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≪RWO≫氷の魔宮探索

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氷の迷宮の探索(2)


 氷のエリアは立っているだけでどんどん体熱を奪われていくような底冷えがしていた。
 どこまでも氷で覆われた通路をまゆらは思案しながら移動し、仲間と共に救助対象である騎士団メンバーを捜す。
「此処って、ゲームの中の……架空世界、なのでしょうか?それとも、一つの世界を……ゲームという建前で、三千界の各世界に……広めているんでしょうか?」
 目の前の壁を思わず手で触れてみたくなるが、触れると凍りついてしまうことを思い出してやめる。

「もし、前者なら……NPCさんが亡くなっても、ゲームの中のデータが一つ……消えるなり、置き換わるなり……するだけ、ですけれど……もし、後者だったなら……ちょっと、気分が重い……ですよね」
 思案していることが思わず呟きとして出るが、ヒーラーとしてまゆらに同行しているカラビンカもまゆらの言葉を聞いていていろいろこの世界についての疑問を持った。
「騎士さんには、色々……帰路等で、お話を聞きたい……ですね」
 カラビンカは接触できた騎士らにいくつか尋ねるつもりだった。

「もし……この世界が、架空の物だとしたら……ちょっと怖い、気がしますよね。
現地の協力者さんが、ホライゾンの特異者に成った……って、噂もありますし……それはつまり、世界も人も……作り出せてしまう人がいる、という事になってしまう……訳ですから」
 まゆらはそう呟いて、現地の協力者として同行してもらっている荒野の宿屋をちらりと見遣る。
 移動『宿屋』としてついてきてもらっているが、荒野の宿屋は茉由良の疑問に特に関心は示さず若干眠そうにしている。でも宿屋の利用料金はしっかり交渉してきた。通貨としては普段自分たちも利用している「G」が使えるようだった。
 まゆら、カラビンカ、そしてタンクとして同行しているベネディクティオ共に極力戦闘を避けて体力を消耗しないようにしようという共通の意識があり、テントを張って様子を見ながらの移動をする。
 敵意がある敵、というよりもクラゲのように漂っているアイスジュエリーフィッシュをあまり刺激しないよう注意し、ベネディクティオも盾を構えてエスカッションして仲間を護る。
 自分たちの中にアタッカーがいないことが不安要素だったが、救助が目的であると割り切っていた。


 英輝はどこまでも白く光るしんと静まり返った空間を進んでいた。
「誰かいませんかーっ」
 もちろん、声を出せばモンスターを呼び寄せてしまうかもしれなかったが、それではいつまでも救助が進まない。
 二次遭難だけには気をつけて、周囲に異変がないか注意を払いながら捜索を続ける。
 イライアスも危険を冒して鳥人の飛翔で飛行してまわる。
「誰か倒れてる!」
 イライアスがようやく空から最初の要救助者を発見し、英輝とともに丁寧に呼びかけ、安心させる。
「大丈夫ですか?」
「……あ、あなた達は?」
 言葉をかけると、倒れていた騎士団の男は最初は驚いて英輝たちを見つめるが、救助に来たことを伝えると安堵の息を吐いた。
 その人は負傷して動けなくなっている仲間のことを知らせるためにここまで必死で戻って来たということだった。
 そのすぐ背後の頭上の空間に数体のモンスターが迫っていた。振り切ったと思っていたのが、大勢のプレイヤーの気配を察知してきたのだろう。
 鳥人として飛来していたイライアスの姿に対し威嚇するようにして攻撃態勢に入った。
 イライアスも闘牛士のようなイメージでなるべくクラゲ的モンスターの毒針を警戒して回避・盾などを利用した敵の攻撃軌道を阻害する。
「強くはないけど、仲間を呼ばれると面倒だね」
 初が冒険者の剣を構え、確実に一体ずつ敵にダメージを与えていき、一撃一撃丁寧にヒットアンドアウェイを繰り返す。
 英輝もフレイムロッドの火炎魔法で追い払う。
 ある程度倒すといつの間にかどこかへ消えるようだったが、それでも複数で処理しないとなかなか大変だった。
 どうしても何体かに体当たりのようにぶつかってきて、その部分に痛みが走る。
「うわ、肩が凍ってる!」
「気をつけろ! 後ろだっ!」
 その間に月美がヒーラーとして騎士団の男を保護する。
「こっちだよ!」
 小梅が鉄砲水や雪崩の心配がなさそうな場所で野営の設置をしていたので、そこに案内する。
 助けた後で小梅は武器・防具の点検作業に取り掛かる。
 騎士団の男から残されている仲間がいる方向を聞き取る。


 同じ頃、別の場所ではカンカン、コツコツと武器を丁寧に整備する音が響く。
「……これでよし! 冒険前の下準備は冒険者の基本! 武器の手入れは鍛冶屋の基本だからね!」
 別のチームで、仲間との捜索の出発前にミナミが仲間の武器をフォージで鍛錬していた。
「コジローさん、カエデちゃんも準備は良い?」
 クラフターとして必要な道具やテントの宿といった大きな荷物を抱えてミナミが声をかける。
 カエデも黙々と準備していたが、「問題ない」と答え、タンクとして仲間の危機を察知しやすいよう騎士の誇りを装着する。
「RWOにきてからの初めてのクエストか……今までの世界とは違いゲームの世界という特殊環境。
この世界のルールや知るいい機会だろう」

 コジローはこちらの世界に来てから合流したプレイヤーだった。
「クエストには参加したいと思っていたのだ。手伝わせてもらう」
 コジローは冒険者の剣を携えて古風な話し方をする人だった。
 クラフターとタンクしかいないところへ現地で気軽にアタッカーとして加わってくれたのでミナミにとって「ちょっと変わっているけどいい人」だった。

 強力なモンスターは出てこなかったが、それでも氷に囲まれた空間とふいに出てくる小物に足の進みは遅かった。
「寄らば斬る、道を塞ぐならば斬る、わが刃の錆になりたくなければ……道を開けてもらおうか」
 コジローが冒険者の剣を構えて言葉をかけるが、ふよふよと浮かぶアイスジュエリーフィッシュに果たして通じているのかどうかはわからなかった。
 氷の魔宮は思ったより複雑に空間が広がっていて、ミナミらが捜索を開始してかなり経ってからようやく一人の騎士団を見つけ出した。
 かなり広い範囲に散りじりに逃げたせいで、時間がかかりそうだった。
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