■プロローグ■
――ノーチラス号。
「気分はどう?」
「平気です。今はまだ」
自分の身を案じてくれている
グリムに
アンジェリカは答えた。
「鍵守、お前は?」
「今のところ、“干渉”のような力は感じません。ですが……別次元の三千界があるなら、私に相当する者はいることでしょう」
ヴォーパルがバイザーを外し、素顔でグリムの顔を見つめる。
「界域の深淵に辿り着いた時、私がゲートの向こうを観測すれば、あちら側の者もまた私を認識する可能性は高いです。
その接触はこちらとあちら、双方の三千界に強い影響を与えることでしょう。
そうなれば」
「“赤の鍵守”――三千界統合機関に察知される。そう危惧しているわけね」
ヴォーパルが静かにうなずき、バイザーを装着した。
「アンジェリカさん。あなたには三つの世界が重なって見えます。
境界面に近づけば、あなたにも何らかの影響が出るでしょう。異常を感じたらすぐにお申しつけ下さい」
「はい!」
実験の要である二人の準備が整うと、グリムがキャプテン・ネモに合図を出した。
「特異者たちを中へ。間もなくダイブを始める」
■目次■
プロローグ・目次
【1】始まりの世界、最初の地
【1】始まりの世界、決戦の地
【1】原型世界の不死鳥
【1】伝説のチャンピオン
【2】希望の先へ
【2】共に至る
【2】逆転の一撃は
【2】民兵
【2】ゼスト連合軍
【2】華麗なる終幕
【2】許容される無数の可能性
【2】調律
【2】頂き
【2】同調者
【2】二人だから
【3】ノーチラス号、出港
【3】大和のビジョン
【3】孤軍奮闘する者が見えたビジョン
【3】ユーラメリカのビジョン1
【3】ユーラメリカのビジョン2
【3】パートナーと垣間見たビジョン
【3】セフィロトのビジョン
【3】ユグドラシルのビジョン
【3】神多品学園都市のビジョン
【3】ワンダーランドのビジョン1
【3】ワンダーランドのビジョン2
【3】テルスのビジョン1
【3】テルスのビジョン2
【3】アルテラのビジョン1
【3】アルテラのビジョン2
【3】境界面でのできごと
エピローグ