■プロローグ■
――数日前。
「なんだあれは? まさか、竜?」
「馬鹿言え。竜は聖戦よりも前の伝説の存在だ。いるわけないだろ。
魔障壁を越えてきたワイバーンってとこか」
レガリス城の警備についていた王国騎士が、速やかに伝令に命じた。
「あれは偵察だ。俺らが平和ボケしていると思ったらおめでたいもんだ。
教会には守護結界の強化を要請。場内の対空設備の展開も騎士団長にお伝えしろ」
「はっ!」
全盛期に比べ、レガリスの国力は落ちた。国内外からそういう声は上がっているが、王国騎士団の質は落ちていない。
北――魔障壁での戦闘も経験している身として、騎士にはその自負があった。
だが、
「おや、何をしておられるのですか? 間もなく空から敵が来ます。中にお戻りくだ……!」
騎士は思いもよらぬ人物から不意打ちを受けた。
「な、なぜ……!」
「そうだな。あえて理由を言うなら“魔が差した”、ってところか」
出血が酷い。急所を突かれた。もはや助かりはしない。
それでも、騎士はこの裏切り者を知らせようとした。
だが、それは叶わなかった。
「準備は整いました。ヴェイロン様、これよりこの都はあなた様のものです」
■目次■
プロローグ・目次
【1】ダヌビス河の死闘
【1】命綱
【1】より安全に
【1】大規模渡河作戦
【1】露見
【1】魔族の襲来
【2】遺跡探索1
【2】遺跡探索2
【2】遺跡探索3
【2】遺跡探索4
【2】遺跡探索5
【2】遺跡探索6
【2】最奥の扉
【2】ダークエルフの襲撃1
【2】ダークエルフの襲撃2
【2】脱出
【3】準備編
【3】風穴部隊
【3】群がるアンデッド
【3】奪還者たちの水面下の戦い
【3】大宝玉を奪還せよ!1
【3】大宝玉を奪還せよ!2
【3】大宝玉を奪還せよ!3
【3】逃走
エピローグ