クリエイティブRPG

新クレギオン

亡霊の守る場所

リアクション公開中!

亡霊の守る場所
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
リアクション
First Prev  9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19  Next Last

 邂逅・3
 
「皆さんが調査に集中できるよう、僕が護衛を務めましょう。長距離攻撃はお任せください」
 レオン・ダストルガは、フォーチュン・マキシマ社に所属する【ディープシーカー】のメンバーを見つけると、自分を護衛に使ってもらおうと考え合流することにした。建物を目指すところまでは順調に進み、この後は建物の攻略へ向かうグループが分離することを知ると、彼らの殿を務めるようにしながら突入を果たす。
 少し後からは、他勢力の者たちも建物の攻略をしようと向かっていた。
 
(レーザー装置……見つけた)
 剣堂 愛菜は建物内に踏み込むと、天井や壁の上部に目を凝らしていた。レーザーで侵入者を狙うなら、高所に設置するのが定石だろうと考えてのことだったが、その目論見はやはり正しかったようだ。
 所属するネトヘス義賊団の仲間のため、自らが突破口を開こうと考えていた愛菜は、迷うことなくレーザーの破壊行動に出る。床を踏み切るようにして大きく跳躍した愛菜は、高度が下がる前に航宙機動スラスターの推進力を得てより高所へ上り詰める。レーザーのほぼ真正面に来たことで直撃を受けてしまったが、愛菜は痛みを押し殺してヴォルカニックアクセルを叩きこんだ。愛菜の拳を受けたレーザーはあっという間に粉砕され、上から攻撃される驚異がなくなった愛菜は、下で待ち受けるパワードスーツの動きを見極め確実に回避していく。
 そしてレーザーが先ほどの1基だけであるはずはないだろうからと、愛菜はパワードスーツの動きに注意を払いながら、他のレーザーがどこにあるか特定しようとする。
 しかし、パワードスーツの攻撃を避けたはずの愛菜は、背後から受けた痛みに呻くとその場に倒れてしまった。
「油断しましたね! いただきましたよ!」
 諏訪部 楓は、パワードスーツの攻撃に紛れるようにして撃ったエレファント・ガンで愛菜を倒してみせると、自身はその攻撃を振り切って先へ進もうとする。だが、愛菜が交戦していた音を聞きつけ引き返してきたか、レオンがパワードスーツを挟んで立ち塞がった。
 それを見た楓は、渡りに船とばかりに銃を構える。楓の目的は建物の制圧よりも、他組織の妨害をしてペンタクラン・ファミリーの脅威を知らしめることにあったからだ。
「ペンタクランの恐ろしさ、思い知らせてやりますよ」
 一方でパワードスーツも同時に現れた侵入者に向けて攻撃を仕掛けるが、楓はそれに向かって放射状の電撃を放って応戦し、レオンも反射的にそれを避けてダメージを免れる。そしてレオンは即座に楓への反撃をしようとしたが、楓はパワードスーツの影に身を潜ませていたため、姿を見失ってしまった。
 楓は再び捕捉される前にパワードスーツの影から飛び出すと、レオンに弾丸を撃ち込んだ。放たれた弾丸は通常より火薬量を増やしたことで威力を増していたためか、被弾したレオンは後方の壁に激突したまま動かなくなった。
 そして今度こそパワードスーツをすり抜けると、建物の奥へと走り出した。
 
