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新クレギオン

亡霊の守る場所

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亡霊の守る場所
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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・侵入し、突破せよ 1


 四隻の輸送船が、小惑星グレイブに着陸する。
 どこに潜んでいたのか、あちこちからオートマタが湧いて出るように現れた。
 どうやらすべてクレーターに偽装している扉を守っているもののようだ。
 対応して、それぞれの輸送船からも人員が吐きだされる。
 オートマタたちは、侵入者は中には入れさせないとばかりに、まっすぐそれらに向かっていった。
 フォーチュン・マキシマ社で、侵入指揮を取るのはローザリア・フォルクングだ。

「……あのオートマタたちをどうにかしなければ、ままなりそうにありませんね。リューン、先行偵察をしながら引きつけてください」
「分かったわ! アタシに任せなさい!」

 答えたリューン・ソルシエールが、ちびドロイドを飛ばす。
 進撃するオートマタの何体かが、ちびドロイドに気づき撃墜しようと銃口を向ける。

「どうする? このままじゃ破壊されちゃうよ?」
「守りましょう。プリムラ、アイン、リンダ、ベータ。この四名で向かってください。デラバス、念のため三位一体の異能者もつけさせてくださいね」
「ああ、構わねぇ。行ってやれ」

 デラバス・オーダインが三位一体の異能者に指示を出して向かわせ、ローザリアへ視線を送る。

「さて、ムーンウォーカー隊リーダーとして、指揮官殿のお手並みを拝見させてもらおうか」
「まずは道を拓きましょう。辿りつかなければ話になりません」
「承知した。オレたちは破壊されたオートマタを弄りまわすとするかねぇ。ほら、いくぜ」
「DECOもお供するのです!」

 DECO・モリサマーを連れ、おっとり刀でデラバスも動きだす。
 とはいえ本格的に二人で活動を始めるのは、破壊されるオートマタが増えてきてからだ。

「デラバスがチームリーダー? 社員ですらないのに何故……?」

 プリムラ・F・ラニアが不思議そうに首を捻っている。
 とはいえ、一緒に戦えること自体は嬉しいようで、頬が緩んでいる。

「アタシは? アタシはこのあとどうすればいい?」
「偵察を続けてください。得た情報はなんでもいいので、くまなく私とプリムラたちに共有するように」
「了解!」

 リューンはローザリアの指示のもと、ちびドロイドを解して、侵入に適した入り口を探す。

「見つけた! オートマタの配置図に、入口と開閉装置の座標を回すわよ!」

 ちびドロイドが得た映像情報を、リューンは全員と共有させる。
 並行して、高機能スマートデバイスで入口周辺の地図を作りあげていった。

「通信を傍受される恐れがある。念のため、暗号化しておこう」

 リウ ツォンが盗聴対策を行い、作戦が筒抜けにならないようにした。
 地図を確認しつつ、ローザリアは思案する。

「オートマタの数に偏りが見られます。もしかすると数多くのオートマタが向かってくる先を辿っていけば、そこが入口かもしれません」
「これは提案なのだけれど。アウトレンジ攻撃で数を減らした後、火力を集中させて残りを確実に潰していくのはどうかしら」
「いいですね。試してみましょう。では、各自行動を開始してください」

 プリムラの提案は受けいれられ、ローザリアの号令で、フォーチュン・マキシマ社のほぼ全員が一斉に動きだす。

「シートベルトはつけたね? 飛ばすよ!」

 車体を装甲板で補強した小型ヴィーグル・リンダカスタムを運転するリンダ・マリシタットが、プリムラやベータリア・フォルクングアイン・ハートビーツといった面々を乗せて扉があるクレーターをめざして突っ走る。
 あらぬ方向から飛来したロケット弾が、オートマタを爆散させる。
 見れば、撃ったばかりなのか噴煙を立ちのぼらせている対装甲ロケットランチャーを手にしたリューンが、親指をたてている。
 どうやら偵察のついでに援護砲撃してくれたようだ。

