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新クレギオン

亡霊の守る場所

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亡霊の守る場所
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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・内部を探索する者たち 4


 ペンタクラン・ファミリーの構成員の何名かは、思い思いに自由な行動を取っていた。
 たとえば小惑星グレイブ内を探索するユファラス・ディア・ラナフィーネは、あえて中央の建物を避けている。
 無人パワードスーツに守られていることから、明らかになにかあることを匂わせているが、ここまで分かりやすい場所を狙うのも面白くないという気持ちがあった。

「どうせなら、確実な本命というより、博打に近い穴場を探したいよな」

 高機能スマートデバイスには、ユファラスが今まで歩いてきた道が地図となって表示されている。
 この地図情報は、ARデバイスを解してリアルタイムで更新されながらユファラスの視界情報として表示されていた。

「おっ……ここ、空白があるぞ……どこにも入口はないけど」

 不自然な地図の空きに気づいたユファラスは、さっそく調査を始める。
 そこは、一面の緑に覆われた壁だった。
 長い年月で侵食され、蔓同士ががんじがらめに絡まりあい、完全に元の壁が見えない。
 試しに蔓をつかんでも、成長しすぎているせいかびくともしなかった。
 それなりに力をこめなければ駄目そうだ。
 無理やり引きちぎれば、その下にさらに蔓。

「……まあ、やるか」

 蔓を丁寧に切除していくと、通路が新たに見つかった。
 意図的に隠されていたというより、植物によって勝手に隠された感じなので期待感は薄いものの、隠し通路は隠し通路である。
 意気揚々と、ユファラスは進んでいった。
 また、マリン・ムーンリースダークロイド・ラビリンスエナ・コーラルレインスノウダスト・ラビリンスの四人は、中央建物の周辺でパワードスーツに見つかり、絶賛逃走中だった。

「ずっと追いかけてきますよー! どうしましょう!」

 殿を走るマリンが背後をふり返り、パワードスーツの群れを見て表情を引きつらせた。

「ここまで来たら倒すしかないだろう。マリン、ワタシたちで前衛を張るぞ。スノウは後ろから異能で援護を頼む。エナ、回復を任せた」

 矢継ぎ早に指示を出したダークロイドが、反転してパワードスーツの群れに向かっていく。
 ダークロイドにマリンも続き、エナがスタメナポーチを開いて中身の各種薬をいつでも使えるようにする。

「まずは私から! これでもくらってくださーい!」

 マリンのブラックホール・バースターから、超重力の塊が発射される。
 禍々しい光を放ちから飛んだ極小の弾丸は、四人を追いかけていたパワードスーツのうちの一体に直撃する。
 瞬間、解放されたマイクロブラックホールがそのパワードスーツを圧壊した。

「やるじゃないか、マリン!」

 続いてヴァルハラ・ライザーによって強化されている身体能力を生かし、マリンが引きさいた陣形の穴をさらにひき裂くように、ダークロイドが飛びこんでパワードスーツの一体をブラスナックルで殴りつけた。
 すぐに身を落としてしゃがみ、足払いの姿勢を取ると、頭上を他のパワードスーツたちの弾丸が通過していく。

「悪いが当たってはやれん!」

 回避と次の予備動作を一体化させたダークロイドに足元を刈られ、バランスを崩したパワードスーツは、さらにダークロイドに密着された。
 もう、装甲とダークロイドの鼻が触れそうな位置だ。
 ブラスナックルを装着した掌が、装甲の表面に添えられている。

「フンッ!」

 次の瞬間、重い踏みこみ音と共にダークロイドが掌底を叩きこむと、パワードスーツの巨体が衝撃で浮きあがる。
 衝撃が余さず装甲の内側に流しこまれ、内部からパワードスーツが破砕された。
 また別のパワードスーツが銃口をダークロイドに向けるも、そのパワードスーツはなにかをぶつけられたかのように不可視の衝撃をくらい、よろめいてバランスを崩し、発射には至らなかった。
 スノウダストが衝撃波を発射して、パワードスーツを牽制したのだ。

「任されたからには、しっかりやりますよ」

 ほほえんだスノウダストが、自分へ向けられた銃撃を、光の障壁でしっかりと防ぐ。

「……少し、本気を出しましょうか」

 大きく息を吸いこみ精神を統一したスノウダストの背後の光景が揺らめきを帯びる。
 それは初めは一か所だったが、みるみるうちにその数を増していく。
 揺らめきの正体は、その一つ一つが異能によって生まれた不可視の衝撃波だ。

「いきます。射線を空けてください」
「おう!」
「思いっきりやっちゃってください!」

 前方で戦っていたダークロイドとマリンが同時に左右に飛びのく。
 もう、スノウダストとパワードスーツたちのあいだに遮るものはなにもない。

「……痛いですよ」

 つるべ撃ちされた不可視の衝撃波が、パワードスーツの装甲をみるみるうちに凹ませスクラップに変えていく。
 手傷を負ったパワードスーツたちは、銃撃で牽制しながらスノウダストとエナを狙い、間合いを詰めてきた。

「わ、わ、こっち来たですぅ~」

 携行型レーザーカッターを引きぬいたエナが、近づいてきたパワードスーツたちのうち一体を切断する。

「今のうちですぅ」
「そうですね。僕たちは下がりましょうか」

 すぐにバッテリー切れになってしまったものの、思わぬ反撃を受けたパワードスーツたちの足が止まり、そのあいだにエナとスノウダストは距離を取る。
 同時にパワードスーツたちの足元に放物線を描きながらグレネードが落ちてきて、破裂し毒ガスをまき散らした。

「汚物は消毒です!」

 ジェット噴射で高速飛行してきたマリンが、灼熱の火炎放射をまき散らし毒ガスごとパワードスーツたちを焼きつくした。

「治療するですぅ~。特に、ダクちゃんとマリ姉は前衛だから、しっかり回復しなきゃダメですよぉ~」

 パワードスーツたちがすべて沈黙したことを確認して、エナがダークロイドとマリンへ駆けより、スタメナポーチから薬や包帯を取りだして甲斐甲斐しく処置を始める。
 ダークロイドもマリンも直撃は受けていないので、あるのは掠り傷などの軽傷のみだったが、些細な油断がなにに繋がるか分からない。
 エナはきっちり丁寧に、傷の手当てを行うのだった。


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