三千界のアバター

アーキタイプ

≪ワールド・ピース2≫遺跡を乗っ取る蟲を倒せ!

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■プロローグ■


 ――【H8】ルインの街郊外

 そこには特異者を待つ、パラサイトの女戦士“サウザンドインセクト”と、自衛隊の特殊部隊“権現機関”の隊長神代琢磨、そして防人アバターになった自衛隊隊員の姿があった。

「どうしたのじゃ! もっと本気で射ってこい! そちらの実力なら、ワシにケガを負わせることもできんぞ!!」
「サウザンドインセクトさんの言う通りだ! 相手の実力が上だからこそ、遠慮など考えず、本気で攻撃するんだ!」

 特異者を待つ間、サウザンドインセクトは、自衛隊隊員に稽古を付けていた。
 だが、琢磨が言うように、防人アバターの自衛隊隊員の動きは、精彩を欠いていた。

「ふむ……手加減をしている、というわけではなさそうじゃな。まだ勝手が分かっていない、といった感じかの」
「仰る通りです、面目ありません」
「そちが強いのは分かる。だが、一人の力には限界もあろう。多少危険を伴うが、実戦で鍛えるしかないかの」

 そこへ今回の探索に参加する特異者たちが集まってきた。
 サウザンドインセクトと琢磨たち自衛隊、そしてこの場には居ないが“FBI”のフリーデンビューティーは、それぞれの探索場所へと向かうのだった。


【L12】工廠跡を調査せよ! 1


 【L13】工廠跡と対を成す遺跡【L12】工廠跡。
 表向きは神殿になっており、そこに封印されていたアクリャ“翼盾の巫女”が言うには、こちらは守護者の修理などを行う機能に特化しており、先行探索で手に入れた守護者のパーツなどの修復も可能になるらしい。
 ただし、サウザンドインセクトが来たように、現在【L12】工廠跡は蟲に取り付かれており、遺跡そのものが蟲の支配下にあった。
 蟲は遺跡を掌握しており、警備兵としてこの遺跡に眠っていた守護者ゾイサイトやコンキスタドールの量産型を配置していることがわかっている。

 【リサーチ&デストロイ】の妹尾 春那と個人プレイの藤原 経衡は【L13】工廠跡と対を成す遺跡の【L12】工廠跡の遺跡の共通点はあるかといった予習を済ませてから【L12】工廠跡へ向かう。
 予習で分かったことと言えば同じ遺跡でも【L12】は『修理工廠』のためそれといった共通点は見受けられなかった。
 【L13】の道順や調査済みの罠の場所をマッピングしていたが、それが有効に機能することはない。
 それでも予習によって共通点がないことが分かった上で調査を行った方が効率的に奥へ進むことができるのは確かだろう。

「私はアーキタイプ探検隊の一員である。遂に明確に遺跡の探検ができるのだ。なればこそ踏破してみせようぞ。あの丘の先に広がっている光景が何なのか、皆は知りたくないだろうか? 私は知りたい。一歩でも先に進む勇気と情熱が我が身を焦がす……。なればこそ、私は遺跡探索に懸けるのだ!」

 リトルガーディアンに乗った経衡はワイドビューで警戒しつつ、床に設置されているトラップのトリガーを踏まないように盾による浮遊効果で無効化して踏み込みによる瞬発力を推進力に奥へと進んでいく。

「うむ。やはり遺跡はいいな。浪漫がある」
「年甲斐もなく、はしゃがないでよ。子どもじゃあるまいし」
「馬鹿をいうな、童心あってこその漢だぞ」

 春那は夏輝・リドホルムのホライゾンホバーバイクの後ろに乗り、夏輝とそんな言葉を交しながらトラップディスカバードを浮遊させ、罠検知機として使うことで死角となる角の部分を警戒しながらGOサインを出す。
 夏輝も春那が事前調査した内容を入力したドリフターデバイスの地理情報を参照し、最短ルートでホライゾンホバーバイクを走らせる。
 松永 焔子も春那のナビゲートに従い、シークレットクロークで気配を断ち、警備兵の死角となる障害物の影に隠れながら、アンチェインド・スプリガン【セキュリティアーマー】で得た敏捷性で素早く移動していく。
 それでも警備兵であるゾイサイトやコンキスタドールの全てに気付かれないように最深部へ行くことは難しかった。

