三千界のアバター

≪RWO≫氷の魔宮探索

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凍てつく回廊(3)


「こ、来ないで……っ! 来たら……こうですよ!」
 別の場所で、必死の様子で炎の魔法のゼアルでアイスパンサーを狙い撃ちしているのはアタッカーでブラックマジシャンのティーナだった。
「お姫様のために氷豹の牙を手に入れて来ましょうっ」と気合いを入れてログインしてきたのだったが、まだ魔法攻撃の扱いは慣れていないためなかなか思ったようには当たらない。
 それに当たったとしてもまだティーナの魔力では大きなダメージを与えられなかった。
「落ち着いて、なんとか凌ぎましょう」
 ティーナと共にアタッカーとして【紅焔魔剣プロミネンスロアロー】を振るうのは奏だった。
 ウォーリアとして攻撃力を上げたて炎を纏う剣をアイスパンサーも警戒するようだった。
 だが、奏もまだこの世界での戦闘に慣れているとは言い難い動きで、なかなかアイスパンサーに有効な一撃を与えられなかった。
「チャージで攻撃力を高めないと……でもその間に攻撃を受けてしまう。
誰か、タンクと組まないと……!」

「俺に任せろ!」
 ティーナと奏の危機に駆けつけたのは潤也だった。
 ほぼアイスパンサーが地を蹴ってティーナに迫るその間正面へナイトハルバードを一撃。
 脇から飛び出して来た別のアイスパンサーはウォールアタックで払いのける。
「あいつらの攻撃は、しっかり受け止めてみせるぜ!」
 コルリス王国軍の盾とアイアンヴェールによる鉄壁の構えでアイスパンサーを引き寄せてその攻撃をまずは一身に受け止める。
 どこの世界でも潤也の姿勢は変わらない。タンクとして防御に専念し、その場にいる仲間を全力で守ろうとする。
「よくやったわね。それじゃ、後はあたしに任せなさい!」
 潤也の相棒であるアリーチェもアタッカーとして潤也が攻撃を止めたアイスパンサーへの反撃をする。
 炎属性の大剣であるホライゾンブレイザーによる三連続斬りのトリプルアサルトを叩き込む。
 一体が白い水蒸気を吹き出させて倒れる。
「まあ、あたしにかかればこんなものね!」
 潤也とアリーチェの理想的なタンクとアタッカーの手慣れた連携の動きにティーナと奏は見入る。
 だが周囲を複数のアイスパンサーが旋回するような動きで攻撃を見計らっている。
「ぼやっとしていないで、すぐ次が来るわよ!」
「「は、はいっ」」
 アリーチェの言葉にティーナと奏は自分の武器を構え直す。
(予想よりアイスパンサーの動きが素早い……取り逃がすと体力を復活させてまた襲ってくる……)
 アリーチェは見切一閃で相手の動きを観察しカウンター攻撃とし、炎属性の三連続攻撃で一気に仕留める。
 奏もそれに続くようにして、チャージで攻撃力を貯めてトリプルアサルトを叩きこむ。
「で、できました……!」
 ティーナも自分なりにアイスパンサーの回復の邪魔をしようとして周囲の氷の壁をゼアルで破壊しようとする。
 ただブラインドタッチで威力を上げても炎が表面に広がるだけで大きな壁を崩すことはできなかった。
「……やっぱり、意味ないですよね。はぁ……」
 気弱に息を吐くと、「み、皆さんっ、がんばってくださいっ……!」と戦う仲間を必死で応援する。
 ただ流石に全員の体力が限界に近づく。特にティーナは消耗が激しかった。
 スキルインクロスを身につけて体温維持をしている奏や、ドゥブリョンカを着込んで防寒対策をしている潤也とアリーチェとは違って、ティーナは寒さで体が動かなくなってきていた。
 ティーナは一足先に退避してひかり達のキャンプに保護してもらうことにした。

 その時、翼を持つセレスティアの姿の4人のチームが姿を現わす。
「なかなかやるじゃない。こっちも正攻法で行くわよ」
「あとは私たちに任せなさい」
 セラ・ルシェを名乗るヒーラーを中心に、アルトと名乗るアタッカー、そしてラシィを名乗るタンクとヒナゴロウを名乗るクラフターのメンバーだった。
 セラたちも着実にアイスパンサーの牙を集めるために連携した動きで、潤也たちを包囲していたアイスパンサーをラシィが引き寄せ、外側から引き離すようにして倒していく。

 ここまではセラ達はヒナゴロウのオートマッピングで地図の作製を行いながら迷わないように移動してきていた。
 野営が必要になる場合に備えて荒野の宿屋に同行させていて、テントを張るのに適した場所を見定めていた。
 セラ達は適度に休息をしながら氷獣狩りを進めていた。
 潤也たちの中にはクラフターがいなかったため、ヒナゴロウにまとめて氷獣の加工をしてもらった。