 その頃【ディープシーカー】は、白森 涼姫が生体LANジャックで接続したウェアラブルコンピューターを使い、周囲のマッピングに努めていた。
 ミラ・ヴァンスも周囲の状況を目視で確認し、罠や隠し扉の類がないか探っていく。二人の探索で機能が生きている施設を発見した仲間たちは、そこでさらに綿密な調査を始めることにした。
 ウェアラブルコンピューターを起動した真毬 雨海は、作業中に無防備な姿をさらさないようオプトコンバットスーツで迷彩を施すと、建物のシステムに残されているマップを抽出し仲間に見せる。
 それを確認したヒルデガルド・ガードナーは、工作員としての経験則から重要と思われる個所をいくつかピックアップしてみせ、乙町 空もそれを補足するように周辺の警備状況の予測を口にする。
「お宝探しって、ロマンよねぇ♪
 ……ココとココ。あとココに空間がありそう。載ってないけど」
「警護の専門家としては、この辺りを重点的に警戒するかと思います……いかがでしょうか、警部」
「そうだな、良い視点だ」
 周囲をちびドロイドで偵察しながら、スマホで建物の外にいる仲間と状況確認しあっていたジェイク・ギデスも、仲間の指摘に同意を示す。
 当面の探索方針が決まったところで、雨海は警備システムを乗っ取ろうとさらなるハッキングを仕掛けてみるが、雨海の能力を使ってもそれは叶わず、またシステムを無力化しようにもわずかな時間に留まるようだった。
 ともあれハッキングでそれなりの成果を手にした【ディープシーカー】は、さらなる探索を開始しようとする。だが、その時ミラが何らかの危険を予知して警告を発した。
「何か来るよ!」
 直後、ミラが張った光の壁にサムライソードの刃が振り下ろされる。
「くっ、気付かれたか」
初撃を防がれた草薙 大和はすぐにその場を離れると、後ろからついて来ていたリーニャ・クラフレットへ先に進むよう目配せする。
 リーニャはそれに頷くと、アンチシールドレーザーを構えたヒルデガルドを牽制するように強力なレーザーを放ち、視界を塞いだ隙をついて走り出した。
「リーニャさんの邪魔はさせないですよ!」
 そして草薙 コロナはリーニャが追い付かれる前に立ちふさがると、サムライソードを振り回しながら走ることでレーザーの注意を引いて攪乱に出る。次々撃ち出されるレーザーから涼姫と雨海を守るため、ミラはパーソナル・シールドを展開して防御に専念する。涼姫もグラビティ・アイの重力操作でコロナの動きを止めようとするが、コロナの身体能力の高さに追い付けないためか捕捉に手間取っているようだ。
 戦闘が大きくなる気配を感じた空は、非戦闘員である星野 空兎ギルニー・クレイソンを守るように前に立つとシールドを展開し、いつでも攻撃に対処できるように周囲を警戒し始める。小池 千津もまた仲間を守るためのフィールドを展開し、
「彼らに指一本触れさせません」
 コロナを凍結させようと大気中の熱を操り出した。そしてオプトコンバットスーツで姿をくらませたジェイクの代わりに、幻影のジェイクを作り出すと、本人を極力安全な場所に待機させる。大和はそうした状況からパーソナル・シールドの影響で動けないミラたちに狙いをつける。レーザーの向きを確認しながら刀で斬りつけるとすぐ離脱した大和は、レーザー攻撃にミラたちをさらしていく。
 その攻撃の連続にミラはじりじりと後退するように動いてしまい、シールドの効果が切れてしまった。その瞬間を狙っていた大和はミラを斬りつけると、続けて涼姫にも仕掛けていこうとするが、それは電磁砲の応戦で相殺された。
 しかし、ミラは千津が回復に回るより早く戦闘不能となったため、守りの一画は崩れている。大和はその勢いでさらなる攻撃に出ようとしたが、それを物陰に潜んでいた信貴・ターナーに妨害されてしまった。鉱夫の鉄槌の襲撃を躱しきれなかった大和は、気勢を削がれたように後方へ退いた。それを狙ってヒルデガルドが涅を放ち、大和を徐々に追い詰めていく。
 だが、そこへエレファント・ガンからの狙いすました銃撃が襲いかかり、ヒルデガルドを追い込んだ。【ディープシーカー】と大和たちの戦闘に割り込んだ楓は、暗器も交えながらヒルデガルドを追撃する。
 それを咄嗟の判断で回避したヒルデガルドは自力で千津のいる場所まで下がり、そこで治療に専念する。それと入れ替わるように進み出た信貴は、楓の胸部を狙うようにして暗器を繰り出していく。それを瞬時に察して避けた楓は、信貴の頭部を狙った狙撃を返す。そうした攻防が繰り返される中、涼姫が楓を狙って電磁砲を放つが、元より深追いするつもりのなかった楓はそれに気づいて身を翻すと、早々に退却をした。
 これで戦場には再び大和とコロナが残され、コロナはなおも戦場を大胆に動き回って攪乱に出る。コロナの動きに反応したレーザーは次々と照射され、この場にいる侵入者たちを排除しようとした。
 その隙を狙って走り込んできたのは、苺炎・クロイツイゾルデ・シュミット。パワードスーツを引き付けながら現れたイゾルデは、レーザーや【ディープシーカー】のメンバーを捕捉できるだけロックオンすると、ミサイル攻撃を浴びせていく。
 それで戦場が混乱した隙をついて苺炎を抱え上げると、リーニャの後を追うようにして走り去った。
 結果として大きな足止めを食った【ディープシーカー】は、小惑星の主人の説得に当たる空兎とギルニー、それをサポートするジェイクと空、戦闘の心得のある涼姫だけに先を行かせることにした。
 彼らを見送った千津はヒルデガルドの治療を済ませると、いつでもフォローできるように前衛の様子を見守る。
 こうして戦場には足止めに残った【ディープシーカー】のメンバー、大和とコロナ、建物の守護者たちが入り乱れ、仲間が目的を果たすことを願いながら戦いを続けるのだった。
 