「マルチロックオン……! 逃がさないわ!」

 窓から限界まで身を乗りだしたプリムラが、同乗する味方が発射の影響に巻きこまれないよう注意しながらミサイルを一斉発射した。
 白い墳進煙をあげながら、ミサイル群が複雑な軌道を描いて飛び、それぞれの目標に定められたオートマタへ向かっていく。
 オートマタたちも迎撃のため、銃撃を開始した。
 途中で爆発するミサイルも出たが、その多くは見事オートマタへ直撃する。
 間髪入れず放たれるのは、ブラックホール・バースターだ。
 重力場が歪み、マイクロブラックホールを発生させる。

「撃ちぬく!」

 引き金を引いた反動で車内から吹きとびそうになるプリムラを、横に座っていたベータリアがしっかりと支える。
 着弾したオートマタを中心に重力異常が発生し、オートマタごと地面を陥没させ押しつぶす。
 動けなくなって火花をあげるオートマタを轢き、完全に沈黙させながら小型ヴィーグル・リンダカスタムを運転するリンダは、ハンドルを右へ左へ自由自在に切り、砲火のなかを一度も直撃を許さず駆けぬけさせる。
 最後はドリフトを行い、きっちりクレーターの前で停車した。

「着いたよ! 出て!」

 リンダが運転席からすべてのドアを全開放する。
 自身も含め、乗っていた四名全員が同時に外へ飛びだした。
 真っ先にオートマタに接敵したのは、先ほど砲撃時にプリムラを支えたベータリアだった。

「いかに数が多いといえど、ローザの指揮があれば私たちに敗北はありません」

 銃撃して足を止めようとしてくるオートマタたちに対し、逆にベータリアは航宙機動スラスターで逆に加速し、弾丸を避けつつ一気に距離を詰めた。
 つめ寄られた一体がブレードを展開し斬りかかってくるのを、身を屈めてやり過ごしつつ、すり抜けざまに高振動グルカ・ナイフを一閃する。 切断されたブレードが宙を舞い、それが地面に突きたつよりも早く、ベータリアは反転して追撃し、オートマタに飛びかかっていた。
 苦しまぎれの乱れうちを冷静に当たるものだけ斬りはらい、返す刃で駆動部に高振動グルカ・ナイフを突きたて捻る。
 その場をベータリアが飛びのくと同時に、火花を上げたオートマタが爆発した。
 ベータリアが斬りこんで時間を稼いでいるあいだに、リンダは小型ヴィーグル・リンダカスタムを防壁がわりにしながら、援護に努めた。

「それじゃあ、お願いね!」

 展開されたサイ・ドローンが、複雑な軌道を描きながらベータリアの周囲を飛行し、その動きに合わせて隙を埋めるかのごとく入れかわり立ちかわり斬りかかる。
 さらに遅れて到着したデラバスの三位一体の異能者が、霊的思念を集めて力を高めるとフィールドを張りめぐらせ、癒しを振りまく。
 これらにより、ベータリアは余裕ができた。

「……まとめて掃討します」

 体内にしこまれた銃器が一斉解放される。
 それらを両手に一つずつ手にしたベーダリアがその場で猛回転し、周囲に弾丸を放射状にばらまいた。
 すべての銃器が使われるまで、弾切れはない。
 銃撃音が繋がって響きわたり、弾丸の嵐がオートマタに吹きつけた。
 積極的に戦うプリムラやベータリアの背後から、アインはちまちまとアンチシールドレーザーを放ってオートマタを牽制する。

「こうして来たはいいけど、戦いは専門外なんだよね……。やっぱりボクはボクにできることで貢献するとしよう」

 射撃をやめてアンチシールドレーザーをしまったアインの視界が、仮想現実のように数字であふれた。
 ウェアラブルコンピューターに、アインの脳神経が接続されたのだ。

「とはいっても、アイドルのボクにできることなんて、こうして歌って踊ることくらいなんだけどね」

 振りつけつきでアインが歌いはじめると、周囲のオートマタの動きが精彩を欠いた。
 歌のデータを送り込むことによって、オートマタの処理能力を鈍らせたのだった。
 このような離れ業が出来るのもファントムと同じくオートマタたちもまた老朽化していることがあったのかも知れない。
 やがてアインの周囲にいたオートマタのうち、一機がアインに背を向け別のオートマタへ襲いかかった。
 ハッキングされたオートマタは集中攻撃を受け、今にも機能停止に陥りそうなものの、壊れるまでのあいだは誰も気兼ねなく、被弾を心配せず攻撃に全力を注ぐことができた。
 オートマタを味方につけようとしていたのはアインだけではない。
 扉があるクレーター周辺、つまりリンダやプリムラ、ベータリア、アインといった面々が戦っている最前線から少し離れ、デラバスとDECOもその準備を進めていた。
 DECOのちびドロイドが、空から破壊されたオートマタの状態を見て、ジャンクとして回収できそうな部品にあたりをつけていく。

