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≪ワールドピース≫目覚めた少女と現れし界霊

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≪ワールドピース≫目覚めた少女と現れし界霊
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 崩落し続ける巨大遺跡——その調査の目前に突如現れたセラフィと名乗る白い髪の少女と、三千界統合機関の関係者らしきヴィトと名乗る男。
そしてヴィトがセラフィに取り付けた装置が作動し、セラフィに寄生する赤い界霊——ジストレスを暴走させて多くの界霊が出現した。

 時空の歪みの隙間から、大小様々にあるものは上空の裂け目から溶け出した溶岩が固まるように、あるものは地面から蠢めきながら這い出し、刻々と姿を様々な異形の怪物に変えて行く。ある界霊は四肢をの先を刃物や鈍器のような形状にして振り回し勢いのままに周囲の地面に叩きつけて抉る。
「さぁて、特異者さんたち、どこまで戦れるかなぁ」
 ヴィトの手の装置によって界霊は同じ場にいる特異者らの気配を察知すると襲いかかってきた。
「うぁあああっ! あああああああっ!」
 界霊の暴走に意識をかき回されるような痛々しい叫びがセラフィの口から何度も吐き出されていた。





1.白い髪の少女と界霊

「一体何なんでしょうか、この事態は……よくわかりませんね。
ですが彼女が望まないことをさせられているというのはわかります」
 【守護者クレイドル】のメインパイロットの砂月 秋良は、他の特異者の動向を見ながらだが自分は呼び出された界霊に対処することにする。
「どう見ても彼女の意思でやってるようには見えないですよ!
あんなの放っておけるわけないじゃないか!」
 パートナーでアクリャのデューン・ブレーカーも憤慨した表情でサブパイロット席に座していた。
 秋良と同じく無理やりさせられているセラフィを放っておけないと思った。
「さあ、せっかくですし、ついでに色々やってみましょうか」
「インカム・オン!」
 秋良の言葉にデューンが応じ、太陽の欠片で魔力を増幅させアクリャ用インカムでサポートする。
 二人の意思を表すようにドレッシングフレイムで炎を纏わせ、【一天四刃】の4つの分割した刃を放ってまずは一番近くの界霊を刻んで焼き落とす。
 もう一人のアクリャのレヴィーア・ファルトナーもサブパイロットとして同乗し索敵を行う。
 戦闘開始時からアナリティクスで分析開始を行っていた。
 状況を見るために全体を見回す。地上のセラフィの周囲に界霊が次々と呼び出されていた。
「きっちりやっていきましょうか」
 不意に界霊が迫ってくるが、ドレッシングフレイムの炎熱をクレイドルに纏わせ、本能的に寄生盾を向ける。
 盾によって払いのけると同時に界霊の全身が炎に包まれる。
 周囲で騒めいていた界霊がざっと引き下がる。
「【一天四刃】の刃の冴えを見せてあげましょう」
 4枚の刃が回転しシールドチャージと組み合わさって、魚群の中をブレードがついたスクリューが突入するようなものだった。
 まだ未完の姿の界霊はそれだけで散り散りになる。だが中には素早く体表を硬化させて一瞬の炎では燃えないものがいた。
 振り下ろされた腕で刃を弾き返されてクレイドルの機体の一部に強い衝撃を受ける。
「大丈夫、すぐ直すから安心しなさい」
 レヴィーアがガーディアンリペアで修復する。
 続けざまに出されるが、秋良の認知の外側の細かな攻撃はデューンが<盾>を使って防ぐ。それによって秋良が攻撃に集中する。