「っ……気付かれた!」
「みんな、気を付けて!」

 侵入者に気付いたゾイサイトは両肩のキャノン砲を発射。
 ワイドビューでいち早く襲撃を察知した経衡は翼盾でキャノン砲を受け止め、リトルガーディアンを踏みこませた瞬発力で接近するとガーディアンバスターのウィップソードとしての変形機能を利用してウィップサイクロンを繰り出す。

「アダマンタイト製の守護者刀零式に……斬れぬものなど、あんまりないですわ!」

 ウィップサイクロンを受け止めているゾイサイトに向かって焔子がドレッシングフレイムで加速し守護者刀零式で斬りつける。
 経衡と焔子の攻撃を受け止めるとゾイサイトは両腕にもあるキャノン砲剣をさらに発射。
 アンチェインド・スプリガンで反応速度を向上させた焔子が回避するのは計算の上で、回避先に向かって足に装着されているミサイルポッドが打ち出される。
 逃げ場を封じられた焔子へ春那のスーパーナチュラルミサイルで撃墜させカバーすると、氷華の護身銃で援護射撃がなされた。

「アクリャの白兵戦の実力……アタシがみせてあげる!」
「私も負けていられませんわ! 守護者刀零式の味わい特と感じなさい」

 春那の援護射撃を受けながら前進する焔子。
 経衡も背後を取るように回り込みガーディアンバスターで斬りつけ、前方からは焔子の守護者刀零式の一太刀でゾイサイトはエラーを出力させ動きを止めた。

「別のゾイサイトに見つからないうちに奥へ進もうぞ」

 黄金バナナで栄養を補いながら冷静に経衡はそう呟く。
 夏輝はひとつ頷きホライゾンホバーバイクを走らせた。



◇          ◇          ◇




 経衡、そして【リサーチ&デストロイ】が遺跡の奥へ進んでいるのと同時刻。
 【深淵探検隊】も別ルートで最深部を目指していた。

「に? こないだ探索した遺跡、蟲まみれになっちったよー?」
「やれやれ……俺たちが探索した遺跡がまさかこうもなろうとはな。誰の差し金かは解らんが好き勝手にやってくれるものだ。ここを必要としている以上必ず取り戻す……俺や親友たちの探索を無駄にしない為にも」
「前衛は俺が務める……玲人、遺跡へのアプローチは任せる。道中の敵や大元の蟲は任せておけ……往くぞ!」
「しょーがないにゃー、星ちゃんと愉快な仲間達が殺蟲剤になってあげるのですっ」
「っておい愉快な仲間たちも殺蟲剤もいいが油断するなよ星!」
「あっ、油断はしないよぅっ、ホントだよぅっ? 八手と玲人がいるならだいじょーぶぃっ☆」
「本当だろうな……まぁ、いい。それより、前見た地形と一致しているのか? なにか対策を練られていたりは」

 気になる世界を調査した際に発見したこの遺跡。
 自分たちが見つけ出したせっかくの遺跡が、調べつくす前に蟲に占拠されてしまった。
 霜月 八手星・カグラにそう訊ねる。
 星は前回の探索での土地勘を思い出そうとしたが、防衛機能は一新されており前回のパターンを活かして一気に駆け抜ける戦法は使えない。
 仕方なく星のインテュイションと八手がリアリティソナーを駆使しつつ罠の所在、警備兵の探知をより意識して進んで行くこととなった。
 ニーナ・ステラは最深部に到着するまで戦闘分析し状況を伝え、警備兵との接触を出来るだけ避けられるようにするが、コンキスタドールに見つかってしまう。

「兄さんの邪魔はさせません!」

 ニーナが先手を取るように手足の指令に誤作動を与えるためにジャマ―を放つ。
 ステイシスライトニングも放つが、それだけで動きを停止させるような軟なシステムではない。
 小型ミサイルが発射された際には飛鳥 玲人がオリハルコンの板や周囲の素材を使いクリエイションで作った大盾で攻撃を防ぐ。