「今から座標を送るのです!」

 見つけたオートマタの残骸がある位置を知らせ、デラバスと一緒に向かった。

「よし、こいつか。二人でやるぞ」
「任せてくださいなのです!」

 到着したデラバスとDECOは、二人がかりで協力しながら、破壊されて沈黙したオートマタたちを解体していく。

「使えそうな部品は片っ端から抜きとれよ」
「これなんかどうなのです?」

 オートマタの残骸から、DECOがなにかのコードを引っぱりだす。
 端子から端子まで繋がっており、見た目ではとくに断線している様子もない。

「いいぞ、その調子で頼む!」

 デラバスも、破損した基盤から半導体チップを取りはずしている。
 回収の対象は、内部部品だけではない。

「外装はどうするです?」
「穴が開いてたり歪んでいるものは放置でいい。そうでないものは、持てる範囲で頼む」

 二人にとっては、オートマタの装甲も宝の山だ。
 無数のオートマタから集めた装甲で外装を組みあげ、内部に基盤を設置し、そこに部品を一つひとつ、つけていく。
 継ぎ接ぎの見た目以外、他のものと大して変わらないオートマタが完成した。
 だが、この状態では再起動に成功したところで敵であることには変わりない。
 ここからが肝心だ。
 DECOが脳神経とオートマタを直結させ、アクセス通路を強引に開いているうちに、デラバスがメンテナンス用バックドアからオートマタにハッキングをしかけてセキュリティを破り、敵味方の認識情報を書きかえて再起動させた。
 所詮はジャンクの寄せあつめなのでそのうち壊れるだろうが、戦闘中持てばそれでいい。

「よしよし、やっぱオレって天才だな!」

 オートマタ同士で同士討ちが始まるのを見ながら、デレバスは快哉をあげる。
 まあ、所詮は機械なので話ができるようになるわけではないし、オートマタのすべてがこれで分かるわけでもないものの、それでも十分すぎる戦果だろう。
 しばらくすれば、クレーター周辺のオートマタは大体一掃された。
 また周囲から流れてくることが予想されるので、安全というわけではないものの、作業をするなら今だ。
 歩きだすローザリアの後ろを、オプトコンバットスーツの光学迷彩機能を活用し、障害物による遮蔽も利用しながらミシェル・キサラギがついていく。
 さらに二人の後ろからは、身を隠して周囲を警戒しつつリウもやってきた。

「ハッキングによる解析はデラバス、DECO、ミシェル、リウでお願いします。デラバスとDECOはすでにオートマタのハッキングもしていますから、ミシェルとリウが中心になってください」
「ええ、任せておいて」
「皆が戦っているうちに、俺たちで扉を開けないとな」

 ローザリアのいうとおり、ここからはミシェルとリウの出番だ。
 まずはリウが脳神経とウェアラブルコンピューターを繋いで情報処理速度を上昇させ、クレーターの扉を開閉制御する端末にハッキングをしかける。
 リウの視界が切りかわり、いくつものウインドウが浮かびあがった。
 手元に仮想キーボードが現れ、視線移動に合わせてカーソルが右へ左へ移動する。

「……よし」

 軽く感触を確かめると、リウは凄い勢いでキーボードを叩きはじめた。
 プログラムコードを入力しているのだ。
 リウの視線は手元のキーボードではなく、風景に重ねあわせるように表示された数々のウインドウへ向けられている。

「まずはオートマタの統制装置にアクセスできるかだが……駄目だな、この機械にはそもそも権限がないらしい。内部に入らないとダメみたいだ」

 表示されたエラーコードを見て、リウが入力したコードを消去し新たなコードを入力する。
 オートマタのデータリンクにこそ触れなかったものの、データベースに潜りこんでオートマタの情報を引きだすことに成功した。