 アクアマリンに同行している人たちはそれぞれ小さい規模ではあったが臨時にチームを組むことでアイスパンサーを倒すことには問題なかった。
 だが、牙の数はまだ足りない。氷のエリアの深部には大きな群れがいるがそれはかなり危険が伴う。
 やはり極寒のエリアでは体力がもたずテントに戻る必要があったが、テントの用意をしていたプレイヤーが多く、その点もクリアできていた。

「わーいっ! 冒険だよっ! 夢と浪漫だよっ!」
 氷のエリアに到着して賑やかにテントの宿を張る手伝いをしているのは小柄なエルフのアナフィアだった。
「ゆっくり体を休める場所をつくることは大事だからね。……うーん、やっぱり結構冷える」
 なるべく風が当たらない場所にテントを張ることを決めたのはスアマと名乗るセレスティアの羽を生やしたファーマーだった。
「ここに立派なテントを作ろうねっ!」

 そんなスアマとアナフィアを手伝いながら心配そうに見守るのはミカンを名乗る犬耳を生やしたブラックマジシャンだ。
(お二人とも、ちょっと浮かれてるようなので私がきっちりフォローしていかないとですよー……。)
 犬耳を生やしたことに特に意味はない。なくなんとなくだった。ただ獣人は素早さと体力が上がるので何かに役立てるだろう。
 テントを張り終えると、クラフターのスアマはフォージでアナフィアの武器である月光刀を調整する。
「いざという時に斬れなかったら大変だからね」
 アナフィアは興味深そうにスアマの作業を覗き込む。こう見えてアナフィアはタンクとしてナイトアーマーに身を包んでいる。
 そうして準備を整えると、テントの番を同行してきてもらったファーマーに頼んでスアマとアナフィアとミカンはアイスパンサー狩りに向かう。
 ファーマーはスープの材料にしようと最初周囲に植物が生えていないか探していたようだが、やはりこの氷のエリアではそういった採集は無理なようだった。
 スアマ達が狩りでアイスパンサーの肉を持ち帰ることができればそれでファーマーにスープを作ってもらうことにした。
「ついに冒険開始だよっ♪」

 氷の魔宮内部を、アナフィア、ミカン、スアマの順に並んで進む。
「すごーい、柱が全部凍ってる!」
 どうしても最初はどこをどう進めばいいかわからないのでうろうろすることになるが、アナフィアがしきりに目に入るものでスアマやミカンに話しかける。
 賑やかにしていれば向こうが気がついて近寄ってくるかもしれない。
 そうやってアイスパンサーを探している間もスアマはオートマッピングで自分達の位置を把握し、ミカンはしっかりと魔力充填で魔法を使う準備をしていた。
 そして先頭のアナフィアが視界の先に動くモンスターの姿を見つけた。
「来たよ!」
 アナフィアがガーナーライトを付けると、遠くにいたアイスパンサーがこちらに向かって駆けてきた。
 シールドマジシャンのアナフィアはエスカッションで盾を作りだす。
 盾によって一瞬速度が落ちたアイスパンサーの足元目掛けてスアマがネヴァームーブを投げつける。アイスパンサーの動きが鈍った。
 そのタイミングを逃さず、アナフィアが月光刀を使いライズエッジの二連撃で切りつける。
 だが、アイスパンサーも攻撃を受けながらもネヴァームーブを振り払うようにして後退し、ぐるりと回りこむ動きをする。
 氷の魔宮内でアイスパンサーの傷が回復していく。
(火か風か、この場合火ですね)
 ミカンがブラックワンドをアイスパンサーに向け、ブラックマジシャンで強化したゼアルの火炎魔法を浴びせる。
 アナフィアとミカンが戦っている間、スアマは片裁鋏を構えて周囲を警戒し別の敵が来ないか見張っていた。
 炎に身を包まれてアイスパンサーの体から白い蒸気のようなものが吹き出して動きが弱まり、アナフィアがもう一度連撃することでようやく倒すことができた。
「やったー! モンスター退治完了♪」
 アナフィアが大喜びし、スアマも無事に一体倒せたことに息をつくとクラフターとしてとりあえずアイスパンサーの牙周辺を大まかに切り取る。
「もう一体仕留められたらベースキャンプに戻ろう」
 今の戦いの様子から自分たちだけで続けて狩れるのはあと二体くらいと判断する。アイスパンサーが複数で来ないとも限らないので慎重になる。
 同行者にヒーラーが居ない以上深入りは禁物だった。
 スアマの言葉に、様子を見ていたミカンも同意する。
「早めに戻ることにしましょう。無理はよくないですからね」
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