三千界のアバター

ワンダーランド

≪ワールド・ピース2≫鏡の国のドンブラコ

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≪ワールド・ピース2≫鏡の国のドンブラコ
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【1】鏡の国の奥地へ


 白の騎士の話を聞き、行方をくらませたというトランプ兵たちの救出と、【昼】化現象の原因究明のために、何人かの特異者たちは鏡の国の奥地を目指すことになった。
 何でもその場所には、巨大な果物のようなものがあるというが……。

 巨大な果物には、ジャバウォックの傷を癒す力があるという。
 そのためジャバウォックに傷を負わせれば、果物の在りかへ向かうだろう、と判断した者は多かった。


 エレミヤ・エーケロートも謎の果物を探すため、ジャバウォックとの戦闘を繰り広げている。
 この場が夜であることを利用して、ダイヤモンドダストを仕掛ける。刃のように鋭い氷の結晶が舞い、敵を傷つけていく。完全に倒しきることなく、しかし回復が必要なほどの傷を負わせる必要がある……力加減が難しいところだ。
 さらに厄介なことには、この辺りは作戦を実行するには少々敵の数が多そうだ。
 どれか一体を丁度よく追い詰めても、他のジャバウォックが迫ってくる。撃退が主目的ではないとはいえ、ここでやられてしまっては目的は果たせない。
 エレミヤは風を一点に集めると、ガスティウィンドを巻き起こして迫りくるジャバウォックたちを吹き飛ばした。突風に敵の群れが怯んだ隙に、急ぎこの場を離れた。
 改めて手頃なジャバウォックを探し、今度こそはとエレミヤは、断罪の雷霆を放つ。“追い詰める”のには少々威力の強い攻撃だが……しぶとく生き残ったジャバウォックが、ふらふらとどこかへ向かって移動し始めた。
 その先に、噂の果物があるということだろう。


 その頃、砂原 秋良もトランプ兵たちを救出すべく、ジャバウォックを攻撃して果物の在りかを探ろうとしていた。
 兵たちの居場所は未だ不透明だが……残した情報の中に果物に関する話題がある以上、その場所が無関係とは思い難いところだ。
 秋良はジャバウォックを発見すると、行動予測を行いながら戦闘を開始する。今回は倒しきらないようにしなければならないが、油断してやられてしまえば元も子もない。
 aterから魔力弾を撃ち込むと、敵は怯むが、まだすぐに逃げ出す様子はない。次いで秋良は手にしたaterを補助デバイスに、インビジブルビーストを発動した。
 秋良の想像が具現化された獣が、見えない敵となってジャバウォックに襲い掛かる。回避できずに傷を負ったジャバウォックは、果物を探して逃げ出した。
 秋良はポッピンパラソルを広げて加速し、ジャバウォックの後を追う。


 桜・アライラーイリーゼ・ユークレースも白の騎士からの情報をもとに、ジャバウォックを攻撃して道案内をさせる方向で動き出していた。
 桜はなるべく敵に気づかれないようにストライプソックスを身につけ、木の上に身を潜めて遠距離からジャバウォックを狙っている。
 ウィッチキラーを構えると、ジャバウォックの足に狙いを定めてアップルシュートを撃ち込む。
 見事、敵の足に攻撃が命中すると、今度はイリーゼが動く。イリーゼはレッドクイーンロッドで魔力を高め、桜が弱らせたジャバウォックに向けてカースオブペインを唱えた。
 痛覚を刺激されたジャバウォックは足の痛みに耐えかね、ゆっくりとどこかへ移動し始める……桜が足に傷を負わせたため、あまり速く動くことができないようだ。
 足元への射撃は、これを狙ってのことだった。二人は途中で見失うこともなくジャバウォックの後を追い、森の奥地へと進んでいく。


 ルキナ・クレマティスは敵に気づかれないよう注意しつつ、手近なジャバウォックに攻撃を仕掛けようとしていた。
(あれが良いか)
 ルキナは狙う敵に目星をつけると、インビジブルビーストを具現化した。生み出されたインビジブルビーストを、「やれ」とジャバウォックの方へ嗾ける。
 奇襲を受けてジャバウォックが、驚いて辺りを見回す。
 こちらに気づいたか……と思ったが、インビジブルブーストの攻撃による傷を気にしてか、そろそろと奥地へ移動し始めた。


