ邪教徒達の表情には、明らかに魔族への恐怖心が滲んでいた。
 アルヤァーガ・アベリアはマギアビジョンを通し、彼らのほかにまだいるであろう「まとめ役」の邪教徒を探した。
 魔力を帯びた者達を探すことで、主に邪教徒の集団の後方に魔導具を手にした者達がいることが分かった。
(リザードマン達と同じく、洗脳した手下を盾にするというわけか。やはり、操られている人族を救うには、彼らを倒さなければ)
 人数が多い。
 そう感じたアルヤァーガは、輝煌天翼の銀翼を広げ、蓄えられたその魔力を解放する。
 凪の鬨を銃形態にし、アルヤァーガはディヴィジョンショットで四分割して撃ち出す。
 そしてそれらを避け難い様に弾道を曲げ、敵の足などに命中させた。
(洗脳されている人族には、いったん退いてもらおう)
 強力な魔力を撃ち込まれ、人垣が崩れた向こうに人族のまとめ役を見つけたアルヤァーガは、銃に雷迅石を装填し直す。
 そして、アルゲングランスの術式を組み込み、撃ち出した。
(最大貫通力の一撃に、雷迅石の雷による麻痺……これなら)
 放たれた銃弾が真っすぐに飛ぶ。
 相手はそれを、自分の魔導具を盾に防ごうとした。
 だがアルヤァーガの弾の威力に耐え切れず、魔導具は粉々に砕け散った。
 魔族のメイジと違い、魔導具頼みの邪教徒は武器を奪われればただの人だ。
 彼はそのまま呆気なく降参の意を示したのだった。

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