三千界のアバター

≪ワールド・ピース≫界霊の奏者

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≪ワールド・ピース≫界霊の奏者
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■プロローグ■


黄昏の世界、ゴダム。

その北西部に、巨大な研究所が建てられていた。
周囲に他の建物の影は見えず、明らかに異質な雰囲気を放っている。

研究所の目の前には、目を閉じたまま微動だにしない子供たちが思い思いの武器を持ち
まるで向かってくるものを倒す警備兵のように立っており、その異質さをさらに際立させていた。

そこに向かうのは、複数の特異者達。

界霊をめぐる戦いはついに佳境を迎えようとしていた。



■子供達の身を案じる■



「未来の有る子供を誘拐して、変な物を寄生させて無理矢理戦わせるなんて絶対に許さん!」
 弥久 ウォークスは、スモークディスチャージャーから煙幕弾を発射し、子供達の視界を塞いでいく。 つづいて、トリモチランチャー【トリモチ弾】で動きを阻害していく。
「おのれ……セラフィに続き、こんな年端も行かぬ幼子を利用せねば、目的の一つも成し遂げられんと言うか……! 
 小僧ども、しばしの辛抱じゃ。いますぐ、その悪夢から解放してやるからのう……」
 リーゼロッテ・ベルンハルトは、大いなる古き印によって、旧き印を描くことで、邪神群の脅威から子供達や仲間達を守っていく。
「誘拐した子供達を含め人を実験体として扱い更に操り少年兵にするとは許せませんね」
 風間 那岐も弥久の言葉に頷き、クライ・オブ・クトゥルフによる深海から響くような旧支配者の叫びを響き渡らせ、痺れ薬で身体の動きを鈍くする毒薬を周囲に散布していく。
(無意識に攻撃してくる感じですが……)
 どっちの方が効果があるか。操られているのなら、旧支配者の叫びが心を揺らがらせ動きの妨害し易いだろうか――交互に使えば、痺れ薬の方が子供達の動きを鈍らせている。
 風間は積極的に痺れ薬を仲間にかかる事のないよう、集団でいる子供達の中心へ向けて撒いていく。
「意識も戦闘技術も無い子供とは言え凄いパワーがある様だ」
 うぉぉーと、雄叫びを上げ、生命感知で周囲の子供や仲間達の位置を感知しながら、ルミレーザーで指先を光らせて自分の位置を知らせる弥久。
 ビュンビュン飛んで来る衝撃波。スタンガンの一種――テーザー銃から射出された有線の電極が子供達を気絶させていく。
 そして、斧を振るう子供の方へと駆け寄っていく。
 防御力が高く筋肉を強化するパワードアーマーを着込み、強靭な身体をも誇る弥久は、その身体を盾に攻撃を受け流しの技術をもって流して子供との距離を一気に詰める。
「おおおおっ!!」
 子供を持ち上げ、その首にある受信機を握りつぶす。
 さらに飛んでくる衝撃波に、テーザー銃による電極を射出して、それから、スモークディスチャージャーで煙幕を張りつつ後退する。
 衝撃波を受け、傷付く身体は再生していきながら、風間は子供達と距離を詰める。
 更なる追撃には、雲散霧消で認識をずらし、その隙を突いて子供の死角へと潜り込み、持っている邪神群の肉体が変化したリビングウェポンで、子供達を絡め取って受信機を破壊していく。
「とても人間のやる事とは思えないわね……。心美、リズ……この子供たちは全員助けるわよ。
 でなければ、私達がこれまで戦ってきた事の意味さえ失ってしまう。こんな事態を食い止めるために、私達がいるのだから……!」
 宇宙時代のフォトンスミスの手でハンドメイドで作られたという伝説のフォトン――フォトン・ドラグーンに命中精度を高めるレーザースコープを取り付け、狙うは子供たちが持つ剣や斧。
 弥久がまく煙幕弾で周りが見え辛いが、その煙を追い払うように子供達は衝撃波を放つのだ。