「やはり、あのオートマタたちは扉やこの開閉装置に近づくものを優先対象にするようだ」
「となると、今の私たちは最優先で狙われますね」
「そういうことだ。今のうちに済ませよう」

 途中でリウの手が止まる。

「どうしました?」

 リウと同じように仮想キーボードでコードを撃ちこみ、開閉プログラムへの進入を試みていたミシェルが不思議そうにふり返る。

「駄目だ。扉の開閉パスワードを求められたが攻勢防壁がある。何度も間違えればウイルスを送りこまれて俺たちは行動不能、周囲からはオートマタが大量に……などということになりかねん」
「となると、その攻勢防壁をいなしつつ解除を試さなければなりませんか。私の出番ですね」
「ああ、頼む。俺もできる限り急ぐ」
「ええ、期待していますよ」

 明確に役割分担を決め、リウはロック解除、ミシェルは攻勢防壁の対応に取りかかった。

「扉のロック解除方法は……パスワードか。普通にやっていたら日が暮れる。いや、それより先に俺たちがウイルスにやられるな」
「ウイルスの浸透を遅らせます。私たちの端末を通じて脳に入られるまでに、ロックを解除して接続を切断できれば勝利です。……始めますよ」

 ミシェルがキーボードを叩き、パスワード解除プログラムを組みあげてリウに送った。
 リウがプログラムを併用してパスワードの入力を始め、瞬く間にエラー表示でウインドウを埋めつくす。
 同時にミシェルの高機能スマートデバイスとリウのウェアラブルコンピューターにウイルスが侵入し、二つの端末のセキュリティがそれを感知した。

「入ってきたぞ」
「貴方がプログラムと並行して総当たりで参照しているあいだ、私は脳へのアクセスを防ぎます。あとは、すべての侵入口を断ってしまうとどこからクラックされるか分からなくなりますから、わざと一つを開けておいて最短ルートを塞ぎます。手動で経路を切りかえて、無駄に遠回りさせて時間を稼ぎますよ」
「分かった」

 ミシェルのウインドウ上で、ウイルスの侵食とセキュリティによる消去がせめぎ合っている。
 なにもしなければ、速度差ですぐにミシェルとリウの防壁は突破されてしまうだろう。
 そのために、ミシェルは手動でウイルスの侵食方向をコントロールし、浸透を遅らせることによってセキュリティがウイルスを消去する時間を稼ぐ。
 そのあいだも、リウがエラー表示を量産してロックの解除を試みていた。
 だが状況は待ってくれず、周囲から新たにわらわらとオートマタたちが集まってくる。
 リンダやプリムラ、ベータリア、アインといった面々が中心となって応戦するものの、いささか数が多い。
 そこへ、オートマタたちの横あいから援護射撃が突きささる。
 クロコディスゴールドを手にロイド・ベンサムが立っていた。

「フォーチュン・マキシマ社のよしみです。助太刀しますよ」
「ありがとうございます。あとは突入組の面々を送るだけです。頑張りましょう」

 一同を代表してローザリアが答え、礼を述べる。
 ロイドは素早くオートマタへ照準を合わせると、ミシェルとロイを狙うオートマタに弾丸を撃ちこんで黙らせ、流れるような動作で携行型レーザーカッターを引きぬくと、近づいてくるオートマタの腕を斬りおとした。
 ローザリアの指揮のもと動く一行と、即席ながらロイドはよい連携を見せる。
 扉のロック解除を試みるリウとその時間を稼いでいるミシェルを守りきることこそが肝要と理解し、近づくオートマタたちに対し的確に優先順位をつけ、排除していく。
 ときには二人を庇い身を挺して防弾防刃ベストで弾丸を受けとめるなど、献身的に動いた。

「突破したぞ!」
「っ! 遮断します!」

 ロック解除に成功したリウが扉を開けると同時に、ミシェルが二人の端末を強制切断する。
 あらゆる通信から隔離された端末のなかで、行き場を失ったウイルスがセキュリティによって駆逐されていった。

「今回の電子戦のデータをバックアップしておきました。後々、諜報や撹乱の対抗プログラム作成に役立つかもしれません」

 満足そうな表情で、ミシェルは履歴データをコピーしたデータチップを高機能スマートデバイスから抜きとった。


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