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終極のエデン アフター

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終極のエデン アフター
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【1】元十二星たちと



 セクターCでは、襲撃によって心身ともに傷を負った元ジェミニたちのもとを、ジェミニを受け継いだ“二人”がたずねて来ていた。

 四人でお茶を飲んだりしながら他愛ない会話を重ねつつ、コトミヤ・フォーゼルランドユージーン=ジェミニルシール=ジェミニに整体術によるマッサージを施したりして、ゆっくり療養できるようにと気遣っていた。
 コトミヤが経穴押しを行ったり、ライトオブライフで癒したりしたおかげで、今日は二人とも体調や気分が落ち着いている様子だ。
 高峯 ユファラスも、二人の体調を気にかけながら、しばらくは世間話などをして緊張を解いていった。
 現在のセクターCの様子などを話していると、やはりエデン全体がそうであるように、新しい未来へと着実に歩を進めていることがわかる。
 少しずつではあるが、ユージーンとルシールが心を開いてくれているのがわかると、ユファラスたちは少し込み入った質問も投げかけていった。
「襲撃された時のことを聞いてもいいか……?」
 ユファラスが問う。二人はその質問に対し、嫌な記憶を思い出すというよりも、きょとんとした表情を返す。
「あの時のことは、記憶がないからわからないんだ」
 ユージーンが言う。言及しないが、ルシールも同じなのだろう。
「セクターCは、いつから完全中立の方針を固めてたんだ? アルマとナーガの二人は、その時には採用されてたのか?」
「二人が派遣されたのは五年前……この世界が勝者と敗者に二分されて、すぐのことでした」
 ルシールが答える。
「完全中立は、セクターEの中立宣言が出された後からです」
 次いで、コトミヤも二人に聞きたかった疑問を口にする。
「二人は、どうやってジェミニの真価を引き出してきたんだい?」
 これからジェミニの所有者として皆を守っていくために、少しでもヒントが欲しいところだ。
 問われた二人は顔を見合わせ、ユージーンが代表して口を開いた。
「まずは、お互いがどんな力を使えるか把握するところからだったな……ジェミニの力は元々、お互いの能力を共有する、というものだったから」
 重ねてユファラスが、「そういえば、先代はどんな力を?」と能力に関する質問を投げかける。
「互いの力を共有する、という点は変わりませんが、偉能力よりも感覚共有に近いものでしたね」
 と、ルシールが言う。これまでのことを振り返っているのか、二人の表情はすっかり真剣なものに変わっている。
 コトミヤが、話題を変えた。
「……このセクターCは、これからどんな道を歩むのかな」
 それに、ルシールが口を開く。
「勝者と敗者という枠組み自体がなくなった以上、中立地帯という意味もありません。勝者、敗者問わず住みやすいセクターにしていければ、と思います」
 至って真面目で真っ当な回答だが、その表情は先ほどよりも少しだけ柔らかい。理想のセクターCの姿を、思い浮かべているのだろうか。



 セクターJではキョウ・イアハートが、クラウス=シュタインボックに会いに来ていた。
 キョウと契約している、ホーク・ハインドアントーニア・ロートリンゲンも同行している。
 馴れ馴れしく世間話というタイプでもないだろう、という想像はついていたため、キョウは早々に話を本題へと移していた。
 ホークは、クラウスの話からこのセクターの歩んできた道を学び、先へとつなげていけるようにと、二人の会話にじっと耳を傾けている。
「セクターJの管理を任せっぱなしで悪いが……、進化することを家訓としてきたシュタインボック家としては、これからそういうアプローチをしてくつもりなんだ?」
 キョウの問いに、「まずは、環境への適応――」とクラウスが口を開く。
「代々シュタインボック家は、“本来人が対応できない環境に、対応できるようにする”ことを重視してきた。それが進化である、と……外の事が分かった今、それは間違いでなかったと確信している。
これからはいかにして、外に適応していくかを試すことになるだろう」
 キョウとしても、過酷な環境であると言われる壁の外を開拓していくにあたって、このセクターが追い求めてきたバイタリティやサバイバル能力が、活きてくる可能性を考えていた。
「まっさか初代カプリコーンはこれを見越して……なんてな」
 キョウのつぶやきが聞こえていたらしく、クラウスも頷く。
「広く残った自然を生かすなど、この資源が限られた世界では容易なことではなかったでしょう」
 とホークも、初代シュタインボック家から紡がれてきたその取り組みに興味を示す。
「これまで我々は、戦いよりも生き抜くことを重視してきた」
 クラウスが語る。
「だが確かに、その役割を与えられていたのかもしれん。エアリーズ家と同様に」