 榛名 千晶は行方不明となっているトランプ兵たちを救出するため、鏡の国を探索している。現状の情報量では巨大な果物を目指すのが賢明だと、千晶は判断していた。
 ハイドアンドシークで気配を殺し、ウォーリーセンスを研ぎ澄ませて先へと進む。【夜】であるため、ウォーリーセンスでは察知しきれない部分もあるが、何もしないよりは手がかりになるだろう。
(至る所にジャバウォック……これは早く助けてあげないとなぁ)
 いずれにせよ果物を探すのなら、ジャバウォックを利用することができる。千晶は数体のジャバウォックが集まっているのを見つけると、そっとそちらに接近していった。
 千晶はちらりと敵前に姿を見せ、またすぐに身を隠した。
 今のは何だとジャバウォックたちが動揺を見せると、敵の様子を観察して行動予測を行い、見えざる手で敵の同士討ちを狙う。
 疑心からかまんまと千晶の策にかかったジャバウォックたちは、内輪で揉め始めた。これで傷を負って撤退してくれれば、自然と巨大な果物を発見できるというわけだ。
 やがて押し負けていた片一方の群れが、逃げる出すようにして移動し始めた。それを見て、千晶も移動を開始する。
「さて、ちゃんと果物まで案内してもらいますよっと……」


 一通り協力者たちへの情報共有を終え、自身も探索へと赴こうとする白の騎士に、声をかける特異者の姿がある。
「ひとつ、お聞きしたいことが…」
 と白の騎士を引き止めたのは、ルイーザ・キャロルだ。
「行方不明のトランプ兵の皆さんは…緊急時の対応について、どのような訓練をされていましたか…?」
 現在、彼らからは「巨大な果物を発見した」という報告を最後に、何の連絡も届いていない状態だ。その果物にどう対処するかが予測できれば、手がかりになるだろう。
「緊急時の対応、か」
 ルイーザの質問に、白の騎士は目を伏せ考える。ルイーザの隣ではリデル・ダイナが、共に白の騎士の答えを待っている。
「可能な限りの情報は拾うだろうが、あくまで人命が優先だ。いずれにせよ、いかなる状況でも報告は欠かさぬようにと伝えていたんだがな……」
 ルイーザたちはそんな白の騎士の話をもとに、兵たちの救出に動き出す。
 そしてルイーザたちがこの場を後にすると、さらにもう一人、特異者が白の騎士に声をかけてきた――。

 ルイーザはコールドリーディングで兵たちのとりそうな行動を予測してみるが、実際に彼らの様子を見たわけではない以上、完璧に予測するのは難しい。
 そこでフールドリーマーらしい想像力を働かせ、再度彼らの居場所を予測し直す。
 傍らではリデルが位置把握を行い、道に迷わないように、なるべく効率的に動けるようにと進むべき道を判断していく。
 二人はルイーザのホライゾンホバーボードに乗り込んで、素早く周辺を移動している。兵たちが連絡も取れないほどの状況にある、ということだけは確かだ。救出を急がなければ。
 ふと、ウォーリーセンスを研ぎ澄ませていたリデルが何かに気づき、「あっちにゃ」と方角を示す。
 そちらの方角へとホバーボードを走らせると、木々に囲まれていた視界が突然開けた――崖だ。
 ルイーザが即座にオーバーザレインボーを渡して、二人を乗せたホバーボードはなんとか無事に向こう岸へと進んだ。
 ほっと胸をなでおろしたのも束の間、反対岸へと渡るとその周囲には、やけに多くのジャバウォックがふらついていた。しかしまともに相手をしている場合ではない。
 襲い掛かって来るジャバウォックから、ルイーザはエネルギーシールドを構えて身を守り、オーバーザレインボーをを発動させて弾き返す。
 なおもこちらへ迫ろうと動くジャバウォックだったが、すかさずリデルがシルバーショットで射撃し牽制した。敵が身動きをとれなくなっている隙に、二人はホライゾンホバーボードを走らせてその場を振り切る。
 その後もジャバウォックとの遭遇率は増える一方で、リデルがワイルドハントで吹き飛ばして対処した。
 リデルのウォーリーセンスは、【夜】で効果が弱まっているせいもあってか、詳細はつかめないままだ。
 しかしここまでの情報と現在の状況から、ルイーザの脳裏にはひとつの答えが導き出されていた。徐々にジャバウォックが増えているということは、この先に“何か”があるのだ。


 ――鏡の国のある地点。
 トランプ兵たちを捜し歩く白の騎士の傍らには、ダウジングを行っている古川 瀬里の姿があった。
 ダウジングに使用しているのはダウジングペンダントと、白の騎士から借りた小物やアクセサリ――行方不明となっている兵たちの私物だ。
 同行は、瀬里の方から前もって提案されていたことだった。特に断る理由もないため、瀬里がダウジングで行方不明者を捜索し、白の騎士が戦闘に備えるということで、協力関係が結ばれた。
 そのため白の騎士は、ルイーザたちに情報提供をしたすぐ後に、瀬里と合流して探索を開始していたのだ。
 シックスセンスを研ぎ澄ませて捜索を続ける瀬里だったが、それらしき反応がある位置は予想とやや違っていた。
 トランプ兵たちがわざわざ敵が集まる果物の近くに行くことはないだろう、と考えていたのだが……どうにも、このまま真っ直ぐ進んでいくと、果物があるという奥地へと辿り着きそうなのだ。



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