 いち早く管理施設の方向まで向かっていたリーニャは、研ぎ澄ませた視覚や聴覚でパワードスーツとの戦闘を避けながら進んでいたものの、探索の用意が乏しかったためか目的地までなかなかたどり着けないでいた。
 その結果、後続の苺炎とイゾルデに追い付かれ、ついには管理施設目前で【ディープシーカー】にも追い付かれてしまった。
 【ディープシーカー】の接近に気づいたリーニャは、放射線状に放った電撃で足止めを狙う。苺炎もリーニャとイゾルデの戦意を高めるように応援し、それに活力を得たイゾルデは天井近くまで飛翔すると弾丸を降り注がせる。
 それをシックスセンスで察知したジェイクが素早く声を上げると、空はすぐに空兎とギルニーを守るように立ち回り、涼姫はジェイクを後ろにするような立ち位置から電磁砲の応戦を見せる。
 戦闘能力を持たない苺炎は、両者が交戦している隙に安全圏へ避難しようとするが、それを目ざとく見つけた涼姫のグラビティ・アイで重力を増大させられ動けなくなった。苺炎の危機を察して注意を逸らしてしまったイゾルデは、上空から降りてきたところを電磁砲に撃ち抜かれて倒れる。
 リーニャは一人でも先へ進もうと、レーザーの閃光で相手の視界を奪った隙に走り出すが、それを予知していた空がリーニャを取り押さえて気絶させた。
 こうしてついに管理施設まで着いた【ディープシーカー】は、小惑星の主人――セイクリッドと出会った。
 セイクリッドと話し合う予定のない涼姫は、邪魔にならないようにしながらウェアラブルコンピューターをシステムに繋いで情報収集を始める。
 ジェイクもまたその近辺を見回りながら、持ち出せそうな資料がないか探したり、グレイブの謎に関係しそうな手がかりを丹念に調べ上げていた。
 その頃、セイクリッドの前には空兎とギルニーが立っていた。護衛役として一緒に来ていた空は、いざという時動ける位置につきながらも、戦う意思がないことを示すため武装解除していく。
 それを不安を隠そうともせず見つめるセイクリッドに、ギルニーが自らの名を名乗りながら、現在の状況を手短に説明する。外でどのようなことが起きていたのか、把握していたのだろう、セイクリッドは大きな動揺を見せることなく話を聞いていた。
 その様子からもう少し踏み込んだ話をしても良さそうだと判断したギルニーは、
「俺達は正義の味方でも、手段を選ばない非道な奴らでもない。ただの普通のサラリーマンだ。俺達は普通の幸せを願う。出来るならあんたを助けたい。どうすれば助けることになるのか教えてくれ」
 そう言って、小惑星の主人としてどうしたいのかを尋ねてみる。

「あなたたちのように自由になりたい。
 その想いはあります。
 ただ、私はこの星に残された最後の一人です。

 皆様がファントムと呼ぶあの機体のパイロットも含め 多くの者たちの意思がこの星にはあるのです」
 
 セイクリッドはこれまで訪れた者たちに対してと同じく、旅を続けるべきか否かを悩んでいると答えた。
 それに頷いたギルニーは、
「出来れば一緒に来てくれると嬉しいが、あんたの望むようにしよう。誰かを弔うことが必要なら、必ずそうしよう。ここが誰かの眠る場所なら。もし、あんたに命があるなら、そうでなくとも意志が、意識があるなら。生きる方がいいと思うぜ。あんたが『生きる』ことが、きっと一番の弔いになるからな。一緒に来てくれたら嬉しいぜ」

「……」

 決して無理強いにならないよう意識しながら、自分たちを信じてほしいとセイクリッドに言葉を重ねた。
 隣で会話を見守っていた空兎も、セイクリッドの背中を押すように言葉を添える。

「平穏を望むのであれば、フォーチュン・マキシマ社なら可能です。平穏は既に破られている上、このまま蹂躙されて防御機能がなくなると、次の移動先でまた襲われても対処が効きません。ここにいると、平穏とは掛け離れた生活になるでしょう」
 これまでの孤独を少しでも埋められるように願いながらも、現実をしっかり見据えた話をする。

「分かりました。
 私はあなたたちの言うように『生きたい』。
 ――だから」

 ギルニーと空兎の話を黙って聞いていたセイクリッドだったが、やがてひとつ首を縦に振る。それはとても微かな動きではあったが、少女の確かな決意の表れだった。

 その次の瞬間、セイクリッドの意思によって
 小惑星グレイブは次のジャンプに向けた動きを止めた。

 こうして小惑星グレイブは、長い長い旅に幕を下ろした。
First Prev  9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19  Next Last