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アバターリミット3

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アバターリミット3
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ワンダーランドのビジョン 1


 かつて「昼」と「夜」が反転し合っていた世界ワンダーランド。
 いつしか裏のワンダーランドは陽が昇らず「夜」が明けない、表の“鏡の国”のようになっていた。つまり、裏の鏡の国は昼の世界ということになる。
 そのようなビジョンを感じ取ったのは【物語の栞】の愚者 行進ルイーザ・キャロルルキナ・クレマティス
 その3人は裏アイテムの所有者である。

「やぁ! 美少女(笑)ことリデル。久しぶりだねー! 少し太ったんじゃない?」
「なんだと? その余計な口は縫ってしまおうかにゃ?」
「おー怖い怖い。まあ、冗談は置いといて。僕みたいな脇役が、こんな素敵な舞台に立てるなんて……キャスト間違えてない?  大丈夫?」
「ここは一つの到達点であり、しかし道はまだまだ続く……ってにゃ。……それはそうと愚者君と共闘って長い付き合いだった割にそんなに無かったよにゃ」
「あっ、そう? 物語(人生)は何が起こるかわからないね~」
「ふふん、どこまでできるのか見せて貰おうじゃん?」

 軽口を交わしあうのは行進とリデル・ダイナ
 クラウンの属性を持つ者同士、通じ合うものがあるようだ。

「特異者の紡ぐ物語……永く素敵なお話は……新たな章の入口へ。
扉を開く私達……試練を与える道と敵……それら全てが共演者。
扉を開くか退くか……この物語の台本は……神のみぞ知るその未来。
物語を紡ぎましょう……扉を開く者達と……試練を与える者たちの……ある戦いの物語……ある道程の物語。
ハッピーエンドにビターエンド……例えどちらで終わっても……皆が本気で紡ぐなら……それは綺麗な物語」
「それを紡ぐのはみんなだよぉ。裏三千界……かあ……ワクワクするキーワードだねぇ……早く見たいね……研究できたら良いねぇ……♪」

 ルイーザの想いに応えるのは彼女の参謀でもあるリリアン・プロモート
 リリアンはワンダーランドのアバターではないままの参戦であるため、参謀役として作戦指揮を立て防衛戦術を【物語の栞】に提供するためにここにいる。
 具体的に立てた戦術は、ルイーザとルキナが持つ裏アイテムである否定の羽ペンを主軸とした作戦。
 物理を主体とする敵を選択的に速攻で倒し、魔法を主体とする敵だけ残った状態でファンタジアを発動、使用者以外の魔法を封じる。
 後は魔法が使えなくなった敵を物理戦闘担当者主体に撃破。
 ファンタジアの使用はルイーザとルキナの内残り魔力が多い方が担当する。
 物理魔法両面の敵の場合、ルイーザかルキナのどちらか一方の魔力が尽きるまでは通常に戦闘を続行。
 一方の魔力が尽きたら尽きていない側がファンタジアを発動する。
 というものだった。

「どんな敵が来ようと、私が分析してみせるからねぇ。安心して戦うように」
「はーい! なんだかすげー場所に来ちゃったし、テンション爆上げで行くよ!」
「メアリーはキャンディレインを降らせるという大事な役目があるからね、しっかり補佐するんだよぉ」
「任せるのだ!」

 メアリー・スノードロップのテンションの高さはこの場にいる者たちを明るくするような太陽のような輝きがあった。
 それぞれがどのような敵が来ようと裏の境界面を目指すことは諦めない。
 この中の誰かが異界に飲み込まれようと、全員が全滅してしまう結末になろうと、それに抗ってみせる。
 物語の“キャラクター”は物語が続く限り歩みを止めないから。
 その物語の障害になる存在はしっかりと“キャラクター”を把握した。
 その上で行うことは侵入者<キャラクター>は排除する。
 その掟に従い夜の住人は姿を現した。

「現れましたね」

 ルキナは二度三千界の裏側を覗いたがそれは入り口に過ぎなかった。
 その先にどのような世界が広がっているのか。
 それを是非とも見てみたい。
 その気持ちが向くままに仲間と共にこのノーチラス号に乗り込んだのだ。
 アダプテーションはこの世界のスキルではないが、それでもマージナルの力も持っている。
 その適応性を活かして環境適応能力をもってこの異界化した空間でも普段通りに動けた。
 夜の住人の存在感より精神をかき乱してくるオーラを効果は薄いが全員にフローラルアロマで落ち着かせ、夜の住人に対抗する意識をひとつにまとめ上げる。

「前人未踏の世界ですが、冷静に行きましょう。この夜の住人にしても。攻撃主は私が。愚者さんが注意を惹き、キャロルさんが守っている間にこのVEROによる射撃で応戦をします」
「さて、じゃあこの物語は一体どこに向かうのか、悲劇が喜劇かはたまた……いやはや! 実に楽しみだ! さぁ! それでは愚者の行進を始めよう! 愉快に素敵に滑稽に! 笑わぬ道化を笑わせに行こうじゃないか!」
「私が戴く配役は……仲間を護る盾の騎士。降り注ぐ試練を受け止めて……味方の道を護る者。心を無にして護りきる……ただそれだけに必死になれる……仲間が助けてくれている……なんて幸せな配役でしょう」

 全てはリリアンの書いた脚本に従って物語は進んでいく。
 盾の騎士であるルイーザはエルテルンヴァッヘで注意を惹きつける。
 エネルギーシールドを構え、全ての攻撃を一手に引き受ける。
 それでもルイーザの大地を踏みしめる2本の足だけでは試練には追いつけない。
 Wonderland【悠久の造書】があろうとまだまだ足りない。
 風のような素早さがとても欲しい。

「でしたら……ウェアゲイルに力を借りましょう……纏った風はお友達……これで試練に追い付けましょう……風は私の近くに居る……仲間達ともお友達になってくれます」

 エネルギーシールドだけでは不安がある。
 オーバーザレインボーで試練を受け止めよう。
 きらきら光る虹の柱が試練を受け止め護ってくれるだろうから。
 戦場にかかる美しい虹が次のシーンへと導く。
 虹の架け橋をかけてさらなる物語の先へと。

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