「こちらのヴィルヘルム様が、かの有名なギヨーム・テル……ウィリアム・テルを原典とする偉人であらせられるなんて!」
 キョウたち三人が、これまでとこれからについて真剣な話し合いを続ける一方で、アントーニアはクラウスと契約している偉人・ヴィルヘルムの方にすっかり興味津々のようだ。
「私は圧制と享楽の象徴として、反乱される側の身であったとしても、英雄の輝きは素敵だと、思いますわ」
 ヴィルヘルムの原典とされる偉人については、アントーニアもよく知っているようだ。ヴィルヘルムは時折相槌を打ちながら、アントーニアの話を聞いている。
「もちろん、今の貴方とギヨーム・テルが別人だと分かっております。その上で、お話を聞かせてくださいな?」
 と問われると、ヴィルヘルムは静かに頷いた。
「貴方は、どのような意思で、どのような力をお求めになってシュタインボック様と共に歩まれたのかしら。
少しばかり、ご教授いただけないでしょうか?」
 てっきり原典である偉人のことを問われるだろうと思っていたヴィルヘルムは、一瞬きょとんとしてから、質問への答えを考え始める。
 アントーニアの原典は、元々戦う力を持っている人物ではなかった。そのために動きづらい部分もあり、偉人としての力について話を聞いておきたかったのだ。
「……可能性を、追及するため」
 ぽつりと、ヴィルヘルムは答える。「可能性?」と首を傾げるアントーニアに、ヴィルヘルムは頷き自身を指差して見せる。
 ヴィルヘルムは、自分自身の存在意義を確立するために、クラウスと契約した偉人としての行動をとっている……ということらしい。

 そんな偉人たちの様子を見守っていたキョウがふと、口を開く。
「カプリコーンの適応能力が及ぶのは、なにも地面だけじゃねぇと思うんだ」
 現在二人の偉人と契約し、同調者へと至っているキョウだが、まだここをゴールだとは考えていなかった。複数の偉人の力を合わせたらどんなことができるか、考え得る可能性はさまざまある。
 キョウは一通り自身の考えていたことを伝え、「新しい可能性に興味はねぇかね?」とクラウスに意見を求めた。
 クラウスは、「それもまた、適応し進化する過程ならば」と、前向きにそれを受け止めた。



「さて……久々だな、カルロ=ペッシ殿」
 カルロ=ペッシに会うべく、ダリル・ヴァンパイアシャルル・ダルタニアンと共に、セクターLに足を運んでいた。
「私がセクターを制してから、貴殿はどのような政策を行ってきたかね?」
 ダリルが特に気にしていたのは、勝者と敗者の境界が無くなっているかどうか、だった。それをわかっているのであろうカルロは、
「元々勝者と敗者を区別するつもりは無かったけど、一部の人を置いてけぼりにしたことは反省してるよ」
 と前置きしてから、現状を説明する。
「今はインドア派でも住みやすいように、色々と手を打っているよ。帰りがけにでも外の様子を見ていくといい!」
 しばし最近のセクター内の様子についての軽快なトークに突き合わされつつ……、ダリルは頃合いを見て話を本題へと進める。
「カルロ殿。私が貴殿に認められた理由……強さ以外の理由は何だね?」
 ピスケスを受け継いだ際の事を思い起こし、ダリルがたずねる。カルロはそれに、
「もちろんフェイタル・ゲームでの結果が大前提だ。
だが、こうして君と話すのはやはり愉快だな! 君に渡して正解だった!」
 と満足気な笑顔で言う。
「ところでその力だが」
 ダリルが質問を重ねる。
「アルレシャの流動で干渉できるものの、ヒントを頂きたい」
 というのも、これまでのカルロの行動から、この能力ついて気になっていた点がいくつかあったのだ。カルロのパートナーが水面を走っていたことや、あえて血液に干渉する戦い方をしなかったこと――いくつかの例を、ダリルが挙げる。
「ああ、それか! その力で干渉できるのは、観測できるもの、だ」
 カルロが答える。
「血液は確かに流れているが、観測できなければ干渉できないんだ。傷口から血を流したりしていれば、そこから干渉することはできる。
風も同じだ! 風が吹いていてそれを体で感じられれば操れるが、何もない状態では空気を操ることはできないんだ」
 なるほど、とダリルは腕組みし、さらにピスケスを受け継ぐことと関わる疑問を投げかけた。
「ゾディアックシリーズには、一つ一つに強力な武器が与えられていたと聞くが……もし私に資格があるのなら、それを受け継ぐか、概要を聞きたい」
 しかしこれには、カルロは首を傾げた。
「僕は先代から受け継がなかったな。詳しく聞いてもいいかい?」
 と逆に質問で返されてしまった。ダリルは知っている限りのことを伝えてみたが、どうやらカルロは本当に詳細を知らないようだ。
 一通り話を終えると、「ところで、時間はあるかね?」とダリルがカルロに問う。
「久々に、練習“決闘”としてみたいのだよ!」
 カルロは予想外の提案をしてくるダリルを、興味深そうに眺めた。
「ははは! そう来たか!
少しなら時間はある、どうせなら面白いことをしよう」