「蟲が操っているなら、通用するよね☆」

 星のステラ・マリス【リージェント】でコントロールを一瞬奪いわずかに動きが止まったコンキスタドールに八手は最速で雪華【膝丸】を手に接近し脚部の駆動部を狙って一閃。
 駆動部を絶たれたコンキスタドールだったが、まだ上半身を動かすこともできる。
 小型ミサイルを発射させれば中距離へも攻撃の手は届き、足を潰したくらいではコンキスタドールは止まらない。
 接近戦を行う八手に狙いを定めたのか、コンキスタドールは剣を大きく振り上げる。
 玲人がクリエイションした大盾で間に入ると、スピリチュアルボードに乗って移動していた島津 正紀がスカラータブレットで自身の魔力を高めた上で、フレアーボムの一撃を頭部に叩き込んだ。

「援護に入る! 体制を立て直してくれ!」
「助かる」
「……邪魔だ」

 デッドオアアライブによる道筋を頼りにドレッシングホイールによって高速で駆け抜けるのは風間 瑛心
 瑛心はコンキスタドールと戦うよりも最深部を目指すのが先決だと、コンキスタドールを轢き殺すように玲人とコンキスタドールの間を通過していき、ガーディアンバスターでコンキスタドールの剣をいずこかへ吹き飛ばして奥の方へ消えていった。
 万年 忠道とそのパートナーであるクシャド・アコプラネル・クルーガーも瑛心に続くように戦闘には参加せずこの場を通り過ぎていく。
 足と剣を失ったコンキスタドールに八手の雪華と正紀のフレアーボムが叩き込まれ、コンキスタドールは煙を上げて動かなくなった。

「これでよし。奥へ行こう」
「分かれ道が多いですし、先程の通り魔的な人とは別の通路を進みましょうか」

 ルドルフ・キューブの言う通り、道の先には分かれ道があった。
 瑛心のドレッシングホイールの痕が無い方を選び【深淵探検隊】と合流した単独者たちは奥を目指す。
 だが、その道を塞ぐようにロックのかかった扉にぶつかってしまう。

「俺がやろう」

 玲人はジ・トリスメギストス【プラントブレイン】でセキュリティブレイクし扉を開ける。
 この程度のセキュリティであれば突破できるが、守護者や中枢となると無理だった。
 ここの扉のシステムから蟲が支配するこの遺跡のセキュリティの固さがどれだけのものか分かってしまう玲人。
 ディスカバラーのルインシャットダウンでも機能そのものを奪回するのは難しいと改めて自覚せざるを得ない。
 最深部で遺跡の制御を取り戻そうと考えていたが、それもできないであろうことが分かってしまった。
 それでも蟲の支配からこの遺跡を解放せねばならない。
 玲人はこのことを言うべきか迷ってしまった。
 冷静に周りが見えるからこそ、蟲を倒す意欲を削ぐようなことを言うべきか。

「玲人。どーしたの? 扉は開いたんでしょ? 早く行こうよ」

 星の無邪気とでもいう声に玲人の迷いは吹っ切れた。
 背中を預け合う仲間に隠しごとはしたくない。
 玲人はここのシステムの強固さがいかなるものか素直に伝えることにした。

「なぁーんだ。セキュリティを取り返せないからってそんな顔してたの? 大丈夫大丈夫。ようは私たちが蟲を殺蟲しちゃえば万事解決だって! でしょ、八手」
「この遺跡のどこかにサウザンドインセクトもいるはずだ……あの方とも連携できればきっとこの遺跡を取り返すことができるだろう」
「兄さんは兄さんができることをすればいいんですよ。無理にひとりで解決しようとしなくていいんです。蟲の演算処理能力に負荷をかければいいですよ。きっとあちらも制御権を取り返そうとしてきますから」
「……そうだな。ひとりで迷っていたりしてすまなかった。全員でこの遺跡を取り戻そう」
「その意気、その意気! 気を取り直してレッツゴー、だよ」

 【深淵探検隊】はさらに絆を深め、最深部を目指す。
 仲間も増え、攻防共に連携を掴んでいった彼らは次々に軽めのセキュリティを突破し、最深部へと進んでいった。

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