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≪RWO≫氷の魔宮探索

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凍てつく回廊(2)



「その身、友を護る城塞たれ」
 その時、朗々とした声と共にアイアンヴェールを発動し、アイスパンサーからアクアマリンを守るタンクが立ちはだかる。
 フォートレスの名を名乗り、高熱を帯びた赤眼の魔盾でアイスパンサーの攻撃を防ぐ。
「サクラ、今だ」
 そのフォートレスのすぐ後ろに待機していたサクラが戦闘意欲を高め、ファストアタックで一気に間合いを詰めて攻撃を加える。
 サクラの攻撃は確実にダメージを与えてた。だがアイスパンサーは視界から消えて体力の回復を図る。
「まだ足りない!」
 サクラはフォートレスと態勢を入れ替えると、次に向かってきたアイスパンサーには更にトリプルアサルトを交えて攻撃する。火属性を帯びたサクラのホライゾンブレイザーはアイスパンサーの攻撃を防ぎながら押し切る。白い水蒸気の爆煙が広がり、それでようやく1体のアイスパンサーの青みが消えた。
「油断はせずに、さりとて臆病にもならず……推して参りましょう」
 強力な個体が混じっていなか警戒し、早期に片付けていく。
「お兄ちゃん、桜……じゃなかった、サクラお姉ちゃん、しっかり!」
 そんなフォートレスとサクラを、ヒーラーのフォルテは見守る。戦闘に巻こまれないようアクアマリンと共にしっかりと距離をとる。
「ヒーラーは皆を癒やすのが仕事。そのためには、自分がやられないようにしないと、だね」
「そうね。自分が倒れないようにうまく立ち回ること。ヒーラーが倒れて、回復役がいなくなったら元も子もないわ」
 アクアマリンからそう言われた通りに、戦闘を行う敵と味方の位置を把握しつつフォルテは安全な場所へと身を置く。
 アイスパンサーの爪がフォートレスとサクラの腕を掠める。フォートレスは無事だったが、サクラの腕のその位置が凍りつくと同時に激痛が襲う。
 フォルテは息を飲むと、落ち着いて身を隠す位置を移動してサクラの近くに回り込みヒーラーをかける。
「ありがとう!」
 痛みが癒えたサクラはすぐさま前へと出て行く。
 フォルテはヒーラーとしてしっかりアクアマリンからいろいろ学んでいこうと思った。

 フォートレスが攻撃を防いでサクラが倒すというパターンは正攻法ではあるが、複数のアイスパンサーに対しては隙ができてしまう。
「こっちは私に任せて!」
【焔の妖気・ガーネットブレイズ】を纏った別のアタッカー、ガーネットが飛び込んできて強烈な蹴りを入れる。
 白い大地に赤い髪のツインテールが揺れる。
 水蒸気を撒き散らしながら吹っ飛んだアイスパンサーに更に近距離からのゼアルをお見舞する。
「この距離なら避けられないでしょ!」

 そのガーネットの勢いに負けないよう、サクラも他のアイスパンサーに対しトリプルアサルトを決める。
 二人のアタッカーによってアイスパンサーを倒していく。

(どう? アクアマリン、私の戦いは……!)
 戦闘の合間にガーネットは得意げに強い視線をアクアマリンに向ける。
 アクアマリンは手をひらひらふって応援している。
「氷の壁に気をつけてね〜」
(見ている……そしてきっと、アクアマリンも私を意識している……!)
「ふふっ」と、ガーネットは満足そうに笑みを浮かべる。
(もちろん、今回の任務の活躍を競い合うのではなく、お互いに自分を高め合うライバルとして……。
今はこちらが一方的にライバル視してるだけだから、まだ口には出さない。
その為にもまずはこの任務で活躍!
ガーネットとしてのデビュー戦…頑張るぞいっ!!)
 その僅かな気の緩みでガーネットは盛大に氷の塊に突っ込んでしまう。
「きゃああ、冷た……痛ったああい!」
 凍りついて動けなくなると自分自身ではいかに焔の妖気の持ち主であっても凍傷を癒せない。
「大丈夫?」
 アクアマリンが駆けつけてしっかりヒールで治療をしてくれた。
「さすがね、アクアマリン……それでこそこのわたしガーネットのライバルに相応しいわっ!」
「ふふっ、ありがとう、ガーネットさん」
 噛み合っているようないないような会話だったが、ガーネットはアクアマリンとの強い友情を一方的に感じ取っていた。

(アクアマリンにライバル……?)
 アクアマリンからいろいろ学ぼうとアタッカーとして同行していたサキスはアクアマリンとガーネットの会話が気になった。
 そうでなくても、やはりアクアマリンの周囲には常に誰かが側にいて順に護衛をしているといった状態だった。
 アクアマリンも自分が出来る限りヒーラーとしてプレイヤーの支援に動き回っていた。
 サキスとしてはできればアクアマリンにフレンド申請をしてチャットを通じていろいろお話ししたいという希望があった。
 だが、同じことを考える人もいるようで、冒険者街でアリサ姫から依頼を受けてやってきたらしいプレイヤーがアクアマリンに接近し、フレンド申請を繰り返し要求していた。
 今回の依頼に来ているプレイヤーはワールドホライゾンの特異者ばかりとは限らない。
 24時間騎士団であるアクアマリンに何かの意図があって接近しようとしているのかと思えたが、様子からして単なるナンパらしかった。アクアマリンは誰に対しても明るく丁寧に対応していた。
 そうでなくても優秀なヒーラーは誰もが仲間に欲しがる存在だった。
(今は……それどころじゃないのに)
 サキスがなんとかフレックスカウンターでダメージを与え、ガーネットにも協力してアイスパンサーを倒した。
 その時まだアクアマリンにまとわりついていたプレイヤーに対し、アクアマリンの声のトーンが下がった。
『しつこいとブラリに入れるよ?^ ^』
 周囲の冷気以上に体感温度が一気に下がるようなアクアマリンの冷ややかな表情と声に、相手のプレイヤーは顔色を失いそそくさと離れていった。
(今のは……背後が出たか)
 周囲の特異者らはそう感じた。
(私も焦らないで……今はこの世界のことをもっとよく理解しよう)
 サキスも今は一体でも多くアイスパンサーを倒すことに集中することにした。

 すると、さりげなくサキスの攻撃を支援するように別の方向からゼアルの炎が放たれ、回復しかけていたアイスパンサーを吹っ飛ばした。
 アクアマリンとサキスに、フレアルビーと名乗る黒衣の魔法少女が挨拶する。赤い髪とエメラルド色の瞳で落ち着いた様子で近い位置の敵に対しゼアルの炎を放つ。
 サキスやガーネットの攻撃と連携することでひとまずその場のアイスパンサーを倒すことができた。
 フレアルビーはアクアマリンに一礼する。
「アクアマリン、貴女の冒険のエピソード聞いてみたいですわ」
 フレアルビーはヴォルテックス最深部に挑むことが遠い目標であることを話し、アクアマリンにバウアーや24時間騎士団の話題、彼女の迷宮での経験と知識について尋ねてきた。
「未知なる階層、知識への好奇心を強く持っているよ」
 アクアマリンも真剣にその言葉を受け止める。ただ、今は自分のことは多くは語らず、アイスパンサーを倒す方法だけ確認する。
「一緒に一つ一つクリアしていこうね」
「ふむ、わりましたわ」
 アクアマリンも元々とても真面目なだけにこの世界に慣れていない特異者のためにできる限りはフォローしていこうとしているようだった。
 フレアルビーもそんなアクアマリンの手助けを少しでもしていこうと感じた。
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