■プロローグ■
――レガリス王国、アーバイン。
「ザザ。懐かしい名前ですね」
「そうか。貴様は魔導師ギルドの出だったな」
“魔貴族”アーロンはキャンベル伯への手紙を書きつつ、新参のダークエルフを見遣った。
「元、シグ様直下の魔導師。だが、俺はヤツのことを良く知らん。
貴様の知っていることを教えろ」
「シグ様の部下になる前は、傲慢のヤツでした。
自分こそが魔導師の頂点になるに相応しいと息巻いていて、確かに並の者では敵いませんでした」
「なるほど、シグ様に分からされたか」
「はい。その後はシグ様を妄信するようになり、あの方の側近となるべく修行に勤しんだようです」
相手が悪すぎる。
聞いた話では、シグはあの“時の魔王”の直弟子。
時の魔王は旧世界――竜の時代の竜神の巫女であり、魔導の深淵に近い七人の一人。
そして唯一、現代まで生き続けている存在。
「……いっそ改心して、シグの師にでも弟子入りすればよかろう。
最近、時の魔王がダレストリスで目撃されたと耳にしたぞ」
「おそらくそういう問題ではないでしょう。それこそ、次元が違い過ぎてザザの理解を超えてしまう」
「そういうものか?」
「そういうものです」
ザザと彼の率いる教団の情報。
ザザの情報と私見を記し、封蝋を押す。
「これを教会に持っていけ」
「えっ、私がですか?」
「何か不都合があるのか?」
「い、いえ……」
こうしてキャンベル伯領に情報提供がなされることとなった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】瘴気の罠1
【1】瘴気の罠2
【1】それぞれの「神」1
【1】それぞれの「神」2
【1】「救われたい」と願うもの1
【1】「救われたい」と願うもの2
【2】ザザとの戦い
【2】ノクシアとの戦い1
【2】ノクシアとの戦い2
【2】利用する者、される者1
【2】利用する者、される者2
【2】生贄1
【2】生贄2
【2】生贄3
【2】生贄4
【3】修道院遺跡探索1
【3】修道院遺跡探索2
【3】遺物とゴブリンメイジ1
【3】遺物とゴブリンメイジ2
【3】人々の発見と救出1
【3】人々の発見と救出2
エピローグ