「ほら、これでも食べて少し休んでなさい」
 回復と補給係でもあるレヴィーアが秋良のサポートで疲労の色が見えたデューンの口元に黄金バナナを差し出す。
 絶妙なタイミングで差し出されてついデューンも素直に「アーン」とバナナを頬張るが、ハッと顔を赤らめる。
「ちょ、レヴィーアさん自分で食べれますから!」
 そんなデューンの反応をレヴィーアは楽しみつつ、レヴィーアは一つのことに意識を使いすぎるデューンのことを気遣っていた。
「なに恥ずかしがってるのよ、疲れてるときはちゃんと仲間を頼りなさい」
「うぅ……はい、いただきます……」
(仲が良いですね)
 そんなデューンとレヴィーアのやり取りを見てほっこりしている秋良だった。
 新たな界霊が次々と出現してくるが、秋良はパートナーと共に次の敵へと向かい、着実に一体ずつ倒していった。
(大丈夫、今の私ならきっとできます)

 セラフィによって次々と出現し蠢く界霊の群れを前にしても、多くの戦いを経験している特異者は怯むことはなかった。
 アルトレイ・フィルブレイドはそんな特異者の中でも冷静さを失わないタイプだった。
【氷霧の守護者トルメンタ】に搭乗し敵を撹乱するためにもまずは冷静に界霊の動きを観察する。
 このまま界霊が呼び出され続けてこの場所から広がっていけば確かに大きな危機だった。セラフィの体調も気になるところだった。
 「三千界の危機なら、頑張るしかないかな」
 アルトレイも守護者で周囲の界霊を倒していくことにした。
「あらあら、また面白いことになってますわね~」
 アクリャの焔辺 光莉は不謹慎ながらこれだけの界霊を相手に守護者で立ち回る派手な戦いにワクワクしていた。
 守護者に同乗してサポートするが、空と地上とに蠢く界霊の姿を見ても動じることなくむしろ何かが沸き起こって期待するような表情で見つめる。
 アルトレイの攻撃で四散する界霊の様子も見慣れた光景でしかない。
「あらあら、いつも通りの死地ですわね~」
 ただ見ているだけではなく光莉にはちゃんとした仕事があった。
 アルトレイの操縦で爆走する中でもアナリティクスで分析を進める。
「三千界が崩壊するかもなんて許せにゃいにゃ! ぶっ飛ばしてやるにゃ!」
 アルトニャン・キャスバーハもアクリャとして守護者に同乗してサポートする。
 ドレッシングウィンドで守護者の速度を上げ、ホライゾンカービンで牽制する。
 アルトレイはドレッシングホイールによってトルメンタの手足にタイヤを履かせて車両のように変形すると、地上の界霊を蹴散らすように走り回る。
 這い回っていた界霊を跳ね飛ばし、近寄ってくる界霊に対してはハチドリの護符を解放してトルメンタに羽を生やしホバリングの動きを加える。
 その状態でエアライド・ウィップソードである【セリオン】【ラファーガ】の刃を四つずつ展開し、その八つの刃を盾とする。
「フルスロットルで行くよ!舌噛まないようにね」

 トルメンタが鋭く旋回すると小柄なアルトニャンの体も浮き上がる。
「戦場を大爆走にゃー!」
「しゃべっていると舌を噛むぞ」
「こんなところを爆走してたら、怪我もしますわね~」
「まだまだ、速度上げるにゃー!」
 ドレッシングウィンドでさらに速度を速める。
 それだけではなくホライゾンカービンで守護者の中から近くの敵を牽制する。
 不意に真正面に大型の界霊が立ちはだかるが、その顔面にドレッシングブライトの光が炸裂する。その脇をトルメンタが駆け抜け、その間際にウィップソードの刃が界霊の横腹を引き裂く。
「どけどけーにゃー!」
 闇雲に操縦するのではなく、ある程度まとまった数の界霊を一箇所へと少女のいる場所から放すように誘導する。
「なかなか面白い作戦ですね」
 秋良もクレイドルの【一天四刃】を操りアルトレイが界霊を追い込むのに協力する。
 光莉の分析から界霊の動きのパターンを冷静に把握しての狙いだった。
「今だ!全弾発射!」
「残らず、吹き飛ばしましょうね~」
 刃を撃ち出す一斉攻撃に合わせて光莉もスーパーナチュラルミサイルからの金剛石の花杖の熱線を発射し、界霊の一方向の群れを殲滅した。
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