「それで、目的は果たせたのかね?」
 カルロと軽い練習試合……という名のミニゲームを繰り広げた帰り道、ダリルは同行していたシャルルに問いかけた。
 シャルルの今日の目的はカルロに会うことではなく、以前戦ったサジタリウス=ベータと話をすることだった。そのためここへ来る前に、少し寄り道をしていたのだ。
「少しだけど、ちゃんと話せたよ!」
 とシャルルは答える。
 戦闘時にサジタリウスが、惜しかったとコメントしてくれた理由が、ずっと引っかかっていたのだ。
 サジタリウスからの回答はほぼ、シャルルが自分で推測していた理由と同じものだった。自ら真実を知ろうとする姿勢の不足、そして防御面の甘さ――サジタリウスからの助言を受け、シャルルは今後の課題を改めて心に刻むことができたようだ。



 反対に、カルロのところへ寄ってからサジタリウスを尋ねた者もいた。
 砂原 秋良は面識もあり話しやすそうなカルロに同行を頼んで、サジタリウスに会おうと考えていた。
 同行はしてもらえなかったが軽く話は通してくれたようで、秋良は少しだけサジタリウスと話す時間を得ることができた。

『話は聞いている。私に用とは?』
 サジタリウスに問われ、秋良が口を開く。
「ウォルターさんについて、お話を聞かせて頂けませんか?」
『それを何故、私に?』
「ウォルターさんとの付き合いも、一番長いような気がしたので……どんな人でしたか?」
 長老、と言われるほど長生きしているサジタリウスであれば、知っていることも多いだろうと考えての事だった。サジタリウスは一呼吸置いて、
『現実主義者の皮を被った野心家。あの男は、最も重要なことだけは誰にも教えようとしなかった』
 と答えた。
「歴代のアクエリアスは皆そうだったが、ウォルターは特に秘密主義だった」
 秋良は、例えばサジタリウスのサーバーのバックアップの中など、どこかにウォルターがが仕込んだ情報が隠れていたりしないか、と考えてもいたのだが……その言葉を聞くに、サジタリウスが知り得る限りでは何も残っていないのだろう。
 念のため、それとなくそんな話題を振ってみたが、やはり期待した答えは得られなかった。

「……あの時、ウォルターさんが消されずに済んだ可能性はあったんでしょうか」
 秋良のつぶやきに、サジタリウスがゆっくりと顔を上げる。
「起きてしまったから、こんな風に言うのは意味のない事なんでしょうけど……」
 と続けた秋良に、「わかっているなら話は早い」とサジタリウスは言う。
『起きたことを悔いても時は戻らない。
だが……わかっていても、振り返りたくなる時もあるだろう』
 二人はそのまましばらく、ウォルターについて取り留めない会話を続けた。
 話をして何かが取り戻せるわけではなくとも、そうして思い返し、何ができただろうかと考える時間は、きっと無駄にはならないだろう。



 秋良が去った後。
 サジタリウス=ベータのもとを、継承者である桐ヶ谷 遥も訪ねてきた。
 世界を取り戻すための具体的な対策と、セクターIの今後の方針について、相談をしに来たのだ。

 セクターIの管理は、引き続き“長老”に頼みたいと遥は考えていた。長老の方も、それについて異論はないようだ。
 遥は、そもそも神様という存在が大嫌いだとはっきり述べた。だから、それに近い存在になるつもりもないのだろう。またいずれにせよ、いつかはゾディアックの力に頼らず、エデンの人々が主体となってこの世界を回すべきだとも考えていた。
 そう主張はしつつも、
「……そのために今、まだ旗頭が必要ならば、その役目程度は担わせてもらうわ」
 と協力の姿勢を見せる。セクターの方針について大きな考えの相違はなかったが、「ただ強いて言うなら……」と遥が付け加える。
「もう少し、生身の体も使ってあげてほしいかな」
 それについても、長老は否定するようなことはしなかった。
 どころか、長老自身も現在エアリーズ家と組み、遺伝子データを元にした自身の肉体復元を試みているという。
 セクターIの状況も、刻一刻と変化しているようだ。

 セクター内についての方針が固まると、話題は壁外調査のことへと移った。
「界霊全てを倒していくのは現実的なようには見えないし、何年かかるかもわからない……だとすれば、この事態をひっくり返す手段を見つけ出す必要があるわ」
 調査を開始するにあたっての具体的な方針について、遥が提案する。
「壁の外に出たらまず、“聖具”を探すのはどうかしら?」
 その世界の理に影響を与えるほどの力を持つものがあるならば、それを見つけ出さない手はない。
 長老もそれに、「無論、考えている」と頷き、
『“アガルタの遺物”があるのならば、それが聖具なのかもしれない』
 と見解を述べた。
 今後の壁の外へのアプローチについても、方針の相違は無さそうだ。



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