 余計な障害は煙が隠し、目的のものが非常に見え易い。
 スナイプによる遠距離からの射撃をも可能とし、正確に武器を狙っていく。
「意識を強く持って。悪意に操られないように!」
 愛の言霊を発する古井戸 綱七は、自分や特異者に穢れに対し耐性を得るという強い加護を付与していく。
 そして、相手と対峙し切り抜ける事も想定し考案された豊葦原陸軍式抜刀術による素早い動きにより駆け回る古井戸。
 前に突き進んでくる子供の前に立ち塞がり、つにゃしちのショーテルを手に、子供達の意識を自分に向けていく。
 囲まれないよう、エネルギーシールドで攻撃を受けつつ、隙あらば受信機も破壊――と、注意深く回りを見ていく。
(組織的な戦術はとってこないとはいえ人数は脅威です。一人づつ確実に保護していきましょう)
「子供達に界霊を寄生させる……。そんな事は、道義的にも、心情としても許しがたい事です」
 乙町 空は軽くステップを踏み始め、仲間達が子供達の動きを鈍らせていって、彼らの背後――もとい、受信機だけを壊しやすいという作られた状況の中へ入っていく。
 巻き起きる煙。起きる衝撃波は子供達の位置を示し、止まっている子供の足元にはトリモチ。
 セカンドステップで、衝撃波、トリモチとを華麗に回避し、パラード・アン・セダンで撹乱とトリモチに引っ掛かっていない子供をそちらに誘導。
 エネルギーシールドで避け切れなかった攻撃を防ぎ、ヴァルナの護符による水を纏った半透明のフィールドが子供達の攻撃を鈍らせていく。
 ぐぐん、と動きの鈍い子供達の中に入っていったかとおもえば、繊細な剣捌きをみせる突剣プロシュネーを手に、バレストラによる前へのジャンプを伴った鋭い突き。
 そうして、確実に受信機を破壊していった。
(あの人はまた人間を実験動物のように……)
 ヴィトの姿勢を不愉快に思う九鬼 苺炎は、電子機器の誤作動を引き起こすこともあるというプラズマウェイヴで放射状に雷の波を放ち、子供達の動きを一時的に止めていく。
「せっかく作ったのにね。捨て駒にも、戦闘データも、実験サンプルにも、なんの役にもたててやらないわ」
 これで近くにあるだろう、子供達を操っている機器まで影響があれば万々歳だ。
 そして、子供達の眼から自分の攻撃情報入手されるのを防ぐため、九鬼はハンターマントを自分の腕――もとい、被ってフォトンガンネクストを隠し、ターゲットロックで子供の首の後ろにある受信機を狙い、ファーストショットによる目にも止まらぬ銃撃をこなしていく。
 そのまま古井戸と共にトリモチに引っ掛からなかった子供の目前に飛び出し、プラズマウェイヴを放ち、動きを鈍らせていく。
 フォトンガンネクストにダガーアタッチメントを取り付け、短刀状に固着し、子供達と応戦していく。
 狙うは、峰打ちや平打ち――それなら、威力もそんなにないだろうし、もし刺すような事になっても浅く済むかな、と思っての事だ。
 戦闘データになりうる視覚情報の遮断を心掛けている為、どうしても手元にハンターマントは必須だが、それも威力低下になるだろう。
「うっしゃー、野郎ども回収!!」
 マイケルは、特異者達が受信機を破壊し気を失う子供達を抱き抱える。
 そんな時、闇野 名無しは瞬刻の見切りで子供の攻撃を見切り、回避しやすくなるのを逆手になどと使う事はできない。
 先の先でもそうだ。死にたがりの闇野は相手の攻撃を首に受けて確実に死にたかったのだが、うまく当てさせることはできなかったようだ。
 ただ振るわれる斧は闇野にダメージだけを与えていく。
 ハンドガンを取り出した時点で更に攻撃を受けて――そのまま闇野は倒れた。
「うわ、ボロボロじゃねぇか」
 そうして闇野はマイケルに回収された。

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